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掲載開始日:2021年4月21日更新日:2021年4月21日
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紺紙金字法華経開結共
紺紙金字法華経開結共(こんしきんじほけきょうかいけつとも)
指定年月日
令和2年3月31日
員数
10巻
種別
有形文化財(典籍)
作者
深大寺六十世 自寂玄海(生年不明から宝永3(1706)年)
制作年代
貞享(1688)5年から元禄2(1689)年
概要
深大寺本堂の本尊前に奉安されている本経典は、深大寺六十世の自寂玄海(じじゃくげんかい)1人の筆により貞享5年(1688)から元禄2年(1689)にかけて書写されたもので、「妙法蓮華経」8巻と、法華経の開経といわれる「無量義経」1巻、結経といわれる「観普賢経」1巻の全10巻から成ります。
深大寺六十世自寂玄海については、過去帳や墓石銘から宝永3年(1706)11月25日に入寂したことが分かりますが、その事績等については詳らかではありません。
各巻の奥書から、法華経巻第一から巻第八、観普賢経までを貞享5年4月から5月にかけて書写した後、しばらく間を置いて元禄2年1月に無量義経を書写したことが分かります。
本経典は、紺色に染めた料紙に金粉を膠(にかわ)で溶いた「金泥(きんでい)」という顔料で界線を引き、写経した装飾経です。法華経巻第一を例に装丁や法量を見てみると、装丁は紺紙を17紙継ぎ合せ、巻子本(かんすぼん)に仕立てています。おそらく、折本の経典を底本として書写し、巻子本としたものと考えられます。平成15年に修復作業が行われた際、装丁が新しくされていますが、表紙は布表紙で、花鳥文が刺繍で描かれ、墨字で「妙法蓮華経巻第一」と書かれた題箋が貼られています。八双(表紙端の芯の部分)には鉄が用いられています。
本紙は、縦26.1センチ、横は全長8メートル10センチを測ります。天地と行間に金泥で界線を引き、1行17字詰めで経文を書写しています。界線は1紙32行で、幅1.5センチを測ります。
深大寺は江戸時代に2度、正保3年(1646)と慶応元年(1865)に大火に見舞われており、その歴史の長さの割に残された典籍、古文書類はあまり多くはありません。本経典は、深大寺六十世である自寂玄海1人の筆により、貞享5年から元禄2年にかけて書写されたことが明らかであり、江戸時代前期における深大寺の歴史だけでなく、調布市の近世史を考えるうえで貴重な文化遺産です。
また本経典は、折本を底本にして巻子装に仕立てるという他にあまり例を見ない装丁をしており、近世における写経史を考えるうえでも希少な資料と言えます。