17ページ 第3章,次期計画における課題の整理  現行の「調布市障害者総合計画」(平成30年度から令和5年度)では,分野別の施策体系によって,障害者施策の整理・推進を図っています。  この中間報告書では,市民福祉ニーズ調査,関係機関ヒアリング,協議体からの意見具申等,今年度の検討状況から見えてきた地域生活の課題を,現行計画における施策体系に沿って,それぞれ以下の順に整理します。 ○現行計画における基本的方向性(平成30年3月策定「調布市障害者総合計画」より) ○現行計画期間の主な取組・進捗状況 ( ※特に担当課名の記載のないものは,障害福祉課の事業について記載しています。) ○今後の課題 星,次ページ以降の「今後の課題」にある表記について 【委員意見】調布市障害者総合計画策定委員会内で,委員から出された意見(9ページ) 【事業進捗評価】現行計画に記載されている各事業について,庁内各課で進捗状況の点検・評価を行い,結果を取りまとめたもの(10ページ) 【ニーズ調査】令和4年度市民福祉ニーズ調査(11ページ) 【ヒアリング】関係機関ヒアリング等(13ページ) 【意見具申】調布市障害者地域自立支援協議会,調布地域精神保健福祉ネットワーク連絡会からの意見具申(15ページ)   18ページ <施策体系>,※現行「調布市障害者総合計画」(平成30年度から令和5年度) 1,障害のあるかたと家族への地域生活の支援 括弧1,相談支援 括弧2,健康づくり・医療的な支援 括弧3,移動の支援 括弧4,経済的な支援 括弧5,権利の擁護 括弧6,障害福祉サービスによる生活支援 ・福祉人材の育成・確保 ・医療的ケアが必要なかたへの支援 2,ライフステージに応じた生涯にわたる切れ目のない支援 乳幼児期・学齢期 括弧1,発達相談・早期療育のための支援 括弧2,子育て施策における支援 括弧3,教育における支援 括弧4,放課後等の活動の支援 成人期・高齢期 括弧5,働くこと・日中活動の支援 括弧6,余暇・学習活動の支援 括弧7,住まいの確保の支援 括弧8,高齢期の支援 3,安心して住み続けられる地域の環境づくり 括弧1,障害理解と交流 括弧2,バリアフリーのまちづくり 括弧3,情報提供 括弧4,地域ネットワークづくり 括弧5,災害時の支援 括弧6,当事者の参画   19ページ 1,障害のあるかたと家族への地域生活の支援 括弧1,相談支援  障害のあるかたと家族からの様々な相談に応じ,他分野の機関とも連携しながら必要な支援,サービス等へつなげます。 現行計画における基本的方向性(平成30年3月策定「調布市障害者総合計画」より) <障害特性に応じた相談支援体制の充実> ○基幹相談支援センター(障害福祉課),市内3か所の相談支援事業所,こころの健康支援センターを中心とした相談支援体制を維持,継続しながら,一人ひとりの多様なニーズや障害特性に対応できるよう,発達障害,高次脳機能障害,難病などの専門相談の充実を含め,各相談機関のスキルアップを図ります。 ○相談窓口の市民全体への更なる周知に努めるとともに,アウトリーチ支援の強化により,相談窓口を市民が利用しやすい環境づくりを進めます。 ○本人や保護者の病気,事故などによる夜間,休日等を含めた緊急時の相談体制の充実を図ります。 ○「サービス等利用計画」を作成する相談支援専門員の,量的・質的充実を図り,福祉サービスの利用その他日常生活及び社会生活における障害者の意思決定支援を推進します。 <地域における総合的・包括的な相談支援体制の整備> ○地域福祉コーディネーターの配置と活動を通じて,身近な地域での相談支援体制の整備とともに,地域における様々な課題を把握し,住民主体の支え合いとネットワークにより解決していく取組を推進します。 ○障害に限らない総合的,包括的な相談窓口を充実させ,制度の狭間や複合的な課題を抱える住民を,必要に応じて障害福祉の専門相談機関への支援に,円滑につなげられる体制の充実を図ります。   20ページ <専門職によるネットワークの形成> ○障害者福祉以外の分野との連携による,より総合的な支援の展開と,ライフステージによる切れ目のない相談支援体制の構築を推進します。 現行計画事業 星,主要事業 障害特性に応じた相談支援体制の充実 星,基幹相談支援センター(障害福祉課) ほし,障害者相談支援事業(障害福祉課) 星,こころの健康支援センターの運営(相談事業)(障害福祉課) 星,発達障害者支援体制整備推進事業(障害福祉課) 星,高次脳機能障害者相談支援事業 ・難病相談窓口(障害福祉課) ・身体障害者・知的障害者相談員(障害福祉課) ・地域で支える体制づくりモデル事業(あんしんネット)(障害福祉課) ・精神障害者家族等,シェルター事業運営費補助(障害福祉課) 地域における総合的・包括的な相談支援体制の整備 星,地域福祉コーディネーター事業(福祉総務課) ・民生委員・児童委員事業(福祉総務課) 星,生活困窮者自立支援事業(生活福祉課) ・総合福祉センター相談事業(福祉総務課) ・調布市子ども・若者総合支援事業(ここあ)(児童青少年課) ・相談事業(市民相談)(市民相談課) 専門職によるネットワークの形成 星,調布地域精神保健福祉ネットワーク連絡会(障害福祉課) ・福祉人材育成拠点の整備(ネットワーク構築)(障害福祉課) 現行計画期間の主な取組・進捗状況 ●平成30年度から基幹相談支援センター(障害福祉課)に医療的ケアコーディネーター(看護職)及び相談支援コーディネーター(相談支援専門員)を配置し,医療的ケアの必要なかたや市内の相談支援事業所で相談支援を担っていくことが難しいケースの対応に取り組んでいます。 ●こころの健康支援センターの相談事業では,30代以下の相談者が全体の半数程度と増加傾向にあります。10代の相談者数も増加しており,子ども・若者支援を行う関係機関と連携しながら対応しています。   21ページ ●平成31年4月から「地域生活支援拠点」の「面的な体制」による運用を開始し,相談支援事業所を中心として連絡会を設置,開催し,機能の充実へ向けた課題抽出を行い,障害者地域自立支援協議会に報告しています。 ●精神障害者家族等,シェルター事業運営費補助について,補助対象団体と協議のうえ,令和3年度より,アパート借上による運営から,民間宿泊施設等を活用した助成方式に変更しました。 ●地域福祉コーディネーター事業として,令和2年度当初から,市内8つの福祉圏域全てに地域福祉コーディネーターを配置しました。地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制の構築を進めるため,地域福祉コーディネーターを中心に,地域力強化事業と,多機関協働による包括的相談支援体制の構築を進めました。(福祉総務課) ●複合的な生活課題を抱える世帯に適切に対応していくため,高齢,障害,健康,児童,教育など各分野の庁内所管部署,社会福祉協議会や保健所等の関係機関で構成される「相談支援包括化推進会議」を平成30年10月より設置し,各相談支援機関の業務内容の理解や具体的な連携方法等について検討を進めています。(福祉総務課) ●調布地域精神保健福祉ネットワーク連絡会は,平成30年3月に,会の設置目的として「精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築の推進」を追加し,令和4年度からは,抽出した地域課題をもとに3つのグループを作り,協議しています。 ●毎年度,市内福祉事業所で働く職員の専門性向上と職員同士のネットワーク形成を目指し「ちょうふ福祉実践フォーラム」を開催しています。令和2年度,令和3年度においては,コロナ禍の影響によりオンデマンド配信による開催に変更し,実践からの学びあいの機会を確保するとともに,参加者数の維持を図りました。 参考指標 指標名 令和元年度,令和2年度,令和3年度 障害者相談支援事業 実相談者数 1,148人,1,152人,1,135人 こころの健康支援センター相談事業 実相談者数 586人,662人,667人 地域福祉コーディネーター事業 個別相談件数 351件,392件,429件 子ども・若者総合支援事業 延べ利用者数 8,243人,7,601人,10,818人 調布地域精神保健福祉ネットワーク連絡会 延べ参加者数 123人,83団体,97団体   22ページ 今後の課題 ◆障害特性に応じた専門相談の充実  一人ひとりの特性やニーズに応じた,どのライフステージにも対応した,切れ目のない支援の実現のため,その基礎となる基幹相談支援センターを中心とした相談支援体制の充実が今後も必要です。  発達障害,高次脳機能障害,重症心身障害,医療的ケアが必要なかたなどの相談件数も増えており,様々な障害特性に対応できる相談員の人材・体制の質的,量的な充実が今後も必要です。 (参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など) ・こころの健康支援センターでは,初回面接までの待ち時間は短くなっているものの,新規相談の増加傾向が続いている。【事業進捗評価】 ・発達障害者,高次脳機能障害者の相談窓口でも相談件数の増加傾向が続いており,関係職員の知識と能力向上を図りながら,ひとりひとりの特性に沿った支援を行っていくことが必要(事業進捗評価) ・市の障害者福祉施策(サービス)において特に重要な取組を尋ねる質問では,いずれの障害種別でも「困ったことや福祉サービスの利用などを気軽に相談できる窓口」が最も多い。(ニーズ調査) ・10年ひきこもり状態にあり,発達障害や精神疾患が疑われるが,診断を受けていないという相談が全地区である。(ヒアリング) ◆包括的・重層的な相談支援体制の整備  障害,高齢,子どもなど分野別の相談支援体制のみでは,複雑化,複合化する当事者や家族の抱える課題や狭間のニーズへの対応は困難です。分野を超えた連携体制,情報交換などの取組を進め,包括的な支援体制を構築していくとともに,相談窓口を市民に対しても,支援者同士でもわかりやすく周知していくことが必要です。 (参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など) ・地域福祉コーディネーター等が把握,支援しているかたを,どこにつなげば良いか,相談窓口の明確化や情報提供ツールなどの工夫が必要(委員意見) ・「調布地域精神保健福祉ネットワーク連絡会」も大きな課題としての検討はされているが,具体的な対策というところまではいっていない。(委員意見) ・社会全体の高齢化,小世帯化,ライフスタイルの変化や価値観の多様化が進んだことにより,障害者の生活上の困難も多様化している。(事業進捗評価) 続きは,次ページです。   ・子ども・若者総合支援事業(ここあ)では,利用者の増加や案件の長期化等により,相談員への負担が増加しているため,運営体制の拡充を図る必要がある。(事業進捗評価) ・連携するとメリットがある.という実績が増えていく必要がある。(ヒアリング) ・支援者同士でアセスメントして情報交換したりできると良いのではないか。(ヒアリング) 以上は,前のページの内容です。 23ページ ・高齢者の家に障害の子がいて,ひきこもりだったので障害福祉サービスを受けておらず,話し合いをする際に,どこが中心に開催し招集するのか,といったところがうまくできればよい。(ヒアリング) ◆家族・家庭への支援  「はちまるごーまる問題」,「ヤングケアラー」,「きょうだい」などの言葉を始め,障害のある当事者の家族,家庭も大きな負担を抱えており,さらにコロナ禍により,介護者,家族の孤立化,休息(レスパイト)機会の減少も懸念されています。  障害のある当事者だけでなく,その家族一人ひとりもそれぞれが望む生活を送れるよう,家族,家庭にも目を向けて支援を展開していくことが必要です。  福祉につながっていない人にも支援が届く体制,相談しやすい窓口づくりが求められています。 (参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など) ・介護者の支援(委員意見) ・ご家族へのサポートをどの様にしていくかが課題(サービス内容等)(委員意見) ・高齢親が障害者の生活を支える家庭への支援(委員意見) ・医療にはどうにかつながっているものの,福祉につながれない障害者への支援。こうした状況では生活の全てを家族が抱えている。家族全体として課題を考えてほしい。(委員意見) ・親やきょうだいに障害があり,子どもが「ヤングケアラー」となり教育の機会が奪われることのないようサポートが必要(委員意見) ・「ヤングケアラー」を発見して福祉につなぐ際に,どことつなげば良いか,どのようなことをしてくれるかがわからない。(委員意見) ・主な介護者の不安や困りごとを尋ねる質問では,いずれの障害種別でも「介助・支援をする家族自身の高齢化」が最も多い。(ニーズ調査) ・コロナ禍で「保護者の休息(レスパイト)の機会」が「減った」と回答した人は48.5%に上る。(ニーズ調査) 続きは,次ページです。   ・障害児の保護者における,きょうだいについての不安や困りごとでは,「本人にきょうだいはいない」を除くと,「保護者がきょうだいとじゅうぶんに接する時間が取れない」(18.5%),きょうだいと本人の関係がうまく保てない」(18.5%),「きょうだいが好きなこと,やりたいことを我慢している」(17.7%)と続いている。(ニーズ調査) ・保護者への支援として力を入れてほしいことを尋ねる質問では,「支援制度や福祉サービスなどの情報提供・相談窓口の充実」が最も多い(61.5%)。(ニーズ調査) ・多問題のケースは増え,はちまるごーまるが,きゅうまるろくまる問題と言われ,子も高齢者になったり,さらにその下の世代にはヤングケアラーがいたり,といったように範囲が拡大してきているように思う。(ヒアリング) ・医療的ケア児のきょうだいへのサポートの事業の充実(ヒアリング)