令和4年度 第8回調布市文化財保護審議会会議録 (抄) 【日時】令和5年1月27日(金)午後3時~5時 【場所】調布市教育会館301研修室 【出席】6人 稲葉会長,石川副会長,八木橋委員,佐藤委員,岩澤委員,        生駒委員 【欠席】1人 木下委員 【議事】  議事に先立ち,稲葉会長から大和田教育長に深大寺所蔵「黄檗版大般若経」の文化財指定についての答申書を手渡しました。 (事務局)「令和4年度第8回調布市文化財保護審議会」を開催します。まず「調布市文化財保護条例」第45条の規定に基づき,会議の成立を確認します。委員定数7人のうち,出席委員6人,欠席委員1人で,委員の過半数が出席していますので,この会議は成立します。それでは引き続き,郷土博物副館長の御崎よりご挨拶申しあげます。 1 郷土博物副館長挨拶 (御崎副館長)御審議よろしくお願いします。 2 事務局報告 (事務局)それでは事務局報告に入ります。ここからは稲葉会長に議事の進行をお願いいたします。 (稲葉会長)それでは事務局報告に入ります。報告は,事務局から一括報告の後,質問・意見を受けたいと思います。 (1) 市指定天然記念物「シロハナヤブツバキ」の管理・剪定について (事務局)市指定天然記念物のシロハナヤブツバキについて,1月17日に支柱の取り替えと剪定を行いました。こちらは6年前に新しくした支柱ですが,かなり劣化しておりました。また脇に生えていた西洋椿はシロハナヤブツバキの生育に悪影響を及ぼすため,今回伐採,伐根を行いました。オトメツバキの方は今回,強剪定をしております。 (2) 市内発掘調査について (事務局)品川道から佐須街道を繋ぐ形で都市計画道路が計画されていますが,その敷設に伴い原山遺跡第135地点の試掘調査を1月5日から行っております。調査区の南側1~8区については既に調査が終わり,現在は北側の9~11区について調査しています。これまでのところ5区と6区から竪穴住居跡が,1~6区からは多数の土坑・小穴が検出されており,過去の調査で発掘された縄文時代の集落の延長が広がっていることが確認されています。今回の調査は,都市計画道路整備に伴う調査ということで,本調査は東京都埋蔵文化財センターが行う予定です。 (3) 市指定文化財「深大寺山門」茅葺屋根修理事業について  前回,深大寺の山門修理の実施報告書を確認していただき,内容について問題がないとの確認をいただきました。現在,補助金の支払い手続きを進めています。 (4) 第21回多摩川流域郷土芸能フェスティバルの開催について  ここ2年間,新型コロナ感染症の影響で開催できませんでしたが,多摩川流域に所在する自治体が集まり,郷土芸能を披露するというもので,今年は2月19日に狛江市エコルマホールで開催されます。 (5) 連続講演会・座談会「深大寺白鳳仏の来歴を探る」の開催について  深大寺と狛江市教育委員会,調布市教育委員会の三者共催事業として連続講演会・座談会「深大寺白鳳仏の来歴を探る」を行います。第1回講演会を2月7日(火)午前1時45分から午後3時15分の日程で,文化会館たづくり,くすのきホールにおいて,明治大学講師荒井秀規先生を講師に招き,「深大寺の白鳳仏と渡来人高麗福信」の演題で御講演いただきます。  2回目が講演会「高麗郡と狛江郷」2月18日(土)午後1時30分から午後3時まで,狛江市西河原公民館ホールで群馬大学名誉教授森田悌先生に御講演いただきます。  第3回は座談会「高麗福信・満功上人と深大寺の白鳳仏」を,3月12日(日)午後1時30分から午後3時まで,深大寺本堂で荒井先生,森田先生,ノンフェクションライターの貴田正子氏,深大寺住職の4名により行います。  事務局報告は以上となります。 (稲葉会長)ありがとうございました。それでは「シロハナヤブツバキ」のについては,石川先生の方から少し補足をお願いします。 (石川副会長)まずは支柱ですが,木製のためさすがに6年経つと腐ってきますので,定期的に支柱を交換する必要があります。剪定により風通しが良くなり,病気にもなりにくくなってきます。これまで付着していたルビーロームシが樹液を吸って枝を枯らし,そのために落葉し光合成ができず枯れてしまいます。  また,白い花びらに茶色のものが付いてますが,これはツバキ菌核病でキノコの胞子(椿菌核茶碗茸)です。落花して菌糸が土の中に入り,そこで増えて菌核という固い塊を作ります。これが繰り返されます。農薬も散布していますが難しいです。あと洋種の椿は樹勢が強いので伐採したのは良かったと思います。オトメツバキも強剪定をしていますが,こちらも伐採したかった。これからも定期的な管理をしていき,剪定は寒くなる前にした方が良いと思います。 (稲葉会長)ありがとうございました。遺跡の発掘は,道をつくるために掘っているのですね。 (事務局)こちらは都市計画道路をつくるためのもので,まだ全体の買収は終わっていないのですが,試掘できる部分を先行して行なっています。 (稲葉会長)現在試掘なのですね,今後も10m幅でずっと掘っていくのですか。 (事務局)1~6区については,遺構が見つかっておりますので,本調査が必要という判断になっています。どのような形で行っていくのかについては,協議が必要となってきます。 (岩澤委員)原山遺跡は何か大きなものが出てきそうですね。 (事務局)原山遺跡は南側が集落の中心で,これまでの調査では,野川沿いの都営住宅の辺りに縄文時代の集落跡などが見つかっています。今回は,その集落跡の延長が見つかっているのかと思います。7・8区では遺構は全く見つかっていないので,5・6区が集落の境界になるのかと思います。 (稲葉会長)結構,野川沿いに接して集落があったのですね。今のところは縄文だけですか。 (事務局)出てくる土器は縄文土器が中心ですが,竪穴住居跡の形状からみると古墳時代かなとも考えられます。実際に本調査を行ってみないと分かりませんが。 (稲葉会長)野川のところはトンネルを掘るのですか。 (事務局)橋だと思います。 (稲葉会長)連続講演会・座談会の募集状況はどうですかね。 (事務局)狛江市の状況は把握していないのですが,調布市での講演会は関係者を含めて百数十人ぐらいになると思います。 (稲葉会長)それでは,つぎに審議案件に移ります。 3 審議案件 (1) 市指定史跡「近藤勇生家跡」の今後の保存管理について (事務局)市指定史跡「近藤勇生家跡」の土地所有者から敷地の一部を調布市に寄付した上で,残りの土地を売却したいとの要望があり,庁内で確認,検討を行っている状況です。  まず,敷地内の近藤神社の扱いについて法制課に確認したところ,宗教法人としての神社というよりは文化財的要素が強いので,これがあるからといって市が所有や管理ができないということはない。しかし政教分離については,いろいろ意見を言われる可能性があるので,きちんとした理論武装をしておく必要があり,特定の宗教法人に与するということではなく,地域にある文化財を守るという観点から,管理しているといった説明ができるようにしておくこと,また,文化財保護審議会においても,ここが市の貴重な文化財であるとの意見をいただいておくということも大切である,との意見をいただいています。  また産業振興課からは,市内に「近藤勇の会」のようなものがあり,そことの連携をしていることもあって,生家跡が売却されることがある場合には市で買い取ってほしいとの意見もあがっているようです。  このようなことから,今後の管理については,他部署とも連携して検討していきたいと思います。 (稲葉会長)市の史跡に指定されている部分は,明確なエリアが決めてあるのですか。 (事務局)周りの民家とは,塀とかでその境が明確に分かれています。 (稲葉会長)この神社は,屋敷神とは違うのですか。 (事務局)屋敷神ではないです。昭和の初期に東京一円の陸軍軍人が近藤勇の業績を顕彰するために,神社を建てたということです。 (八木橋委員)宗教法人としての神社ではないし,入口の鳥居も似て非なる形状のものですので市で管理しても問題はないと思いますが,「近藤神社」という名称については今後検討してもいいのではないでしょうか。元々の屋敷跡は,どこまでかは確認できるのですか。 (稲葉会長)確認できます。原図を作ってあります。 (事務局)元々は7,000㎡位の面積でした。屋敷内の建物配置の復元図は,史跡内の説明板に載せてありますが,日焼けなどで線が薄くなってしまっています。市所有となった場合には,もう少しきちんと活用,整備について考えていかなければと思います。 (稲葉会長)土方歳三ゆかりの日野市では陣屋跡を復元することを考えている。陣屋跡(本陣跡)は東海道では1つも残っていないし,甲州街道でもはじめてなので貴重なものになる。また,日野市は京都市とも連携をとっている。調布市も何か計画を立てて進めていったらいかがでしょう。 (事務局)関連するものの調査を進めてまいります。 (2) 文化財説明板の設置について (稲葉会長)文化財説明板の設置について説明をお願いします。 (事務局)来年度の文化財説明板の設置については,新設1本分の予算が付いています。説明板の新設候補である深大寺の「徳川将軍家朱印状」と「大般若経」については,深大寺側から境内の説明板について少し整理をしたい旨を伺っており,新設については少し待った方が良いと考えています。来年度は古くなった説明板の付け替えを行っていきたい。新設1本分の予算ですが,付け替えであれば2本分位できるのではないかと考えています。  候補については6基あり,文字が薄れて読みづらい,指定区分が旧区分のままである,といったものを選んでいます。これらの中からお選びいただきたいと思います。 (稲葉会長)深大寺については候補から外して考えましょう。 (事務局)飛田給薬師堂境内行人塚については,文字が薄れて読みにくい程,劣化が著しい状態ですが,内容についてまだ調査中のところです。また,布多天神社の説明板についても状態が悪いです。 (八木橋委員)布多天神社の説明板について見てみると,書式や記載方法が微妙に異なっていたりするので,統一した方がいいのかも。配布資料では写真が小さく説明文の内容が良く読めない。 (稲葉会長)予算はいくらくらいになるのか。 (事務局)材料費とかが上昇しているので,3本は厳しいけど2本は大丈夫です。こちらについては,次回説明文が分かるような資料を用意しますので,改めて検討いただきたいと思います。 4 その他 (1) 次回開催日について (事務局)次回第9回の開催日は,令和5年3月2日(木)午後2時から,場所は調布市郷土博物館会議室です。 以上