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掲載開始日:2025年11月6日更新日:2025年11月6日
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里親制度をご存じですか?
いろいろな家庭ノカタチ 知ろう里親のこと
里親制度を皆さんはご存じですか?親の病気や虐待、養育困難など、さまざまな事情により家族と離れて暮らしている子どもたちを、自分の家庭に迎え入れて養育する公的な制度です。この機会に制度のことを知り、今できることを考えてみませんか。
里親制度とは
現在、都内には、さまざまな理由により親元を離れて暮らす子どもたちが約4,000人います。こうした中、子どもたちが、家庭と同じような環境で生活できる里親が求められています。
多摩児童相談所の管内(調布・府中・多摩・稲城・狛江市)では、50家庭ほどの里親(養育家庭)が登録されています。子どもたちそれぞれの状況に合った里親の数が必要ですが、実際に必要とされている数と比べ、とても少ないのが現状です。
里親には、「養育家庭」と「養子縁組里親」などの種類があります
里親には「養育家庭」と「養子縁組里親」などの種類があります。このほかにも親族里親、専門養育家庭、ファミリーホームがあります。都内で親元を離れて暮らす子どもの約5分の1が里親の元で生活しています。
- 養育家庭
実親のもとで暮らすことができるようになるまで、または子どもが自立するまでなど、一定期間子どもを預かり育てる里親。対象の子どもは、乳幼児から中高校生とさまざまです。 - 養子縁組里親
特別養子縁組(養親となること)を前提に、子どもを育てる里親。特別養子縁組が成立すると、実親との親族関係が終了し、里親でなく法的な親子関係が成立します。
より多くの子どもたちに家庭と同じような環境を提供できるように
子どもの成長過程には、信頼できる大人との間で愛着形成を築くことが重要です。そんな安心できる関係の中で子どもたちは、他者との関わりや将来自分が築く家庭のかたちを学ぶことができます。
子どもは安心感を持てる、拠り所となる大人の存在があって初めて、外の世界への興味と自我が芽生え、成長することができます。その役割のひとつを担っているのが里親です。子どもたちを里親の温かい家庭で受け入れ、自分らしい生活を送ってもらうことが大切です。
あなたも里親になりませんか
里親になるためには、特別な資格は必要ありません。子どものための制度であることを理解し、一定の要件を満たしていれば、研修や家庭調査を経ることで里親になることができます。
里親登録希望の方からは、「子育ての経験がないのですが」「共働きでも大丈夫ですか」などの質問や心配の声をよく聞きます。そんな時は、「たまふぉす」の担当者が、皆さんと一緒によりよい方法を考えていきます。「里親制度を知りたい」「里親に興味がある」など、まずは「たまふぉす」にお問い合わせください。
たまふぉす(多摩児童相談所フォスタリング機関二葉学園)
里親制度を「知りたい、里親に興味がある」など制度を知りたい方は、たまふぉす(多摩児童相談所フォスタリング機関二葉学園)(外部リンク)へお問い合わせください。
電話番号042-444-0191
里親さんに聞いてみました
市報ちょうふ2025年10月20日号では、里親の制度や現状等について広く皆さんに知ってもらうため、特集を組み里親になられた方々へインタビューを行いました。
いろいろな家庭のカタチ1
- 府中市在住
- 現在、保育園児と生活している夫婦
- 養育期間は長期になる見込み
里親となるきっかけは?
私たちには実子がいないため、歳を重ねるに連れて「家族(子ども)を持ちたい」という思いが強くなってきました。ですが、里親への登録前研修を通じて、里親はあくまで子どものための制度であることを繰り返し学び、今では「里子のため」と思って養育をしています。里親になるきっかけは、私たちのように「子どもを持ちたいから」という方が多いのではないでしょうか。きっかけはそれで良いと思っています。
子どもを預かったことで、自身にはどのような変化がありましたか?
私たちには「里子だから」ということで特別な変化はありません。心の変化としては「(養育家庭か養子縁組かに関わらず)家庭で生活ができる子どもが増えればいいな」と強く思うようになりました。
子どもとの接し方で困ったこと
「里子だから」といって、特別に接し方で困ることはありません。もちろん私たちのところに来た直後は子どもも緊張していましたが、3週間、3カ月と時が経つにつれて馴染んできて、今は受託から3年が経過しています。
これまでの出来事で嬉しかったこと
恐らくどの子育て家庭も同じだと思いますが、日々健康で突然の発熱もせず、毎月の保育園の身体測定で身長・体重がちょっとずつですが確実に増えていくのを見るのが一番の楽しみです。今まで出来なかったことが知らないうちに出来るようになっていたりすると成長を実感します。おそらく、「里子だから(実子とは違う)特別な喜びや困りごとがあるのだろう」と思われての質問だとは思いますが、我が家については普通の子育て家庭とまったく同じです。
市民の皆さんにメッセージを
皆さんの子どもは1日に何回「パパ!」「ママ!」と言うのでしょうか?施設で暮らしていると「パパ」・「ママ」と呼べる相手がいません。そうした子どもに言いたい時に言える場を提供してあげることが、子どもにとってどれだけ幸せなことか分かっていただけると思います。確かに子育ては大変ですし、里親として書類作成などの義務もありますが、今は「社会に貢献している」という自負を持って毎日を過ごしています。この充実感は里親でないと得られないと思います。
いろいろな家庭のカタチ2
- 狛江市在住
- 多くの思春期の子どもと生活し、家庭復帰を支えてきた里親
里親となるきっかけは?
夫の姉が里親をしていて、素晴らしいことだなと思っていました。自分たちの子育てが終わったら登録したいと思っていましたが、色々と縁が重なり前倒しで登録することになりました。
家庭復帰の方針があるお子さんへの支援で大切にしていること
子どもが実親さんの話をした時は、なるべく実親さんを否定しないで話すようにしています。また、スムーズに家庭復帰できるように、まず生活習慣を立て直すことから支援します。私たちは挨拶は基本だと思っているので身につけられるようにしています。
これまでの出来事で嬉しかったこと
親代わりで2度、結婚式に出席したこと。里子が巣立って行くとき手紙をもらい、今までの感謝の思いを伝えてくれたことです。
どのような支援があると制度の輪が広がると思いますか?
教育・医療機関、市区町村の関係機関などが里親の制度説明や体験発表など、地道に啓発活動を行っていくことです。また、私の実体験から良かったなと思うことは、学校の保護者会などで自ら公表し、保護者や先生たちに里子への理解をしてもらうことも大切だと思いました。地域住民の方にも里子と一緒に挨拶して周り、地域で見守ってもらえる関係を作ることも大切だと思います。
いろいろな家庭のカタチ3
- 調布市在住
- 現在、高校生の子どもと生活している
- 児童養護施設で長く勤務し、里親としても長きに渡り活躍し、高齢児(中学・高校生の年代)と多く関わった経験のある方
里親となるきっかけは?
約10年ほど児童養護施設で働いていた時に、里親のもとで育つ子どもの様子を見て、里親養育の大切さを感じるようになりました。人への接し方や日常生活の中で身に付けてきたものの中に、施設では身に付けにくいものがあると感じました。
思春期の子どもとの接し方で心掛けていること
中学・高校生になって里親のところに来なくてはならなくなった子どもの中には、実親やそのほかの養育者との間で信頼関係が築けていなかった子もいます。そうした子どもたちに「人間って、もしかしたら信じていいかも!」という気持ちを持ってもらうことが高齢児を受託する里親の役割だと思っています。里子との信頼関係ができると、生活上の問題や人間関係で直してほしいことを理解してもらえるのだと思います。
どのような支援があると制度の輪が広がると思いますか?
ここ数年で支援の輪は広がっていると思います。特に多摩児童相談所管内ではフォスタリング機関(たまふぉす)と児童相談所・里親支援専門相談員が真剣に対応していると感じられるので、里親としても信頼できます。支援はそれぞれの家庭によりさまざまです。その家庭に合った寄り添い方が大切だと思います。
これまでの出来事で嬉しかったこと
これまで4人の子どもたちと関わってきました。それぞれの子どもたちとの関わり、嬉しかったことはたくさんありますが、中学3年生の時に施設から我が家に来た子どもとの関わりが特に印象に残っています。
その子が高校受験の時に吹奏楽を継続したいと都立高校を選択しました。担任も里親もこの子が特性のある子であったので、いじめに遭うのではと反対をしたのですが聞き入れず、その高校に入学しました。しかし、入学した年の5月頃からいじめに遭い登校できなくなり、結局1年で退学になりました。
当時里親となって間もない私は、「高校退学した場合は施設に戻ってしまうのでは」との考えもありましたので、私が保証人となり引き取りました。その後、広汎性発達障害の診断を受け、行政支援も受けることになりました。生活が安定したためかしばらく連絡がありませんでしたが「高校卒業認定試験合格した」という知らせが来ました。退学させてしまったことが気になっていたので、本人からの知らせは嬉しいものでした。
いろいろな家庭のカタチ4
- 稲城市在住
- 現在は、子どもと一緒に生活していない
- 長期の受託ではなく、一時保護の受け入れなど短期で子どもと関わっている夫婦
里親となるきっかけは?
さまざまな事情により家庭で過ごすことができない子どもたちがいることから、少しでも力になりたいと思い登録しました。
短期での受け入れを行っている理由は?
里親制度への登録から日が浅いため、短期での受け入れから始めようと夫婦で話し合いました。また、幅広い年代の子どもたちを受け入れたいと思い、短期を希望しました。
子どもとのコミュニケーションで心掛けていること
子どもの声に耳を傾け、全力で一緒に遊ぶこと。
これまでの出来事で嬉しかったこと
ご飯を美味しいと言って食べてくれること。ペットを可愛がってくれること。「この家に来れて良かった」と言ってもらえたこと。
市民の皆さんにメッセージを
里親になり、迎え入れた子どもと共に生活をするうえで悩むこともたくさんあり、子育ての大変さを感じながらも、関係機関の方々がサポートしてくださり、地域で養育しています。
子どもの笑顔や成長をそばで見守ることができ「里親になれて良かった」と感じています。「この家に来て良かった」と感じてもらえるよう、我が家に来てくれた子どもたちの安心安全を第一に、今後も努めていきます。