69ページ  (B-4) 働くこと・日中活動の支援  障害者が一般企業や通所施設(福祉作業所)で働くことや,その人に応じた活動により日中を過ごすことを支援します。   前計画期間の振返り  ● 就労に向けた相談事業として,2か所の就労支援センター間及び関係機関と連携強化しながら,就労や生活面の支援を実施し,ニーズの高い就労後の定着支援についても企業向けセミナー等を開催しました。  ● 平成30年4月施行の障害者総合支援法の改正により新たに創設されたサービス「就労定着支援」について,市が設置する「知的障害者援護施設すまいる分室」において平成30年7月より事業を開始し,一般就労へ移行した利用者の定着支援を行っています。  ● 新たに事業所開設を希望する事業者への開設相談や,開設経費の補助による支援を行い,サービスの拡大を進めました。  ● 市が設置し,重症心身障害者(一部医療的ケアを含む。)を対象とする「デイセンターまなびや」では,通所者の増加ペースが大きくなり,近く新たな利用者の受入れが難しくなることが想定されることから,令和6年度の開設を目途として,新たな重症心身障害者の通所施設の開設準備を進めています。  ● 市が障害者通所施設に交付している運営費補助金について,利用者定員の区分に応じた補助基準額をもとに,別途市が定める指標に応じたポイントにより補助率を決定することとし,事業者の取組推進やサービスの質の向上を図っています。  ● 調布市福祉作業所等連絡会は自主製品の販路拡大や共同受注事業を展開していくことによって,利用者の働く意欲の向上及び工賃の引き上げを図っており,運営費の補助を実施しています。   70ページ   今後の課題  ◆ 働く機会,相談の充実  障害者がより一層働ける社会を目指して,就労支援の充実が必要です。障害者雇用や就労を支援するサービスが拡大する一方で,就労支援機関同士の連携や,就労に向かう前の生活面や社会面のスキルの課題からの支援,離職後の再就職支援,就労中や通勤においても介助を要する重度障害者の就労支援など,より幅広い就労へ向けたニーズに対応できる体制の整備が課題です。  ◆ 障害特性に応じた日中活動場所の整備  地域で暮らす障害者の増加や今後の特別支援学校卒業生等の受入れを見据え,継続的に整備を進めていくことが必要です。また,それぞれの障害特性や,高齢になった障害者などの多様な活動ニーズに応えられる体制が求められています。  特に手厚い支援体制が必要な重度知的障害者や医療的ケアを含む重症心身障害者については,既存施設での受入れが限界に達しつつあり,新たな施設の整備が課題です。  ◆ 工賃向上への取組  作業所等経営ネットワークの取組などにより受注機会は拡大していますが,コロナ禍での受注作業の落ち込みもあり,今後も就労継続支援B型事業所などの障害者就労施設等で働く障害者の更なる工賃向上への取組が必要です。   71ページ   取組の方向性 <働く機会,相談の充実> ○ 「ちょうふだぞう」「こころの健康支援センター就労支援室ライズ」の2か所の障害者就労支援センターを中心に,障害者雇用の推進や,民間事業者への働きかけを行い,新たな雇用の創出に取り組み,障害者が働く機会の充実を図り,就労支援,定着支援に引き続き取り組みます。 ○ 「すまいる分室」を拡大移転する「(仮称)ワークライフカレッジすとっく」の運営により,より多様なニーズへの対応により就労支援の拡充を図ります。 ○ 障害の種別や重さに関わず,より多くの障害者が働けるよう支援体制の充実を図ります。 <障害特性に応じた日中活動場所の整備> ○ 新たに開設する「(仮称)デイセンターまなびや国領」に加え,「(仮称)調布基地跡地福祉施設」の整備を進め,民間事業所では受入れが困難な重度障害者に対応した支援体制の充実を図ります。 ○ 今後の特別支援学校卒業生等の通所先の安定的な確保や,重度知的障害者,高齢障害者,発達障害者,高次脳機能障害者など一人ひとりの多様な障害特性に応じて支援を受けながら働いたり,過ごしたりできる日中活動場所の整備を進めるため,通所施設の設置支援を行います。 ○ 障害者の平日夕方以降の居場所の確保について,検討を進めます。 <工賃向上への取組> ○ 「障害者優先調達推進法」に基づき市の障害者福祉施設などへの発注機会を確保,拡大するとともに,「作業所等経営ネットワーク支援事業」などにより受注力の強化を支援し,障害者福祉施設等で働く障害者の工賃向上を図ります。   企業との連携等により,販路拡大,受注促進図ります。 72ページ    事業計画 【主要事業】 №B-4-01 障害者就労支援事業 障害福祉課 事業概要  障害者が一般就労し,安心して働きつづけることができるよう,身近な地域において就労面及び生活面の支援を一体的に提供し障害者の就労の促進を図ります。 ○ 障害者地域生活・就労支援センターちょうふだぞう   (主に知的障害者,身体障害者) ○ こころの健康支援センター就労支援室ライズ   (主に精神障害者,発達障害者) 今後の 方向性  就労や生活面など多様な障害特性に応じた支援の提供を進めます。また,就労後のバックアップ支援を強化することで,安心して同じ職場に長く定着できるよう対応していきます。 №B-4-02 【新規】(仮称)ワークライフカレッジすとっくの運営 障害福祉課 事業概要  就労が可能な知的障害者に福祉的就労の機会を提供するとともに,一般就労に向けた訓練・支援を行う多機能型事業所として,令和6年4月に開所します。 ○ ワークライフカレッジすとっく(国領町)定員20人 今後の 方向性  すまいる分室の機能を拡大移転し,障害者就労支援センター「ちょうふだぞう」との連携体制の充実を図ります。 ※195ページに新たに設置する施設の概要を記載しています。 №B-4-03 【新規】雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業 障害福祉課 事業概要  重度障害者が就労するために必要な通勤や職場等における支援に対してヘルパーを派遣します。 今後の 方向性  重度障害者もより働ける社会の実現を目指し,調布市においても次期計画期間において事業開始を検討します。 №B-4-04 障害者等雇用事業 障害福祉課 事業概要  市役所等において障害者に対して就業の機会を設け,社会的自立の促進や労働意欲の向上を図ることで,障害者福祉の増進を図ります。 今後の 方向性  市役所等において,引き続き障害者の就労の場の提供及び制度の周知を行う。市内の就労支援センターと連携し,福祉的雇用から一般就労にむけてのステップアップを支援します。   73ページ №B-4-05 希望の家の運営 障害福祉課 事業概要  一般就労が困難な知的障害者に対し,生産活動等の機会の提供,授産指導,生活支援などの日中活動支援を行います。 ○ 希望の家(富士見町) 定員26人 ○ 希望の家分場(入間町) 定員12人 今後の 方向性  民間事業所では受け入れが困難な手厚い支援を必要とする重度知的障害者の受け入れの場として,今後も計画的な受入れの実施と支援体制の確保を図ります。特に,福祉的就労を希望する肢体不自由を重複した知的障害者の受け入れ体制を整備します。 №B-4-06 知的障害者援護施設そよかぜの運営 障害福祉課 事業概要  一般就労が困難な知的障害者に対し,生産活動等の機会の提供,授産指導,生活支援などの日中活動支援を行います。 ○ 知的障害者援護施設そよかぜ(西町) 定員30人 今後の 方向性  利用者の高齢化,重度化等に対応した支援体制の充実を図りながら,民間事業所では受け入れが困難な手厚い支援を必要とする重度知的障害者の受入れの場として,今後も計画的な受入れの実施を行います。 №B-4-07 知的障害者援護施設すまいるの運営 障害福祉課 事業概要  就労が可能な知的障害者に福祉的就労の機会を提供するとともに,一般就労に向けた訓練・支援を行います。 ○ 知的障害者援護施設すまいる(西町) 定員32人 今後の 方向性  高齢化により作業が困難になってきている利用者への対応を含め,今後の市立施設としての役割について,事業内容の見直し,検討を行います。 №B-4-08 デイセンターまなびやの運営 障害福祉課 事業概要  重度重複障害者を対象として日常生活や社会適応を養うための訓練を行うことで社会活動への参加を支援します。また,介護者の病気等で一時的に介護が困難な場合の日帰り介護を行います。 今後の 方向性  利用者の増加に伴い,新たに令和6年4月にデイセンターまなびや国領を開所します。デイセンターまなびや,まなびや国領の2施設の利用者について,現在実施している医療的ケアの継続を含め,利用者の障害状態に応じた必要な支援体制を整えていきます。 74ページ №B-4-09 こころの健康支援センターの運営(自立訓練事業) 障害福祉課 事業概要  精神障害者及び発達障害者を対象として,ニーズや対象者別のプログラムによるグループワーク,生活スキル向上や健康維持を目的とした訓練プログラム,個別課題に対しての訪問支援等を実施します。 今後の 方向性  利用者数が増加傾向にあり,引き続き活動プログラムや支援体制の充実を図ります。 №B-4-10 【新規】デイセンターまなびや国領の運営 障害福祉課 事業概要  デイセンターまなびやの利用者増を受け,令和6年4月に新たに開所します。重度重複障害者を対象として日常生活や社会適応を養うための訓練を行うことで社会活動への参加を支援します。また,介護者の病気等で一時的に介護が困難な場合の日帰り介護を行います。 今後の 方向性  現在デイセンターまなびやで実施している医療的ケアの継続を含め,利用者の障害状態に応じた必要な支援体制を整えていきます。 №B-4-11 (仮称)調布基地跡地福祉施設の整備 障害福祉課 事業概要  都有地である西町の調布基地跡地において三鷹市が行う福祉施設の整備に,府中市とともに参画します。  令和4年6月に三鷹市にて取りまとめられた「調布基地跡地福祉施設(仮称)整備に係る基本プラン」(改訂版)をもとに,以下のサービスを備えた「民設民営」方式による施設整備を行います。 〇 重症心身障害者(医療的ケアを含む)対象   生活介護 20人  短期入所 6人 〇 重度知的障害者(強度行動障害を含む)対象   生活介護 20人  短期入所 9人 今後の 方向性  令和5年度の事業者公募により,重症心身障害者向け施設と重度知的障害者施設の2施設の運営事業者が選定されました。  東京都,三鷹市,府中市,運営事業者と連携し,令和8年1月の開設,運営を目標に施設整備を進めるとともに,開設後も安定した運営のための補助を行います。 №B-4-12 作業所等経営ネットワーク支援 障害福祉課 事業概要  市内の作業所等が共同して製品販路,受注先開拓,製品受注及び製品開発等に取り組むネットワーク構築やその活動に対して,補助を行います。 今後の 方向性  民間企業と多様な連携を行い,従来の共同事業や自主製品づくりを充実するとともに,販路拡大等により作業所の利用者の勤労意欲の向上を図りながら,工賃水準の引き上げを目指すため,補助事業を継続します。 75ページ №B-4-13 障害者優先調達推進法への取組 障害福祉課 事業概要  調布市における障害者就労施設等からの物品及び役務の調達の推進を図ることで,障害者の就労支援及び自立と社会参加を促進します。 今後の 方向性  障害者優先調達推進法に基づき,「調布市障害者就労施設等からの物品等の調達方針」を策定し,その実績について公表していきます。また,引き続き市役所内での作業所製品等の展示販売会を実施するなど庁内で周知を図ります。 【その他関連事業】 事業名 事業概要 <№B-4-14> 若者向け労働相談の実施 (産業振興課)  地域若者サポートステーション事業であるちょうふ若者サポートステーション(以下,サポステ)は厚生労働省の委託事業として,NPO 法人育て上げネットが若者の職業的自立支援として実施するものです。調布市はサポステの公益性に鑑みて,あくろす内施設を無償で提供しています。  サポステでは,働く事に悩みを抱える15歳から49歳までの若者の就労や自立に向けて,相談やセミナーを行っています。また,働く事に不安を抱える子どもを持つ保護者からの相談も行っています。 <№B-4-15> 就労セミナーの実施 (産業振興課)  就労・労働問題に対して関心や,疑問,悩みを持つ市民や事業主に対して,ハローワーク府中,東京都労働相談情報センター多摩事務所,その他関係機関と連携したセミナーを開催することで,労働関連知識の啓発や就労等に関する情報提供を図ります。 <№B-4-16> 市内在住の障害者の雇用の促進 (障害福祉課)  障害者の雇用の安定及び促進を図るため,市内在住の障害者を雇用する事業者に対して,障害者就労体験事業奨励金を支給します。