事務連絡 令和5年9月28日 各部(局)長 様 行政経営部長  令和6年度予算編成方針について(通知)  令和6年度に向けた市政経営の基本方針(市長通達)が示され,同通達に基づく令和6年度の予算編成方針(調布市予算事務規則第4条に規定)を下記のとおり策定しましたので,現下の財政環境について全職員が共通認識し,財政の健全性を維持しながら,基本計画に基づくまちづくりを着実に前進させるため,限られた経営資源を最大限活用し,最少の経費で最大の効果を挙げる予算の編成をお願いします。 記 1 令和4年度決算振返り(Check) 令和4年度決算を総括すると,長期化するコロナ禍及び円安や原油高等に起因する物価高騰への対応として,国や東京都と連動した取組に加え,市独自の取組を含め,市民生活や地域経済への支援等を展開する中,一般会計補正予算を7回編成し,歳入歳出ともに令和2年度に続く過去2番目の決算額となりました。また,堅調な市税収入や,歳入確保,経費縮減の取組により,実質収支は46億4000万円余となりました。 一方,財政指標では,財政の弾力性を示す経常収支比率について,歳入においては個人市民税や地方消費税交付金が増となったものの,歳出において社会保障関係経費が引き続き増となったことなどにより,90.7%と,前年度から0.9ポイントの上昇(悪化)となりました。社会保障関係経費をはじめとする経常経費は年々増加傾向となっており,今後においても比率の上昇(財政の硬直化)が懸念されます。引き続き,市独自の財政規律ガイドライン※1の視点を踏まえ,歳入歳出両面からの不断の見直し・改革・改善により一層取り組んでいく必要があります。 2 今後の中長期的展望とその対処 市を取りまく財政環境としては,コロナ禍においても市税収入及び各種交付金については堅調に推移していますが,引き続き,物価高騰の長期化等に伴う今後の社会経済状況や景気動向を注視していく必要があります。 一方,歳出については,基本計画に位置付けた各施策・事業を着実に推進する中で,市民の安全・安心の確保や市民生活支援への継続的な取組をはじめ,災害対応能力の向上や,脱炭素社会の実現,デジタル化の推進などの重要課題に対応していく必要があります。 こうした状況の中,調布市は普通交付税の不交付団体であることから,自主・自立的な財政運営が不可欠であり,必要な財源確保のため,引き続き,国や東京都の補助金など特定財源の最大限の活用など,あらゆる角度からの歳入確保に取り組むとともに,全ての事業の優先度の精査,事業の見直しによる経費縮減のほか,不断の行財政改革を推進する中で,財政の健全性を維持していく必要があります。 3 令和6年度財政見通し 令和6年度の市税については,引き続き,個人市民税におけるふるさと納税の減収影響が懸念されますが,令和5年度の当初予算と比較して増額を見込み,財政フレームからも増額を見込んでいます。 一方,歳出については,引き続き,市民の安全・安心の確保や市民生活支援へ継続的に取り組みつつ,社会保障関係経費等の経常経費の増加のほか,公共施設マネジメントや都市基盤整備,行政のデジタル化,脱炭素社会の実現に向けた取組など,多大な財政需要が見込まれています。さらに,基本計画策定後に生じた制度改正や物価高騰等への対応,財政フレームから増額が見込まれる経費など,様々な財政需要により,大きな財源不足が生じることが見込まれます。 これらに対処するため,あらゆる角度からの歳入確保と経費縮減に取り組むほか,事業の優先度や規模,事業費の精査が不可欠な状況です。 4 令和6年度予算編成手法(Action) 令和6年度予算編成では,基本計画及び財政フレームの内容を基本としつつ,引き続き,限られた経営資源を最大限活用し,最少の経費で最大の効果を挙げる予算を編成することとします。 令和6年度の財政見通しを踏まえ,財源不足に対処するため,各部のマネジメントにより,「選択と集中」の視点から事業の優先度等を厳しく精査するとともに,全ての経費について精査・検証を行うこととします。また,新規・拡充事業は,優先度を精査し,厳選するとともに,経常経費については,義務的な経費を除き,仕様の見直しや事務の効率化等により,経費縮減を図ることとします。 そのため,行政経営部と各部で懸案課題等の個別協議,意見交換を実施するとともに,部を横断する重要課題への取組等については,関係部課間で調整・協議を行うなど,緊密に情報共有を図りながら,全庁一丸となった予算編成に取り組みます。 なお,予算編成に伴う事務の効率化に向けて,例年に比べ見積入力を早期に開始するとともに,ヒアリング・会議等を効果的・効率的に実施することにより,懸案課題等の協議・調整期間を確保し,事務負担の軽減・平準化を図ります。 5 令和6年度予算編成における基本姿勢(Action⇒Plan) 基本構想に掲げたまちの将来像「ともに生き ともに創る 彩りのまち調布」の実現に向け,基本計画に基づくまちづくりを着実に推進するため,次の3点を基本姿勢として,令和6年度予算編成に当たることとします。 一 基本計画及び財政フレームを基本とした計画事業の着実な推進 二 市民の安全・安心の確保と市民生活支援への継続的な取組と重要課題への対応 三 今後の大きな財政需要を見据え,財政の健全性を維持するため,歳入確保と経費縮減の取組 6 全般的事項 ・ 基本的項目 (1) 「令和6年度に向けた市政経営の基本方針」を踏まえ,市民の安全・安心の確保,市民生活支援や市政の重要課題への対応に継続的に取り組むとともに,今後の大きな財政需要を見据え,財政の健全性を維持するため,事業費の精査・縮減と併せ,あらゆる角度からの歳入確保を図ること。 (2) 長期化する物価高騰等に伴う様々な影響の把握に努め,引き続き,国や東京都の動向を注視しつつ,市の実情に即した実効的な対策を的確に実施すること。 (3) 通年予算として編成することとし,令和5年度における各事務事業の進捗状況や国の政策動向等を踏まえた年度間調整とともに,歳入歳出両面から不用額等の過大・過少が生じないよう,令和4年度決算及び令和5年度上半期契約実績等を踏まえた予算を編成すること。 (4) 監査委員からの決算審査における審査意見や例月出納検査の指摘事項については,具体的な見直し・改善方策を講じ,予算に反映すること。また,市民・議会からの意見について,適切な改善方策を講じること。 (5) 基本計画に位置付けた各施策・事業を着実に推進するため,決算振返りによる事務事業単位の行政評価と一体となった総合調整を行うとともに,各部のマネジメントのもと,最少の経費で最大の効果を挙げる予算編成に取り組むこと。 (6) 国や東京都からの補助金等を最大限活用するとともに,市長会をはじめ各種財団法人等からの助成金の活用についても積極的に検討すること。また,庁内連携や他団体との共同事業,民間活力の活用により,新たに対象となる補助金等もあることから,情報収集に努めるほか,新たな枠組みによる財源確保等も検討すること。 (7) 義務的経費を除く経常経費については,令和5年度当初予算額を基本とし,直近の決算額等を勘案した縮減を図り,見積もること。そのため,見積入力段階から仕様の見直しや事務の効率化などによる対応に取り組むこと。併せて,行革プラン2023のプラン26「事務事業等の見直し,改善による経常経費の縮減」に取り組むこと。 (8) 公共建築物の維持保全や都市基盤整備など市債の借入予定事業についても,経費縮減・事業の見直し,先送り等の進捗調整の取組により借入額が過大にならないよう努めること。 (9) 公共建築物維持保全や増築・改良工事等は,公共施設マネジメント計画との整合を図りながら,仕様,機能,グレード等の精査によるコスト縮減のほか,国や東京都等の補助金の最大限の確保や,進捗調整(令和5年度補正予算前倒し等)により,令和6年度の総事業費,市負担額を抑制すること。 (10) 既存事業の見直し,改革,改善や創意工夫により財源確保を図った取組については,「事業の見直し,財源確保・経費縮減の取組一覧表」を提出すること。 (11) 基本計画事業で予定している取組や制度改正に伴う取組以外の新規・拡充事業は,原則,実施しないこととするが,部内協議のうえ,真に優先度が高いと判断される新規・拡充事業の実施を検討する場合は,既存事業のスクラップ・アンド・ビルドや予定している事業の縮小・見直し等により財源を確保すること。 なお,新規・拡充事業については,「新規・拡充事業一覧表」を提出することとし,必ず部内で優先順位を明確に付けること(複数事業と同一順位にしないこと)。 (12) 補助金等制度については,予算見積の段階から,補助金等の交付基準及び評価・見直し基準※2に掲げる6つの視点からの精査・検証を行うこと。 (13) 各部における予算の総合調整については,これまで培ってきたコスト意識を最大限発揮する中で,各部の自主的・自立的な取組により実施していくこと。 限られた財源の中,各部において,全ての経費の精査,検証をはじめ,「選択と集中」の視点から,事業の優先度を厳しく精査するなど,部次長の統括による各部のマネジメント機能をより一層発揮すること。 ・ 具体的項目 (14) 経常的に市が単独で実施している事業については,最少の経費に縮減するとともに,新たな歳入の確保(特定財源の適用)や受益者負担の適正化等に努めること。 同様に,国及び東京都の補助制度に上乗せしている事務事業についても,他団体事例等も参考に,最小限の経費を見積もること。  併せて,スクラップ・アンド・ビルドの視点から,市民生活への影響も考慮しながら,制度の改廃についても検討すること。 (15) 公金の適正執行及び経費縮減の観点から,これまで特命随意契約としてきた業務委託等については,契約制度の原則である競争性の導入に努めること。また,長期継続契約の対象となる契約は,その活用を検討すること。併せて,業務委託等の仕様内容(範囲,回数,グレード等)を改めて再検証し,最適化を図ること。 (16) 各種基金については,事業実施に当たっての一般財源の負担を軽減し,年度間の平準化を図るための財源として有効な活用を図るとともに,寄附者の意向を踏まえた活用方法を検討すること。 併せて,基金の趣旨を踏まえた具体的な活用事業をPRするなど,市民の一層の協力が得られるよう積極的かつ分かりやすく周知を図り,寄附の促進につなげること。 (17) 各特別会計が独立した会計であるとの再認識に立ち,会計間の均衡を失することがないよう,一般会計と同一基調での予算編成を行うこと。特に,収納率の向上,収入未済額の縮減による歳入確保や,医療給付費等の縮減方策(ジェネリック医薬品の利用促進やレセプト点検の強化)を講じて,一般会計からの財源補塡的な繰入金の縮減を図ること。 (18) 財政援助団体等に対して,所管部課が予算の見積段階から市と同一基調の精査・検証を行う中で,収入確保・経費節減等の経営改善を要請し,自主・独立の経営に向けた取組を求めること。特に収入確保においては,団体等が直接交付を受ける補助金のほか,企業等からの協賛金や広告料収入などについて検討を促すこと。 (19) 税,使用料,手数料,その他収入については,適切な債権管理の推進により,収入未済の防止を図り,安定的な収入の確保に努めること。 (20) 地方消費税交付金のうち,地方消費税率の引上げによる社会保障財源分については,社会保障の充実・安定化に活用し,市民福祉の増進を図る制度としての趣旨を踏まえ,関係部署のマネジメントにおいても意を用いるとともに,その活用状況を分かりやすく明示していく。 (21) 限られた人材で,効果的・効率的に事務を執行するためには,日常業務の見直しが不可欠であることから,事務事業やシステムの整理・統合などと併せ,他団体との事業の共同化や官民連携,民間活力,デジタル技術の活用など,費用対効果を再検証し,改善につなげること。 (22) 「調布市職員の意識改革・働き方改革推進に関する方針」に位置付けた3つの視点に基づく取組(「意識改革・働き方改革の促進」,「マネジメント力の強化」,「全庁推進体制の継続」)を踏まえ,ワーク・ライフ・バランスをさらに推進すること。 (23) 「調布市ゼロカーボンシティ宣言」に基づく取組を推進するとともに,既存経費の内容について再点検し,環境に配慮した予算を編成すること。 (24) 予算見積りに当たっては,歳入・歳出の計上節ごと,予算編成事務要領に記載の「令和6年度見積指針」を踏まえた積算を行うこと(行政経営部(財政課)と各部(課)の予算ヒアリングは見積指針を基準に実施する)。 【参考】 ◎財政規律ガイドラインを見据えた取組※1 令和6年度予算編成についても「財政規律ガイドライン」に基づく3つの視点から進行管理し,市独自の財政規律を保持した自主・自立的な取組を推進します。 1 財政構造の見直しの視点 ・ 収納率向上に向けての取組(市税及び国民健康保険税) ・ 未収金の縮減・解消に向けた取組(組織の横断的・適時な取組) ・ 自主財源・特定財源の両面からの積極的な財源確保 ・ 監査委員からの決算審査の審査意見や例月出納検査の指摘事項等の改善 ・ 経常的な事務事業(物件費・補助費等)の総点検 ・ 歳入歳出両面からの不断の見直し・改革・改善の取組 2 財政基盤の強化の視点 ・ 公共建築物維持保全への対応や中心市街地をはじめとする街づくりなどの特定目的,年度間調整としての基金の利活用のほか,財源確保と経費縮減の取組成果とも言える実質収支や財政効果額の活用による財政基盤の強化等 3 連結ベースでの債務残高縮減の視点 ・ 後年度負担に留意した適切な市債の活用 ・ 国や東京都の特定財源確保による債務残高の解消等 ◎補助金等の交付基準及び評価・見直し基準※2  補助金等制度については,補助金等審議会答申(平成27年8月)において提言いただいた補助金等の交付基準及び評価・見直し基準の6つの視点からの精査・検証を行うこととします。  ①必要性 真に必要性が認められるものに限定して交付していくこと  ②重要性 市の計画に明確に位置付けられるものなど,政策形成過程から重要性が認められるものに優先的に交付していくこと  ③公平性 特定の市民や団体等に特権的な恩恵や利益を与えるものであってはならず,交付の目的に照らし適切な対象範囲にその効果が及ぶべきものであること  ④有効性 交付の目的を実現する効果が得られるよう,実施形態・手法,交付内容・期間等について最適となるよう選択すること  ⑤透明性 交付の実績や効果などが定期的に公表され,市民に分かりやすく周知されること  ⑥公正性 交付の目的,要件,内容等を具体的かつ明確に規定した根拠規定に基づき交付すること