議員提出議案第4号 福島第一原発事故による汚染水海洋放出の実施計画の変更認可申請の事前了解に関する意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和4年3月16日 提出者 調布市議会議員 木下 安子 賛成者 調布市議会議員 坂内 淳 同 武藤 千里 同 雨宮 幸男 同 岸本 直子 福島第一原発事故による汚染水海洋放出の実施計画の変更認可申請の事前了解に関する意見書 2021年12月21日、東京電力は、福島第一原子力発電所事故による「ALPS処理水希釈放出設備及び関連施設の基本設計等」について、「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画変更認可申請書」を原子力規制委員会に申請し、同年12月20日、福島県、大熊町、双葉町に対して、福島第一原子力発電所の廃炉等の実施に係る周辺地域の安全確保に関する協定に基づき、「事前了解願い」を提出した。 政府と東京電力は、トリチウムや放射性炭素のほか、定量確認できていない人工放射性核種や毒性化学物質の含有可能性が残る水を、2023年以降30年間にわたり年間22兆ベクレルを上限に福島県沖へ放出する計画を進めている。 トリチウムと放射性炭素のほか、放出する全ての放射性核種と毒性化学物質を測定し確認して、放出水に関する全ての情報公開を行い、予防原則にのっとって余分な放射線被曝や、放射性核種や化学物質による海洋環境汚染は極力避けるべきである。 希釈放出設備のうち、海底放水トンネルの地質調査は3本のボーリングのみで、原子力規制委員会のみならず福島県としても工事の安全性、設備の健全性の確保のために確認が必要である。 海洋放出は、原発事故後の復興を目指す福島県民と県内農林水産業はじめ地域の社会経済への影響は大きく、福島県漁業協同組合連合会など県内農林水産団体、消費組合が一致して反対し、福島県内59自治体議会の約7割等からも反対または慎重な対応を求める意見書を政府に提出してきた。 実施計画変更申請について、福島県漁連の野崎哲会長は「我々が反対している中で進んでいくのは残念だ。淡々と進むことに非常に不満だと発信するしかない。説明を尽くしていない」と訴えている。 東京電力は「風評対策」を掲げるものの、原子力損害賠償や事故後の対応に、県民の不信は消えていない。   よって調布市議会は、政府及び福島県において、次の事項を実現するよう強く要望する。 1 福島県は、政府と東京電力に対し、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という福島県漁業協同組合連合会との文書約束を守らせるとともに、放出水の全ての放射性核種と毒性化学物質などの測定、全ての情報の公開、及び海底トンネル等希釈放出設備の健全性・安全性の確認がされるまでは事前了解せず、県民の安全と安心を確保するため慎重に対応すること。 2 政府は、汚染水海洋放出の方針を撤回すること。 3 汚染水海洋放出が決定されたかのように追記した放射線副読本の配布を中止し、トリチウムの安全性を記したチラシを児童に配布しないこと。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和4年3月 日 調布市議会議長 小林 市之 提出先 内閣総理大臣 文部科学大臣 経済産業大臣 復興大臣   福島県知事