陳情文書表(平成30年11月26日受理) 受理番号 陳情第97号 件名 普天間基地返還と辺野古新基地建設中止の意見書提出を求める陳情 提出者の住所・氏名 (注)非公開情報 付託委員会 総務委員会 1972年(昭和47年)にようやく日本に復帰した後も在日米軍基地の7割余が集中し続けてきた沖縄は、今なお米軍機事故、女性への暴行、騒音など深刻な基地被害を受け続けています。しかも被害の再発防止のための有効な措置は全くとられていないのが現状です。中でも市街地の真ん中に位置する普天間基地に関しては、近接する小学校で最近の7カ月間に児童が706回も避難を余儀なくされるなど、その危険性は一刻の猶予も許されない深刻な事態となっています。しかし、2014年(平成26年)に安倍内閣と沖縄県の間で約束された普天間基地の5年以内の運用停止の期限が来年2月に迫っているにもかかわらず、政府は辺野古への基地移設が条件との考え方に固執し、何らの具体的な措置も進めていません。私たちはこの危険きわまりない普天間基地の運用停止、返還を無条件で直ちに実施すべきだと考えます。 そもそも普天間基地返還の条件とされている辺野古新基地建設計画には、数多くの問題が指摘されています。海上基地の建設に伴いジュゴンなど希少生物群の絶滅を初め自然環境の重大な悪化が懸念されています。そして何よりも200年も継続使用可能な軍事基地建設により、後世にわたり沖縄が永久に軍事基地化され、今の危険な状態が永遠に続くことになるという問題があります。しかも一方で建設予定地が超軟弱地盤であるための難工事が予想されています。 こうした状況を踏まえ、沖縄県民は2014年(平成26年)、2018年(平成30年)の2度にわたる県知事選挙で、辺野古新基地建設反対の明確な意思表示を行いました。それに基づき、8月末、沖縄県は辺野古新基地のための海面埋め立て承認を撤回しました。これにより本来ならば辺野古新基地建設は中止されるべきでした。 ところが政府は、この県民の明確な意思を全く無視し、行政不服審査法に基づくと称して、沖縄防衛局の名で国土交通大臣に対し、沖縄県の埋め立て承認撤回措置を不服としての審査請求と承認撤回の効力停止を申し立て、国土交通大臣は承認撤回の執行停止を決定しました。 行政不服審査法は本来、行政当局により個人の権利が不当に侵害された場合の救済措置として定められたものであり、沖縄防衛局のような行政当局が不服審査請求を行い、それを上部機関である省庁が審査し決定するなどということは、法の趣旨に全く相反するものであり、法として全く予想されていない行為です。 現政府がこのような不法行為に出たことは、何が何でも辺野古新基地建設という政府の政策を強行するために、法を歪曲利用し、強権をもって主権者たる住民と地方自治体の意思を圧殺するものと言わなければなりません。このようなことが許されるならば、日本は法治国家ではなくなり、政権の勝手な行為が何でも認められるような暗黒政治の国に陥ることになるでしょう。その意味でこの問題は、単なる沖縄の問題ではなく、日本が地方自治が尊重される民主主義国家、法治国家としての地位を保つことができるかどうかが問われる全国民的な問題であることをも示しています。 以上の経過を踏まえ、私たちは沖縄県民の意思に従い、政府が辺野古新基地建設を中止し、その後の処置については政府と県当局、県民との十分な話し合いを通じて解決すべきだと考えます。 よって、地方自治法第99条に基づき、調布市議会として、上記の趣旨に添い国に対する意見書を提出することを求めます。