令和4年度第2回調布市入札等監視委員会の会議概要 開 催 日 時 令和4年11月17日(木) 午後3時00分から4時30分まで 開 催 場 所 ウェブ開催 出 席 者 委 員 櫻井 務  委員長(学識経験者) 本多 秀毅 委員(公認会計士) 柴田 亮子 委員(弁護士) 所管課(発注課) 総務部 管財課 子ども生活部 保育課・児童青少年課 教育部 教育総務課・社会教育課・東部公民館 事務局 総務部契約課 永山課長,安倍契約係長,三澤工事担当係長,吉澤主任 次 第 1 開 会 2 審 査  ⑴ 抽出案件について ア 調布市市庁舎非常用発電設備冷却装置設置工事(中止・制限付き一般競争入札) イ 調布市八ケ岳少年自然の家機械設備改修工事(制限付き一般競争入札) ウ 調布市立東部保育園・調布市立東部児童館・調布市東部公民館外壁及び屋上防水改修工事(不調・制限付き一般競争入札) エ 調布市立布田小学校校舎増築に伴う機械設備工事(制限付き一般競争入札)  ⑵ 審査結果集約 3 閉 会 1 開 会 2 審 査 (1) 抽出案件について ア 調布市市庁舎非常用発電設備冷却装置設置工事(中止・制限付き一般競争入札)  【事業・工事概要説明】   ○管財課     本件の工事場所は,調布市小島町2丁目35番地1,調布市市庁舎地階及び市庁舎南側の敷地である。令和4年6月15日に契約を締結し,令和4年6月16日から令和5年3月10日までを工期としている。     本件工事は,災害時における市庁舎非常用電源の継続稼働の72時間化の実現に向けた事業の一環として実施しているもの。     ただ,本件については,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に起因する半導体不足,鋼材価格及び人件費の高騰などによって入札手続が2回不調となった経過がある。こうしたことから,当初予定していた受変電設備の改修,燃料タンクの増設及び非常用発電設備2号機の新設等を工事内容から除外するなど,現段階で実施可能な範囲のみ整備することとし,本件の工事に係る手続を実施した。今後は半導体の供給状況等を注視して,市庁舎非常用電源の継続稼働72時間化に向けて,令和5年度以降も段階的に工事を実施していく予定である。     本件の工事内容は,既存の非常用発電設備1号機の運用を安定させるための冷却装置(クーリングタワー)を新たに敷地内に設置するとともに,別途契約により撤去する無停電電源装置用発電設備の負荷を非常用発電設備1号機の系統に切り替えるもの。     また,工事によって1階の多目的スペースの一部の照明や電源を通常の一般系統から非常用発電設備の系統へ切り替えることにより,災害時に1階の多目的スペースが柔軟に利用できるようになる。  【入札・契約手続説明】   ○事務局     本件は,設計金額500万円以上の給排水衛生工事であることから,調布市制限付き一般競争入札要綱(以下,要綱という。)及び調布市制限付き一般競争入札実施基準(以下,実施基準という。)に基づき,2回制限付き一般競争入札を実施したところ,本体工事が不調になったことに伴い中止となり,工事内容を見直し,3回目の制限付き一般競争入札を実施した結果,契約に至った案件。     初めに,1回目の入札手続について,当初予定していた工事の目的を達成するため,電気工事とそれに附帯する機械設備工事として発注をした。本件工事に相当する機械設備工事について,設計金額は3,400万円余の金額で,業種は給排水衛生工事であることから,実施基準に照らすと,設計金額が3,000万円以上7,000万円未満の区分に該当するため,建設業許可区分は一般または特定建設業の許可を有していることとした。また,地域区分及び経審の総合評定値についても,実施基準のとおり市内本店500点以上1,200点未満とした。     公告は令和3年11月11日,申請書提出期限は11月17日で,申込みは5者からあったが,本体工事を1月31日に開札したところ,受変電設備改修に必要となる半導体不足等により全者辞退したことで不調になった結果,1回目の入札手続を中止した。なお,中止した案件の最低制限価格は非公表としている。     次に,2回目の入札手続について,設計金額は,新労務単価の活用により1回目から149万円余の金額が増額となり,3,634万2,900円で,業種は給排水衛生工事であることから,実施基準に照らすと,1回目と同様に設計金額が3,000万円以上7,000万円未満の区分に該当するため,建設業許可区分は一般または特定建設業の許可を有していることとした。また,地域区分及び経審の総合評定値についても,実施基準のとおり市内本店500点以上1,200点未満とした。     公告は令和4年3月14日,申請書提出期限は3月18日で,申込みは4者からあったが,本体工事を3月28日に開札したところ,鋼材価格等の著しい高騰により全者辞退したことで不調になった結果,2回目の入札手続を中止した。     続いて,3回目の入札手続については,1回目と2回目の本体工事の入札は,半導体不足及び鋼材価格の著しい高騰により不調となったことを受けて,令和4年度の工事を暫定整備と位置づけ,非常用電源設備の安定運用を主眼に置き,機械設備工事のみを発注することになった。     設計金額は3,200万円余の金額で,業種は給排水衛生工事であることから,実施基準に照らすと,設計金額が3,000万円以上7,000万円未満の区分に該当するため,建設業許可区分は一般または特定建設業の許可を有していることとした。また,地城区分及び経審の総合評定値についても,実施基準のとおり市内本店500点以上1,200点未満とした。     公告は令和4年5月26日,申請書提出期限は6月1日で,申込みは5者からあった。6月13日に開札し,落札予定者の資格を審査した。その結果,提出書類にて要件を満たしていることが確認できたことから落札決定を行い,6月15日に契約を締結した。     なお,4者の辞退理由について,2者が積算超過,2者が技術者不足の旨を確認している。     また,1回目及び2回目の入札手続については,契約後に受注者が消防署に提出するオイルタンクの設置許可申請等に要する期間をあらかじめ見込んでいたため,工事着手日まで技術者等の配置が不要となる余裕期間制度を活用した。  【質疑応答】   ○委員     本件について,冷却装置の設置には基礎工事が必要になると思うが,今回の工事に含まれるのか。   ○管財課     はい。   ○委員     今後予定している本体工事を施工するときにもう一度接続し直すような二度手間は発生しないのか。   ○管財課     今回の冷却装置については,既存の非常用発電設備1号機に設置するものであることから,今後行う本体工事にも影響しない。   ○委員     入札結果について,落札事業者以外は辞退している。また,落札率が100%であった点が非常に気になる。予定価格は公表しているのか。   ○事務局     入札金額について,予定価格を公表している中で,事業者が積算した結果として100%になったと理解している。また,積算に関する補足にもなるが,工事主管課の積算内訳と入札後に事業者から提出された内訳を比較すると,直接工事費などについて大きな差は見受けられなかったことから,適切な価格設定を行ったものと考えている。   ○委員     3回の入札手続を実施し,設計金額が3,480万円から3,630万円になり,最終的に3,250万円になっている。積算の経過を確認したい。   ○事務局     まずは,1回目と2回目入札ではオイルタンクの設置など庁内の非常用電源72時間化を達成するための全ての機器等を揃える計画であった。ただ,本体工事について,半導体不足等の影響が大きく,当初の計画に基づく入札では契約することが困難な状況であることが明らかになった。そのため,3回目の入札では計画を見直し,老朽化しつつも現状の設備を支障なく使用できる部分を生かしながら,今後の72時間化に向けて,必要となる部分を先行して実施し,段階的に整備していくという考え方の中で発注したといった経過がある。     設計金額ベースでいうと,2回目の積算は1回目と比較して,労務単価や積算の単価を入れ替えたことで,約140万円余の金額が上がった。3回目については,工事内容を見直したことで,1回目の積算金額より約230万円減額となった。   ○委員     今回の工事について,稼働時間を長くすることが1つの目的であったと思うが,その目的は達成されたという理解で良いか。   ○管財課     今回の工事は,非常用電源の稼働時間が直接延びるものではない。今回は,既存の非常用発電設備1号機に対して冷却装置を設置することで運用の安定化を図ることと,電源の接続先を変更することで,今後の工事を進めていくための準備的な工事を行うことを目的とした。     非常用発電設備の継続稼働72時間化には,オイルタンクを大きくし,非常用発電設備2号機の導入が必要になるため,令和5年度以降に必要な設備を整備していく。   ○委員     稼働時間延長を実現するための工事は残っていることから,改めて発注しなければならないということであると,現状の資材価格高騰あるいは調達の困難な状況が解消される可能性が低い中で,価格設定や時機をみて発注するということなどをもう一度再検討し,早めに動き出す必要があると思う。     今後,今回のようなことが増えていくかもしれない。また,来年度以降には税収が減っていく恐れもあることから,タイムリーな発注や工事内容を適宜修正して対応していく必要があるし,これらの対応を早急に判断することが求められているのではないか。   ○事務局       本件については,令和5年度以降も整備を行うこととなるが,市としてはできることは行いつつ,半導体不足などの不調となった原因に対して,状況が変化したところですぐに動き,タイムリーに発注できるようにしておかなければならないと認識している。   ○委員     本件については,災害時72時間稼働を実現することが喫緊の課題と認識している。災害はいつ起こるかわからないことから,少しでも早く達成しなければならないと思う。    公共工事と性質が異なるかもしれないが,民間工事においてもやはり半導体不足で工事に時間がかかるものがある。その中で,今発注すれば資材等を手配し半年後には工事ができるような場合もある。    まずは,災害対応で必要になるものを優先的に確保しなければ,半導体不足などの状況悪化と相まって,市民生活に影響する災害対応のための工事が遅くなってしまうのではないか。    ただ,地方公共団体の制度においては,なかなか難しい部分もあるかもしれないが,例えば,必要な部材については支給材として役所が手配するなど様々な手法があるように思う。この点について,市としても苦労されていることは理解しているが,現在の諸情勢の中においても,一日でも早く工事が施工できる手立てはないのか。   ○事務局     特に電気関係の工事については,ここのところ部材が入りにくいことから,上手くいかないケースも見受けられ,契約の観点でいうと,工事全体が延びると技術者などを拘束する期間にも影響してしまう。    市が資材等を準備する手法についても併せて検討する必要もあると思うが,まずは時機を見計らい工事内容をうまく切り分けながら発注していくことを考えている。    この点については,次の審査対象案件である八ケ岳少年自然の家の工事で説明するが,工事内容を切り分けた結果,契約に結び付いた事例もある。こうしたことから,半導体不足等といった不透明な情勢が続くなかにおいては,工事全体を要素ごとに切り分けて発注することや,タイミングを見計らって発注することで契約に至るケースがあるなど,改善できる部分が少しあるように捉えている。   ○委員     2回目の本体工事の電気工事が不調になった件について,辞退理由に鋼材価格の著しい高騰とあるが,工事に対する鋼材価格が占める割合はどの程度なのか。土木や建築とは異なり,少し高くなっても全体に占める割合はあまり大きくないような気がする。   ○管財課     電気工事の中には,大きなオイルタンクを設置することが含まれていた。そのため,鋼材価格の高騰がタンク本体や部品に係る部分に影響したと認識している。   ○委員     最初の議論に戻るが,災害時に必要なものであれば,少々値段が高くても公共調達するものではないかと思う。現状,価格が高騰したことで,様子を見ていると理解して良いのか。   ○事務局     価格については,全体的に鋼材価格が上昇していることから,工事中の案件においては,物価高騰に合わせて契約金額をスライドさせて契約変更している状況もある。それと同様に,やはり設計金額について,適宜適切に積算することになるため,鋼材価格の上昇を理由に調達しないわけではない。     今回の件については,半導体不足でそもそも調達できない部分があったことが大きい。そのため,鋼材価格の上昇ということだけであれば,ほかの手法を検討すべきものであると認識している。   ○委員     いずれにしても,現在の情勢の中で契約に至るまで難しい課題があることは理解している。できるだけ早く工事ができるように引き続き対応していただきたい。   ○委員長     1件目の審査については以上で終了とする。     本工事について,入札・契約手続が適正かつ適切に行われていたと,決定してよろしいか。         (全委員了承)   イ 調布市八ケ岳少年自然の家機械設備改修工事(制限付き一般競争入札)  【事業・工事概要説明】   ○社会教育課     本件の工事概要について,工事場所は山梨県北杜市高根町清里3545番地1。契約締結日は令和4年6月14日で,工期は令和4年6月15日から令和5年3月17日まで。      設計金額は1億4,137万2,000円。契約金額は1億4,116万3,000円である。    発注理由等について,本工事は調布市八ケ岳少年自然の家の本館及び体育館において老朽化した機械設備の改修を行うもの。発注業種は給排水衛生工事で,工事内容は衛生器具設備改修,給水設備改修,排水設備改修,合併処理浄化設備改修,電気設備改修,内装改修である。    また,補足情報として,調布市八ケ岳少年自然の家は昭和58年に開館し,今年で築39年を迎える。利用状況は,コロナ禍前は毎年増加傾向にあり,1万4,000人程度で推移していた。施設としては,研修室や談話室,食堂,保健室,乾燥室,浴室,体育館を有しており,収容人数は300人である。当施設は小学校の移動教室に利用されていることから,工事は移動教室と時期をずらし,令和4年10月27日から施設を閉館して行う冬季の工事である。  【入札・契約手続説明】 ○事務局     本件は,設計金額500万円以上の給排水衛生工事として,要綱及び実施基準に基づき制限付き一般競争入札により実施し,契約した案件。    初めに,入札参加資格の設定に当たり考慮した事項を2点説明する。    1点目は地域区分。本件の工事場所が山梨県であることを踏まえ,山梨県及び長野県を含めた地域区分を設定することを検討したが,結果として一定規模以上の事業者は数社しかなく,さらに事業者所在地も工事場所から離れていることが確認できたことから,山梨県及び長野県まで地域区分を拡大しなかった。    2点目の検討内容は,他の案件との調整などである。本件について,実施基準によると,給排水衛生工事で7,000万円以上1億5,000万円未満の区分に該当する。ただ,本件の発注と同時期に,小学校給食室の機械設備工事で1億3,000万円余の給排水衛生工事の発注が予定されていたことや工事場所が遠距離であることを踏まえると,不調・中止が懸念された。そのため,入札手続の不調・中止を回避する観点から,市外事業者も入札参加を検討した。    本件の設計金額は1億4,000万円余の金額で,実施基準の次の区分に近いことから,市外事業者に対しては1億5,000万円以上3億円未満の区分に準じる対応を行った。    具体的な入札参加資格については,市内事業者に対しては,実施基準のとおり,地域区分を市内本店・支店,建設業許可区分を特定または一般,総合評定値を600点以上,完成工事実績は予定価格の3分の1以上とした。一方,市外事業者に対しては,地域区分を多摩地域本店・支店,建設業許可区分を特定または一般,総合評定値を750点以上,完成工事実績は予定価格の2分の1以上とした。    入札経過について,本件は設計金額が5,000万円以上であることから,業者指名等適格審査会に付議することが必要であるため,令和4年5月17日の令和4年度第2回調布市業者指名等適格審査会において入札参加資格を審査し,承認を得た。    公告は5月23日,申請書提出期限は5月31日で,市内事業者は5者,市外事業者は2者,合計7者から申込みがあった。6月10日に開札し,落札予定者の資格を審査した。その結果,提出書類にて要件を満たしていることが確認できたことから落札決定を行い,6月14日に契約を締結した。    なお,4者の辞退理由について,3者が積算超過,1者が技術者不足の旨を確認している。  【質疑応答】 ○委員     当初,山梨県,長野県を含めた地域区分を検討されたとのことだが,一定規模以上の事業者が数社しかなかったことから,拡大しなかったとしつつ,多摩地域までは広げた状況がある。事業者からしたら,山梨県や長野県からのほうが移動時間や交通費が掛からないことから費用が安く済んだのではないか。この点について,少し詳しく確認したい。   ○事務局     地域区分については山梨・長野まで拡大することも検討したが,本件については,設計金額に対する実施基準に準じた対応を行ったということである。     具体的には,今回の設計金額について実施基準の区分に照らすと,該当する区分より1つ上の区分に近かった。そのため,該当する区分より1つ上の区分に準じて,地域区分の設定を多摩地域までとしたというのが経過である。   ○委員       区分を上げると,山梨や長野だと事業者が対象外となるような状況があったということか。   ○事務局       実施基準について,今回の設計金額が1億4,137万2,000円の金額であることから,1つ上の区分である1億5,000万円以上3億円未満の区分に近く,その区分における地域区分が市内本店・支店と多摩地域本店・支店であったことから,それに準じた対応を行ったということである。    一方で,山梨県,長野県について,工事場所から近い事業者であれば地理的なメリットがあることも踏まえて検討したが,事業者の所在地が今回の清里とは相当離れている事業者ばかりであったことから,多摩地域から出発するのとそこまで変わらない移動時間であると確認できた。そのため,今回は区分を一段階上げた対応,実施基準に準じた形で発注したということである。   ○委員     本件では,多摩地域から出発するのと移動距離があまり変わらないため,地域区分を都外に拡大しなかったということだが,状況が異なる場合には柔軟に対応するこということか。   ○事務局       検討した経過として,近隣自治体の建築工事で山梨県・長野県まで対象としていた案件を参考にしたが,給排水衛生工事における山梨県・長野県の事業者の所在地が工事場所からどうしても遠かった。    そのため,都外まで拡大しなかったが,業種が変われば検討事項になる。   ○委員       1件目の案件の中で説明された工夫点を伺いたい。本件については給排水衛生工事以外にも関連工事があったのか。   ○事務局       八ケ岳少年自然の家の工事について,当初は空調も含めて施工する考えがあった。ただ,1件目の審査対象案件と同様に部材の手配が厳しい点があったことから,工事内容の切り分けを行い,先行して本件の機械設備工事を発注したことにより,契約に至った。なお,空調工事については,現在入札手続を実施しているところである。   ○委員       入札手続中の空調工事については,積算や工期の設定を適切に行わないと,不調や契約できたとしても資材の調達等に時間を要することもあると思われる。発注において工夫した点は以上か。   ○事務局       はい。   ○委員       工事場所が遠隔地である山梨県にあるが,その場合,例えば労務単価や運搬費など積算するうえで異なる部分はあるのか。   ○事務局     積算上については,船を使って島に行くような遠隔地で施工する案件であれば補正がかかるが,地続きで施工する場合については遠隔地に係る補正はないことを確認している。   ○委員       工事場所が市内であろうと山梨県であろうと,積算上は全く同じということか。   ○事務局       はい。   ○委員       この場合,事業者からみれば,遠隔地ということが積算の部分で少し負担のある工事と受け止められるのは仕方がないということか。   ○事務局       はい。   ○委員      本件は市内事業者が落札したが,実際に施工するとなると,例えば地元の小さい事業者を下請に入れたりするのか。   ○事務局       現状,まだ工事に着手していないが,施工体系図を確認したところ,下請に山梨県や長野県の事業者が入っていることを確認している。   ○委員       調布市内の元請事業者が,地元の事業者を随時使いながらうまく工事をやっていくと理解して良いか。   ○事務局     はい。   ○委員       調布市には遠隔地の施設は他にもあるのか。   ○事務局       以前は遠隔地の施設が他にもあったが,閉鎖した。そのため,現在は八ケ岳少年自然の家のみである。   ○委員       本件について,山梨県や長野県の事業者が下請に入ることが予想でき,マージンも必要になると思う。この場合,下流の下請事業者に影響すると思われるが,この点について,特に手当てがないと理解して良いか。   ○事務局       積算上,そのような点を見込むことができない。   ○委員     了解した。   ○委員長     2件目の審査については以上で終了とする。     本工事について,入札・契約手続が適正かつ適切に行われていたと,決定してよろしいか。    (全委員了承) ウ 調布市立東部保育園・調布市立東部児童館・調布市東部公民館外壁及び屋上防水改修工事(不調・制限付き一般競争入札)  【事業・工事概要説明】   ○東部公民館(保育課・児童青少年課)     本件の工事場所は調布市若葉町1丁目29番地21。令和4年8月9日に契約締結し,工期は令和4年8月10日から令和5年2月24日まで。発注理由は,本件は調布市立東部保育園,調布市立東部児童館及び調布市東部公民館の外壁及び屋上防水の改修を行い,施設の維持・保全を図るもの。    補足として,調布市立東部保育園,調布市立東部児童館及び調布市東部公民館は,合築の一体となった複合施設であり,1階部分は保育園,保育園の上部2階が公民館,併設の児童館は1,2階の構成となっている。また,各施設の面積割合は,保育園40%,児童館32%,公民館28%となっている。外壁及び屋上防水の改修工事は,前回平成6年度に実施して以来,実施するものである。また,本工事に伴い休館等施設使用不可の措置は行わず,工事期間中,施設の利用者の安全を確保しながら,保育園,児童館,公民館,各施設の運営を継続する予定である。    工事内容については,外壁改修工事として外装用仕上げ塗装,防水改修工事としてウレタン塗膜防水を行うものである。    【入札・契約手続説明】   ○事務局     本件は,設計金額500万円以上の建築工事であることから,要綱及び実施基準に基づき,一般競争入札を実施したところ,全者辞退により不調となったが,工事内容を見直し,制限付き一般競争入札を実施した結果,契約に至った案件。    初めに1回目の入札手続について,本件は,当初調布市立東部保育園・調布市立東部児童館・調布市東部公民館外部エレベーター設置ほか工事として令和4年6月1日に契約することを想定し,入札手続を開始した。なお,不調となったため,最低制限価格は非公表としている。    設計金額は1億2,000万円余の金額で,業種は建築工事であることから,実施基準に照らすと,設計金額が9,000万円以上1億5,000万円未満の区分に該当するため,建設業許可区分は一般または特定建設業の許可を有していることとした。また,地域区分及び経審の総合評定値についても,実施基準のとおり,市内本店600点以上とした。    また,設計金額が5,000万円以上であることから,業者指名等適格審査会に付議することが必要であるため,令和4年4月19日の令和4年度第1回調布市業者指名等適格審査会において入札参加資格を審査し,承認を得ている。    公告は令和4年4月28日,申請書提出期限は5月11日で,申込みは5者からあったが,5月30日に開札したところ,半導体不足によりエレベーターの調達見込みが立たず工期が不足したことから,全者辞退により不調になった。    2回目については,工事内容を見直し,再発注した。再発注における検討事項について,不調となった1回目の工事は,施設の機能向上の側面と維持・保全の側面が合わさった内容の工事であったが,不調の結果を踏まえて,エレベーターの調達状況を見極めつつ再発注のタイミングを検討していたが,エレベーターの調達見通しは不透明な状況であった。そのため,再発注に当たり工事内容の優先順位を検討した結果,まずは維持・保全を優先することになったことから,エレベーター設置工事を分離することにした。    手続について,エレベーター設置工事を分離したことに伴って設計金額が,5,400万円余の金額となり,業種は建築工事であることから,実施基準に照らすと,設計金額は5,000万円以上9,000万円未満の区分に該当し,建設業許可区分は一般または特定建設業の許可を有していることとした。また,地域区分及び経審の総合評定値についても,実施基準のとおり,市内本店600点以上1,200点未満とした。    また,設計金額が5,000万円以上であることから,業者指名等適格審査会に付議することが必要であるため,令和4年7月12日の第4回調布市業者指名等適格審査会において入札参加資格を審査し,承認を得ている。    公告は7月19日,申請書提出期限は7月26日で,4者から申込みがあった。8月5日に開札し,落札予定者の資格を審査した。その結果,提出書類にて要件を満たしていることが確認できたことから落札決定を行い,8月9日に契約を締結した。    なお,3者の辞退理由について,2者が積算超過,1者が技術者不足の旨を確認している。    また,補足情報として分離したエレベーター設置工事は,令和4年10月17日に再発注し,11月7日に契約した。再発注の内容については,設計金額が8,000万円余の金額で,発注業種を建築工事とし,実施基準に基づき地域区分を市内本店としたところ,4者から申込みがあり,11月2日に開札した結果,市内事業者が落札したことから,契約した。なお,1者の辞退があったが,その理由は技術者不足の旨を確認している。  【質疑応答】   ○委員       本件について,平成6年以来の外壁及び屋上防水の改修工事だとすると,急いで実施しなければならない部分もあると思われることから,分離して発注したというのは非常に納得できる。ただ,そもそもエレベーターの設置と一緒に施工する必要性があったのだろうか。当初,外壁と屋上防水,エレベーター設置を一緒に施工するとした理由を確認したい。   ○事務局       外壁及び屋上防水とエレベーター設置工事は同じ建築工事に該当することから,一括して発注した。また,東部公民館は施設の2階にあることから,エレベーターの設置について利用者からの要望が多かった。そのため,できるだけ早く設置したいと考えたことから,合わせて発注したというのが経緯と認識している   ○委員     入札全体に関わるかもしれないが,積算超過を理由とする辞退がここのところ多い印象がある。     コロナの影響やウクライナの状況などにより,資材が高騰している中で,設計金額自体を見直す必要性があるのではないか。誠実な事業者を積算超過ではじくことになっているのではないかと心配に思う。   ○事務局     本件に限らず,積算単価は東京都に準じていることから,市場の単価と合っているものと異なる部分があるかもしれないが,工事を発注する際は,積算単価を毎月最新のものに更新して積算している。    また,工期が長期化すると,単価について設計段階と施工中で乖離が生じる部分があることも認識している。その点については適用する条件が厳しいところがあるが,スライド条項を用いて適切に対応していきたいと考えている。   ○委員     公共工事の積算においては,裁量の余地が少ないことは理解しているものの,どうしても公共単価は後追いにならざる得ない部分はあると思う。そのため,柔軟にスライド条項等を活用していただきたい。   ○事務局     はい。   ○委員     外壁改修工事は一定期間ごと実施しなければ,漏水等が発生した場合にその原因究明が難しくなると思う。このような施設の改修工事について,改修に関する計画等が存在するのか。   ○東部公民館     市全体の公共施設の改修計画について,維持・保全に関する計画を定めている。また,施設ごとの維持・保全の計画については,市の基本計画の中にも位置づけて,計画的に対応している状況である。   ○委員     計画に基づく改修の周期は何年なのか。   ○事務局     市全体の順序があるため一概にはいえないが,基本的には20年を1つの目安として,計画に位置づけている。   ○委員     エレベーターの設置が含まれた1回目の発注金額とエレベーターを除いた2回目の発注金額の差が6,500万円余で,この差額がおおよそエレベーターの金額にあたるのではないかと考えられるが,別発注したエレベーター設置工事の金額が8,000万円に上がっている。     これまで他の施設でもエレベーター工事の案件があり,入札等監視委員会で審査したことがあるが,往々にしてメーカー毎で規格が異なっていることなどにより,エレベーター関連の案件は他社の参入が難しい業界であると認識している。今回はある程度の事業者が入札に参加しているようだが,エレベーター部分については1回目と2回目で変更点はあるのか。   ○事務局     エレベーターについては,1回目と今回落札された2回目において設計を変更した点はない。     今回のエレベーター工事では,新たにエレベーター棟を増設することが必要であったことから,建築工事として発注した。この点が,これまでのエレベーター改修工事とは異なる部分であると考えている。   ○委員     今回は,エレベーターを新規に設置するため,複数のエレベーターメーカーが対象であったということか。   ○事務局     はい。   ○委員     今回の工事については,塗装工事とエレベーターが抱き合わさっていた点に違和感を覚える。また,冒頭の質疑で,業種が同じで一括で施工することでエレベーターが早く設置できると説明されていたが,工事の内容は全く異なるのではないか。     建築工事の中でも様々な区分があると思うが,エレベーターにはもちろん建築の要素があることは理解しているが,大部分は機械設備工事ではないか。     内容が異なる工事を抱き合わせた理由を確認したい。   ○事務局     今回はエレベーターの籠が上下に移動するための建物を増築する必要があったため,建築工事の要素が強い工事であった。そのため,エレベーター関係の工事であるが,業種を建築とした。     確かにエレベーターの工事は外壁などの工事と性質が異なるのではないかという指摘も理解できるが,外壁などに係る工事についてはこれまで建築で発注してきた実績もあり,同じ建築工事にあたるため,併せて発注したという経過である。   ○委員     エレベーターに係る案件を分離・分割する考え方などはあるのか。エレベーター工事となると全て建築工事で発注するのか。   ○事務局     今回はエレベーター棟を新規で増築するため建築工事で発注したが,既存のエレベーターを改修する工事では,専門工事として業種をエレベーターとして発注してきた。   ○委員     今の説明だと建物を新築する際,エレベーターを分割発注することはないと受け止められるが,間違いないか。   ○事務局     例えば,大きな建物を新築する際にエレベーターを設置することになれば,分離・分割発注について検討する余地はあると考える。   ○委員     了解した。   ○委員長     3件目の審査については以上で終了とする。     本工事について,入札・契約手続が適正かつ適切に行われていたと,決定してよろしいか。    (全委員了承) エ 調布市立布田小学校校舎増築に伴う機械設備工事(制限付き一般競争入札)  【事業・工事概要説明】   ○教育総務課(児童青少年課)     本件の工事場所は調布市染地1丁目1番85。契約締結日は令和4年6月27日で,工期は令和4年6月28日から令和5年3月17日まで。設計金額は5,181万1,100円,契約金額は5,170万円である。発注理由について,本工事は調布市立布田小学校における学区域内の児童数増加に伴い,普通教室及び学童クラブ室の不足に対応するため,校舎棟の増築工事に併せて機械設備工事を実施するもの。     補足情報として,布田小学校の既存校舎は学校を設置した昭和56年から建設後41年が経過している。直近では,平成25年度に給食室へのアレルギー対応調理室の設置などによる増築を行っており,今回の増築は学区域内の児童数の増加と併せて,35人学級への引下げ編制による影響もあることから,普通教室が必要になるとともに,学童クラブを使用する児童も増加し,スペースが手狭になるため,教室などを増設するもの。      発注業種は給排水衛生工事で,工事内容は,給排水衛生設備工事・空気調和設備工事・消火設備工事・ガス設備工事である。    増築建物の概要は,鉄筋コンクリート造,地上3階建て,延べ面積703.26㎡。主要諸室は,2階に普通教室が2室,3階に多目的室が1室,1階に学童クラブ室1室,各階に男女トイレ及び1階に多機能トイレがある。  【入札・契約手続説明】   ○事務局     本件は,設計金額500万円以上の給排水衛生工事として,要綱及び実施基準に基づき制限付き一般競争入札により実施し,契約した案件。    設計金額は,5千百万円余の金額で,業種は給排水衛生工事であることから,実施基準に照らすと,設計金額が3千万円以上7千万円未満の区分に該当し,建設業許可区分は,一般又は特定建設業の許可を有していることとした。また,地域区分及び経審の総合評定値についても実施基準のとおり市内本店,500点以上1200点未満とした。なお,完成工事実績については,予定価格の3分の1以上を求めた。また,設計金額が5千万円以上であることから,業者指名等適格審査会に付議することが必要であるため,令和4年4月19日の令和4年度第1回調布市業者指名等適格審査会において入札参加資格を審査し,承認を得ている。    公告は4月25日,申請書提出期限は5月9日で,6者から申込みがあった。5月24日に開札した結果,落札予定者の資格を審査した。その結果,提出書類にて要件を満たしていることが確認できたことから落札を決定したが,議会案件である本体工事の契約締結まで保留し,6月27日に契約を締結した。なお,4者の辞退理由について,全者積算超過の旨を確認している。  【質疑応答】   ○委員     1件目の審査案件と本件については,工期限が同じ。また,1件目の案件を落札した事業者が本件においては,落札額に近い金額で2番札を入れている。この状況について,事務局の考えを確認したい。   ○事務局     工期限については,年度内の完了検査の都合があるため同日に設定されている。    次に金額面についてであるが,市の入札では,事業者による職員への接触防止や適正な価格を示すため予定価格を事前公表している。その中で,事業者は事前公表された予定価格を参考にしつつ,積算を行って入札に参加していると考えている。また,最近の資材価格の高騰なども加わり,どうしても入札金額が狭い範囲に集中することもあるものと認識している。事務局としては,入札の競争性を確保していくことや適正な価格での落札されることなどについて,常に注視していく必要があると考えている。   ○委員     了解した。  ○委員長     4件目の審査については以上で終了とする。     本工事について,入札・契約手続が適正かつ適切に行われていたと,決定してよろしいか。    (全委員了承) (2) 審査結果集約 【審査結果】   今回は,入札不調・中止案件を含む制限付き一般競争入札方式の案件4件を選定し,審査を行った。いずれの案件も法令及び要綱等に基づき入札・契約手続が適正かつ適切に行われていた。   今回の審査案件では,昨今の半導体不足及び資材価格の高騰などによる影響を大きく受けた案件が見受けられたが,発注内容や時期を見直すことにより契約に至った経緯等を確認することができた。ただ,現在の不透明な経済情勢が今後も続くことが見込まれる状況において,公共工事特有の制約がある中でも,資材の調達方法などを工夫して契約できるよう新たな取組等を検討されたい。   一方,遠隔地で施工する案件では,市内事業者育成の観点を踏まえつつ,案件に応じて適切な履行が担保できる事業者が入札に参加できるように入札参加資格を工夫していることが確認することができた。今後も同様の取組を継続すること。 3 閉会 次回の委員会日程 新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ,別途日程調整を行う。