陳情文書表(平成29年8月30日受理) 受理番号 陳情第80号 件名 保育園の入園選考時の利用調整指数の改正に関する陳情 付託委員会 厚生委員会 (要旨) 調布市保育園の利用調整に関して、保育の利用調整指数表(調整指数・http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1258522205982/index.html)における「2. 世帯に対する調整指数」の項目5、6が不公平かつ不合理であるため削除を陳情いたします。詳細及び該当項目が不公正かつ不合理である理由につきましては下記の概要説明書を御参照ください。 (概要説明書) 1 問題の背景と説明 保育園待機児童が社会問題となっております。平成29年度の認可保育所申し込み状況表(http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1396260047171/index.html)では、0歳児、1歳児の倍率はそれぞれ2.34、2.01となっており、多くの待機児童がいる状況です。 調布市の認可保育所へ定員を超えて申し込みがあった場合には、実施指数(基準指数及び調整指数)に基づき、優先順位を決定し、選考を行っています(基準指数:http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1258522205982/files/kijunsisuu.pdf調整指数:http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1258522205982/files/tyous eisisuu.pdf)。 今回、問題であると考えている点は、調整指数にあります項目5、6 ・1年以上前から、父母ともに就労を継続していて、同時に児童を有償の認可外保育施設等に月 160時間以上預けている場合:2点 ・6か月以上前から1年未満の間で、父母ともに就労を継続していて、同時に児童を有償の認可外保育施設等に月 160時間以上預けている場合:1点 という調整指数についてです。 「認可外保育施設等」は主に東京都認証保育所です。2017年8月30日時点で確認しましたところ、0歳児ではあきがなく、1歳児1名、2歳児2名のあきがあるのみです(http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/genre/0000000000000/1281327972011/index.html)。ある認証保育所説明会で、質問したところ、 100名以上の待機があると回答があり、認証保育所の競争率は認可保育所以上に高い状態です。 このような状況下において、調整指数を実施すると、仮に他の指数が同条件であるならば、 (a)既に保育所が見つかっていて、親が育児休業から復職できている家庭 (b)育児休業から復職を希望しているが、待機となっていて親が復職できていない家庭 のうち、(a)を優先することになります。育児休業は通常は1年ですので、1歳児入所ができなければ、保育所に入れず、離職を余儀なくされることになります。 この状況は極めて不合理でありますので、この指数を廃止できないか、調布市子ども生活部保育課保育・幼稚園係に問い合わせを行いましたが、この調整指数の根拠について明確な説明がなく、改善もされなかったため、陳情いたします。 なお、児童福祉法施行規則第二十四条に認可保育所の選考調整について、 市町村は、法第二十四条第三項の規定に基づき、保育所、認定こども園(子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第二十七条第一項の規定による確認を受けたものに限る。)又は家庭的保育事業等の利用について調整を行う場合(法第七十三条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)には、保育の必要の程度及び家族等の状況を勘案し、保育を受ける必要性が高いと認められる児童が優先的に利用できるよう、調整するものとする。 との規定があります。前述(a)、(b)のうち、「保育を受ける必要性が高い」のは論をまたないところであります。 2 認証保育所の選考について 認可保育所が、(b)よりも(a)を優先して選考を行ったとしても、結果的に認証保育所にあきが出て、その分が保育が必要な待機児童に回るのではないかという御指摘があるかもしれません。認可保育所の選考は、調整指数に基づき、就労の証明や(非)課税証明書の提出による所得の情報などを精査して透明性、公平性がある程度確保され、また、前述の児童福祉法においても公平性が確保されています。しかし、認証保育所の選考は各保育所に任されており、不透明です。説明会において質問をしても、「先着順」、「月齢、男女が均等になるようにする」など、保育を受ける必要性、公平性、透明性がありません。 また、認可保育所においては、入所、入園後に復職の証明を提出し,真に保育を受ける必要性がある家庭が優先されるようになっております。 3 なぜ、そのような調整指数が設けられたか 調布市から該当の調整指数の採用根拠として、下記の回答がございました。 国からの平成26年9月10日付け通知「子ども・子育て支援法に基づく支給認定等並びに特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業者の確認に係る留意事項等について(府政共生第859号・26文科初第651号・雇児発0910第2号)」上で、認可外保育施設等を利用しているお子さんについて、保育所の優先利用の対象として例示されていることから、優先利用の取扱いを行っております。(以降、この例示を単に「例示」と表記します。) 調布市などの東京都区市町、いわゆる保育園激戦区は全国的に見れば少数であり、認可外保育施設等(東京都では認証保育所)へ入所が困難な地域は少ないです。 希望すれば、簡単に認可外保育施設へ入所できる地域では、認可外保育施設等を利用していて認可保育所を希望している児童を、(認可外保育施設へ簡単に入所できるにもかかわらず)認可外保育施設を利用しないで、認可保育所を希望している児童よりも優先することは合理的であると考えられます。 国からはあくまで「例示」ということで示されていることから、国は市町村がそれぞれの実情に応じて、実施指数を適切に設定すべきであると考えていると読み取れますが、調布市の実施指数設定方法は、調布市の実情を考慮せず、無為に例示に従っているのみであり、思考停止と言わぎるを得ません。これでは、地方自治体の存在意義がありません。 例示は、 6.育児休業を終了した場合 (例) ・育児休業取得前に特定教育・保育施設等を利用しており、特定教育・保育施設等の利用を再度希望する場合 ・育児休業取得前に認可外保育施設等を利用しており、特定教 育・保育施設又は地域型保育事業の利用を希望する場合 ・1歳時点まで育児休業を取得しており、復帰する場合 となっています。前述(a)の「既に保育所が見つかっていて、親が育児休業から復職できている家庭」は既に育児休業を終えており、例示で想定する「6.育児休業を終了した場合」には含まれておらず、例示で想定している状況と調布市の設定する当該の調整指数とは全く異なるものになっております。また、例示の3番目の項目については何も考慮されていません。 さらに、調布市からの回答では触れていない点ですが、通知には、 「優先利用」の対象として考えられる事項について例示をすると、次のとおりであること。ただし、それぞれの事項については、適用される子ども・保護者、状況、体制等が異なることが想定されるため、運用面の詳細を含め、実施主体である市町村において、それぞれ検討・運用する必要があること。 とありますが、「実施主体である市町村において、それぞれ検討・運用」されているとは考えられません。 4 これまでの経過 これまでの質問及び調布市からの回答の概要を御説明いたします。2016年12月23日に、上記の問題点について、調布市のホームページより質問を行いました。私が気づいていないことで、この実施指数が合理的であると考える理由があるかという点についても確認しました。 最初の御回答では、まず第一に 認証保育所をはじめとする認可外保育施設を利用しているお子さんの多くは、既に認可保育所の入所が待機となっている方であり、加えて、認可保育所と比較すると高いコストを御負担いただいているのが現状です。 という回答がありました。確かに、認証保育所の保育料が高いことは事実ですが、離職しなければならないコストとは比べるまでもありません。この点は指摘しましたが、御回答ございませんでした。 次の理由として、前述の「子ども・子育て支援法に基づく支給認定等並びに特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業者の確認に係る留意事項等について(府政共生第859号・26文科初第651号・雇児発0910第2号)」に関する御説明がございました。これに対して、 調布市子ども生活部保育課保育・幼稚園係は、この例示にどのような背景、理由があることを想定して、この例示通りの加点方法を採用しているのでしようか? との質問しましたが、 この通知の趣旨として「現在、特に保育の需要に応ずるに足りる保育所等が不足している市町村においては」優先利用を定めており、「利用の調整を適切に行うため、優先利用に関する基本的考え方を明らかにするものであること」が挙げられておりますので、この通知は、待機児童の発生している自治体が、優先利用の事項を定め、利用者に示すことを求めているものと考えております。 との御回答があり、例示自体の作成に関する根拠のみの回答で、例示の内容についてはこれまで何度も質問しましたが、回答が得られていない状況です。