議員提出議案第1号 共謀罪(テロ等準備罪)の制定に反対する意見書提出について 上記の議案を提出する。 平成29年3月15日 提出者 調布市議会議員 井樋 匡利 賛成者 調布市議会議員 岸本 直子 同 雨宮 幸男 同 武藤 千里 共謀罪(テロ等準備罪)の制定に反対する意見書 安倍政権が早期の国会提出を狙う「共謀罪」(政府呼称は「テロ等準備罪」)法案について、自民・公明の与党が政府原案の事前審査を続けている。(3月14日現在) 政府は、今回の法案では「共謀罪」という呼称を使わず「テロ等準備罪」だから「共謀罪とは違う」と述べているが、犯罪の共謀という合意を処罰対象にするという本質には何ら変更はない。政府案は、「共謀」という言葉を避け、「(犯罪の)遂行を2人以上で計画した者」という表現を使っているが、法的には全く同じ意味で、「共謀」を処罰する性格は変わっていない。今度は、「共謀=2人以上による実行の計画」だけでなく、犯罪の準備を行う点を入れた、組織的犯罪集団の行為に限って罰するとしたから、一般の人は巻きこまれないといっているが、ここでいう「準備」として政府案が例示したのは、「資金」「物品」の手配、「下見」など、普通の人が犯罪とは無関係に行う行為である。「その他の準備行為」との規定とも相まって、どのような口実で犯人に仕立て上げられるか分からないものである。 さらに組織的犯罪集団といっても、特段の定義があるわけでなく、労働組合や市民団体であっても性格が「一変」すれば該当すると政府も認めている。正当な行動であっても捜査当局が「性格が変わった」と認定すれば捜査の対象になることは明らかである。対象になる犯罪数を減らしたといっても、取り締まられる対象は法文上「テロの共謀」ではなく、277の該当犯罪すべての「共謀」であり、憲法が保障する思想や内心の自由を脅かす危険は避けられない。 法案には「国連の国際組織犯罪防止条約を実施するため」との目的を新たに書き込むとしている。しかし、この条約そのものは「テロ防止」とは全く違い、国境をこえておこなわれる麻薬取引などにかかわる経済犯罪を防止するものである。条約の締結のために、どうしても共謀罪を設けなければならない理由はない。 安倍政権の意図は、「共謀」を犯罪行為とすることによって、相談や準備などを取り締まるとして、これまでの犯罪捜査方法を拡大しようとするところにある。 すでに電話盗聴(傍受)の範囲は法改定で広げられており、室内盗聴導入も狙われている。現に警察は、令状によらないGPS捜査を進めながら、その使用を秘密にすることを指示するなど深刻な人権侵害が放任されている。 これは、憲法が厳しく要求する罪刑法定主義を根本から覆すものである。 よって調布市議会は、この法案の制定に反対するものである。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成29年3月 日 調布市議会議長 鮎川有祐 提出先 内閣総理大臣 法務大臣 衆議院議長 参議院議長