議員提出議案第30号 改正水道法の強行採決に抗議する意見書提出について 上記の議案を提出する。 平成30年12月12日 提出者 調布市議会議員 広瀬 美知子 賛成者 調布市議会議員 丸田 絵美 同 榊原 登志子 改正水道法の強行採決に抗議する意見書 12月6日の衆院本会議で、水道法の一部を改正する法律が可決・成立した。 改正水道法について国会で争点となったのは、コンセッション方式と呼ばれる民営化の手法の是非である。この方式は、自治体が公共施設の所有権を有したまま、運営権を長期間、民間企業に売却する手法である。 水道を民営化した海外では、民間企業の参入で、水道料金の高騰や行き過ぎたコストカットによる水質低下、情報の不開示や不透明な赤字経営等が問題になり再公営化が続いている。しかし厚生労働省は、海外での民営化の失敗例の検証が3件のみであったことを認めている。 海外の再公営化の流れの中で、他国に活路を求める民間水道企業の動きも活発化していると言われる。今回の国会審議で、水道などの民営化を推進する内閣府の担当部局に、仏の大手水道企業の社員が出向していたことが露呈し、「水メジャー」との癒着が大きな問題となった。国民の命の水の運営権を民間資本、特に外国資本に譲渡することが可能になる法案を強行採決したことは、特定の利害関係のある企業に水が売り渡されるのではないかとの不信感を強めた。 水道は生命にかかわる最も重要なインフラである。災害発生時などの応急体制や他の自治体への応援態勢などが本当に民間事業者に可能なのか、更新事業や事業運営をモニタリングする人材や技術者をどう確保するのかなど重大な懸念もある。こうした民営化の多くの問題点や疑問に応えることなく採決を急いだ政府の民営化ありきの姿勢に強く抗議するものである。 水道法の目的である公共の福祉を脅かす事態を生み出しかねない民営化・コンセッション方式は、水道事業になじまない。よって、国会及び政府に対し、安心、安全の水道事業を守るため、下記の事項について誠実に対応されるよう強く求めるものである。 記 1 自治体に水道事業に民営化・コンセッション方式の導入を促さないこと。 2 将来にわたって持続可能な水道を構築し、水道の基盤強化を進めるため、必要な支援の充実・強化・財源措置を行うこと。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成30年12月 日 調布市議会議長 田中 久和 提出先 内閣総理大臣 厚生労働大臣 衆議院議長 参議院議長