陳情文書表 (令和4年5月30日受理) 受理番号 陳情第66号 件名 調布市情報公開審査会及び個人情報保護審査会において公正な審査を求める陳情 提出者の住所・氏名 (注)非公開情報 付託委員会 総務委員会 (注)原文のまま記載 (要旨) [1]2021年11月に匿名通報によって発覚した「東京外かく環状道路事業における市の個人情報の取扱いについて」、2021年12月末から調布市情報公開審査会及び調布市個人情報保護審査会において審査され、それぞれ3月7日付及び4月14日付の意見書がまとめられ公表された。しかし、両委員会における審査は公正なものと言い難いものがあった。 その理由は、この事案は、調布市が個人情報漏洩の「加害者」であり、市民が「被害者」である構図の中で、審査会に提出された文書や説明は調布市職員によるものだけであった。市の偏った説明に疑問を持った被害者が2022年1月31日付で次のような意見陳述を申し出たが、認められなかった。いわば「欠席裁判」が行われたのである。 [2]調布市情報公開審査会長あてに意見陳述を申し出た2022年1月31日付の意見書 ----------------------------------------------------------------- 2022年1月31日 調布市情報公開審査会 会長 草川 健 様 意見書 「市政情報公開手続における個人情報の不適切な取扱いについて」 公正な審査のために被害者の意見聴取を行ってください (1) 私は、昨年11月に発覚した、調布市から外環道事業者への個人情報漏えい事件の被害者です。令和3年度第4回調布市情報公開審査会は、「市政情報公開手続における個人情報の不適切な取扱いについて」を議題として2021年12月27日に開催されました。私はそれをオンライン傍聴して、委員の皆様の審査に提供されている情報が加害者である調布市側からの一方的な情報だけであり、しかもEメールが削除されていて供述の信ぴょう性を確認する重要な物的証拠が欠けているといったことでは、とても公正な審査はできないと理解しましたので、ここに本意見書を提出し、被害者の意見聴取を要望する次第です。 (2) 12月27日はオンライン接続の不調で聞き取れなかったが、同様の説明をしたとの1月24日の個人情報保護審査会でのことです。情報漏洩のきっかけとなった6月10日付の情報公開請求の開示文書の件で、「誤った情報により地元が不安になった」との趣旨の街づくり事業課長の発言は、事実を歪めています。多分、言い訳(自己弁護)のためでしょう。 「住民が不安になった」については、住民に知らせることなくトンネル坑内からの調査工が4月から進められていて、地表に異変を感じていた住民はおかしい、何か変だと不安になっていました。住民は、7月に私が情報公開で入手した3月31日付の書類で、はじめてその事実を知って、事業者や調布市が住民に知らせることなく工事を行っていた隠蔽体質に不安になったのです。その調査工の工法の変更は、そのような経過の一部に過ぎません。 (3) 事件発覚後の一連の調布市の説明では、職員の個人情報保護や情報公開に関する知識不足による単純ミスにしようとする意図がみえますが、私は、今回の個人情報漏洩事件は、情報公開請求書に記載された情報を外環事業者に意図的に横流ししたことが問題の核心であり、情報公開制度や管理運用の不備は二次的な問題(濡れ衣)であると推察しています。 調布市が公表した11月10日のホームページ「個人情報の漏えいに関するお詫びと御報告」にいくつも疑義があります。 https://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1636529131772/index.html 「(11月25日発表)令和3年第4回定例記者会見」も同様です。 https://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1637799348295/index.html 一例を挙げると、「日々の業務を行うなかで、個人情報保護への職員の意識が希薄であったことによるミスが本事案を発生させた要因です。」とありますが、私は、そうは思いません。意図的な個人情報漏えいであると推察します。 情報公開請求業務において文書を特定してない情報公開請求書を外部に送る合理的な意味は全くありません。 単なる非公開範囲の確認でなく、不都合な文書を違法に隠蔽する可能性を疑わせます。 このことについては、別紙1及び別紙2を参照してください。 (4) 上で今回の個人情報事件においては二次的な問題(濡れ衣)と述べましたが、情報公開制度の適切な管理運用は、調布市全体では重要な問題あり、この機会に、この審査会で十分審議して頂きたいと考えます。 なぜ、情報公開請求書を外部に送ったかという調布市の「お粗末な」説明は、調布市情報公開条例7条や条例14条に関する認識・知識不足を露呈しています。 また、公文書は原則公開を忘れ、条例7条を最大限活用して非公開範囲を広げる隠蔽体質の傾向が見られます。 このことについては、別紙3を参照してください。 このことは単に実務担当の職員の認識や知識不足だけでなく、市政全体に及ぶものであり、総務課公文書管理係が、単なる窓口業務でなく、情報公開業務全体を管理する役割強化すべきです。 (5) 公文書管理の体制見なおしも急務です。 Eメールが数日の間に削除されるのは大問題です。Eメールが紙文書の代わりでなく、街づくり事業課においては、電話の代わりにすぎない状態であることは、デジタル時代の情報管理の常識とかけ離れています。 また、文書管理、特に「1年未満」の保存期間の文書管理は問題があります。 (6)まとめ 本意見書では、最小限のことを述べました。意見聴取の場で補充したいので、是非その機会を与えてください。なお、必要であれば文書での補充を致します。 別紙1:「「個人情報漏えい」についての申入書」2021年12月27日調布市長面談用資料 別紙2:「個人情報漏洩事件で明らかになった調布市政の劣化 その課題と信頼回復の道」 2022年1月14日発行の「市民による市政の会ニュースNo19」掲載記事 別紙3:「情報公開請求は特別なこと? 調布市個人情報漏洩問題から考える」 特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス 理事長  三木由希子 2021年12月5日講演会資料 ----------------------------------------------------------------- [3]以上に述べたように、偏った情報にもとづく審査においては、公正中立な委員で構成されていたとしても公正な結果を得ることは望めない。 これは、ロシア軍人のウクライナの民間人に対する「戦争犯罪」が、国際刑事裁判所(ICC)でなく、ロシアの法廷において裁かれるのと似た構図です。 以上に述べたことから、今後、調布市情報公開審査会及び個人情報保護審査会において類似の事案を扱う場合においては、例えば、調布市が一方の当事者である場合、他方の当事者や、学識経験者等の第三者の意見聴取などを行い、審査の公正さを担保することを求めます。 以上について陳情いたします。