令和4年度 第1回調布市高齢者福祉推進協議会 議事要旨              令和4年7月14日(木)午後6時30分から          オンライン 1 開会 2 新しい高齢者福祉推進協議会体制について (1) 委員・モニター員の紹介 (2) 事務局体制紹介 3 報告 (1) 令和3年度推進協の振返りについて (2) 令和3年度調布市介護予防・日常生活圏域ニーズ調査結果報告について (3) 敬老会検討部会の設置について 4 議題 (1) 令和4年度推進協年間計画について (2) 令和4年度市民福祉ニーズ調査について (3) 顧問講話 5 その他 (1) 提出物の確認について (2) 第2回推進協議会等について 6 閉会 1 開会  オンライン開催にあたっての注意事項等を御案内し,欠席者の報告,配布資料の確認。 2 新しい高齢者福祉推進協議会体制について  委員・モニター員の紹介,事務局体制の紹介。 3 報告 (1)令和3年度推進協の振返りについて (2)令和3年度調布市介護予防・日常生活圏域ニーズ調査結果報告について 【事務局一括説明】 ○事務局  令和3年度推進協の振返りと,令和3年度調布市介護予防・日常生活圏域ニーズ調査の結果報告について,まとめて報告します。  昨年度は,第8期高齢者総合計画の1年目として,介護予防・生活支援体制整備事業や認知症施策,高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の取組等を議題に,皆様に議論いただきました。また,介護支援専門員調布連絡協議会や介護保険サービス事業者調布連絡協議会から,コロナ禍における活動報告をいただき,高齢者を取り巻くリアルな現状を共有するとともに,第7期計画期間中の介護保険事業の実績等も報告しました。  今年度は,第8期高齢者総合計画の2年目として,引き続き,皆様には各種施策に係る議論をお願いするとともに,来年度の計画策定を見据えた各種調査や計画の骨子の作成等も行う予定です。  また,アフターコロナ,ウイズコロナの状況下においても,各種施策が効果的に推進されていくよう,委員,モニター員の皆様と現状の情報共有を図るとともに,議論を通じて得られた貴重な意見,提言等を計画,施策に反映していきます。  本協議会の設置条例において,市民と行政が一体となって総合的な高齢者福祉を推進することを目的に,相集い,情報を共有し,協働して課題解決に当たるとございます。今年度もこの原点に立ち戻り,推進協を開催していきたいと思いますので,皆様の引き続きのご理解,ご協力をお願いします。  続きまして,令和3年度に実施した調布市介護予防・日常生活圏域ニーズ調査の結果報告を報告します。  (3ページ目)本調査は,要介護状態になる前の高齢者について,要介護状態になるリスクの発生状況や各種リスクの影響を与える日常生活の状況を把握し,地域の抱える課題の特定,高齢者総合計画の策定・進捗管理,事業評価のための基礎資料とすることが目的です。調査の対象は,調査基準日に市内に在住する65歳以上の要介護認定を受けていない方から,福祉圏域ごとに200人,計1,600人を無作為に抽出し,郵送にて実施しました。総回収数は1,184件,有効回収数は1,182件,回収率は73.9%です。調査期間中には,督促状兼お礼状を一度送付しています。  (4ページ目)調査項目は,国が示した必須の設問に加え,各自治体が独自につけ加えることができます。令和3年度は表のとおりです。なお,令和2年度から変更点はありません。  それでは,前回調査から変化の大きかった設問や特徴的な設問に絞って報告します。  (18ページ目)外出に関しての設問です。(7),昨年と比べて外出の回数が減っているかについて訪ねたところ,「とても減っている」「減っている」を合わせた割合が前年と比較し,男性で10.1ポイント,女性で11.0ポイント,全体で10.6ポイントと大きく減少しています。また,次の(8),外出を控えていますかについて訪ねたところ,「はい」と回答した方の割合が,前年と比較し,男性で16.6ポイント,女性で14.6ポイント,全体で15.7ポイントと大きく減少しました。  これらの結果から,コロナ禍からの立ち直り,高齢者の外出意欲が前年から回復・改善していることを数値的に確認することができました。コロナ禍で活動の自粛・縮小を余儀なくされた各種団体の本格的な活動再開によるものや,コロナ禍でも継続して行ってきた介護予防・フレイル予防への支援や生活支援体制の充実が,一定程度寄与しているものと考えています。  一方で,いずれの調査項目においても,一昨年の令和2年度の調査においては,(7)では「減っている」が全体で31.3ポイント増加し,(8)では「はい」が全体で43.6ポイント増加していました。このため,今回の調査において高齢者の外出状況や外出意欲が,コロナ以前まで戻ったとは言いがたいものの,単純に数字で比較すると3~4割程度回復してきたところかと思われます。  (19ページ目)その参考となる調査として,外出を控える理由について紹介します。今回の調査では,「その他」を選択された方の割合が,前年と比較し全体で14.5ポイント減少しました。コロナ禍において,その他の内訳は,ほぼコロナが占めていますので,コロナを理由に外出を控える方は前年比で減少していることが分かりました。ただし,こちらの設問も,一昨年の令和2年度の調査では,「その他」を選択された方の割合が52.9ポイントの大幅な増加となっており,そこからの今回の調査で14.5ポイント減少ということですので,コロナ以前と比較すると外出控えは依然高止まりしているとの見方もできます。  感染症禍の影響を受けていると思われる調査項目は,他にもございます。例えば,15ページ,16ページ目,運動に関する設問や,34ページ目,友人との交流に関する設問,38ページ目の問6,地域での活動に関する設問,45ページ目,健康状態,幸福度に関する設問,46ページ目,気分の落ち込み,物事への興味に関する設問などで数値が悪化,若しくは前年度からあまり改善が見られない設問になっています。  一方で,改善している,良い方向に進んでいる設問も多数ございます。現状把握の参考になりますので,後ほど報告書に目を通していただければと思います。  (53ページ目)最後に1点,報告いたします。令和2年度調査から新たに市の独自項目として追加した,インターネットの利用状況に関する設問です。インターネットを利用している方の割合は全体で60.3%と,前年から2.4ポイント増加しています。  (54ページ目)インターネットを利用している方の利用頻度を調査した結果,スマートフォンを週1回以上利用している方は全体で83.0%となっています。こちらも前年から5.6ポイント増加しています。  これらの結果から,アンケート調査に回答された高齢者の半数以上,50.05%の方が週1回以上,スマートフォンを利用されている結果となりました。令和2年度調査では44.81%でしたので,5ポイント以上も伸びたことになります。感染症禍において,着実にインターネットの利用が広がっていることが確認されました。  (56ページ目)一方で,インターネットを利用していない方についてですが,スマートフォンやアプリ等の使い方講座に関心がない方の割合は,前年度からあまり変化が見られなかったことからも,インターネットを利用しない,利用できない方も必ず一定数いらっしゃることが分かりました。  感染症禍はもちろんのこと,今後の各種施策の展開や情報周知等を効果的に行う上で,オンライン技術は欠かすことのできない手段となりましたが,先ほど述べたように,インターネットにつながれない方なども多くいらっしゃることを正しく認識しながら,その上で上手にオンライン技術を活用していきたいと考えています。  なお,これらの得られた結果・情報は,経年による変化や圏域ごとの比較,また他市との比較やクロス分析等を行いながら,次期計画策定時の基礎資料としてまいります。 (3)敬老会検討部会の設置について 【事務局説明】 ○事務局  敬老会に関する部会の立ち上げについて報告します。  調布市では,老人福祉法で定められている9月15日から21日の老人週間におきまして,社会に長年尽くしてこられた高齢者を敬愛し,長寿をお祝いするとともに,広く市民の方々に福祉への関心と理解を深めることを目的に,75歳以上の市民を対象とした敬老会を実施していました。  しかしながら,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴い,令和2年度は初めての中止,令和3年度においても中止とし,代替事業としまして,対象者へポストカードと花の種の記念品を送付しました。  代替事業については,様々な御意見を頂戴して,「素敵なポストカードをありがとう」や,「頂いた花の種からこんなに素敵な花が咲きました」と写真を送られる方もおりました。一方では,「高齢者で手紙を送る相手もいないから,ポストカードをもらってもしようがない」,「うちはマンションだから花の種をもらっても育てられない」,「こんなもので税金を使うより,もっと高齢者に役立つものを送ってほしい」といった声もありました。  令和4年度におきましても,コロナ感染者が徐々に増加している現状から,大勢の高齢者が集まることで感染リスクも高まることや,近年では9月でも高温日が続いており,熱中症や自然災害の危険性もあることなどから,敬老会の開催自体は中止とし,代替事業を現在検討しているところです。  敬老会の対象者である75歳以上の人口は,令和4年7月現在で約2万8,000人ですが,過去の敬老会の参加者は例年1,500人前後,割合にして5~6%の参加率となっており,高齢者人口は今後も増加が見込まれていることから,市としては,敬老会事業の在り方について検討が必要であると考えています。  つきましては,推進協において敬老会の検討部会を立ち上げ,6人から7人の部会員の方々から敬老事業の在り方について御意見等を頂戴し,令和5年度以降の敬老事業に反映させていただければと考えています。  そこで,今回,部会員の選任をさせていただきたく,立候補または御推薦がございましたら,挙手にてお願いしたいと思います。 ○委員  敬老会の事業というのは,どこの市町村でもいろいろと話題にはなっているところがあると思います。ぜひ力になりたいと思いますので,立候補したいと思います。よろしくお願いします。 ○委員  コロナによっていろいろ生活様式が変わっていく中で,敬老会も良いものになっていければと思いまして,ぜひ参加したいと思っています。よろしくお願いいたします。 ○委員  高齢者の方からの御相談を受けている立場で,高齢者の方ともお話をする機会も多く,お元気な方とも体操をしたり,いろいろ行っているので,少しでもお役に立ちたいなと思っています。よろしくお願いします。 ○事務局  この場では手が挙げにくいということもありますので,希望者は,来週の22日までに事務局のほうにお声をがけください。また,人数が揃わないときは,後日,事務局のほうから個別にお声をがけしますので,その際はどうぞよろしくお願いします。 4 議題 (1)令和4年度推進協年間計画について (2)令和4年度市民福祉ニーズ調査について 【事務局一括説明】 ○事務局  令和4年度推進協年間計画と,令和4年度市民福祉ニーズ調査について,まとめて説明します。  まず初めに,令和4年度推進協年間計画について説明します。資料1―2をご覧ください。  今年度は全部で4回の推進協開催を予定しており,それぞれの会では重点施策や計画の具体的な展開で頭出ししている項目を中心に,前年度の推進協で取り上げなかった取組を議題としています。前年度に引き続き,各回の議題において皆様から御意見,御提案を賜りながら,課題の整理や今後の事業展開,次期計画の策定に向けた準備等を進めていきたいと思います。  各回の議題案は資料のとおりです。なお,この計画案は,そのときの取組の実施状況や,国,都の動向,社会情勢等により直前で変更する場合がありますので,あらかじめご承知おきください。  令和4年度推進協年間計画については以上です。  続きまして,令和4年度市民福祉ニーズ調査について説明します。資料1―3をご覧ください。  例年,次期計画を策定する年度の前年度に,計画の基礎資料として高齢者に関する調査を複数実施しています。  (2ページ目)第8期計画を策定した際は,令和元年度に5つの調査を実施しました。第9期計画の策定でも同様の調査を行う予定であり,本日は市民福祉ニーズ調査の設問案について報告いたします。  (1ページ目)この市民福祉ニーズ調査は,3年に1度,計画策定する年度の前年度に行っている調査です。例年,福祉総務課が中心となり,高齢者支援室と障害福祉課が合同で行っています。市民の生活実態や地域福祉に対する意識・意見・ニーズ等を把握し,福祉に関する課題を抽出・分析して,その結果を次期計画に反映させていきます。  調査は4区分に分かれており,調査対象者・人数等は表のとおりです。調査時期は10月頃を予定しており,現在,各課・各計画においても,この高齢者福祉推進協議会と同様の会議体を設け,計画やこのニーズ調査についても検討が進められているところです。なお,下段の参考のとおり,令和6年度の次期計画は市の福祉3計画であります地域福祉計画,高齢者総合計画,障害者総合計画の同時改定となる予定です。  (3ページ目・4ページ目)続きまして,65歳以上を対象とした調査2の設問項目について説明します。  通し番号1から7は,回答結果を分析する際に,属性ごとの特徴や傾向を把握するために必要となる基礎的な設問となります。これらの設問を分析軸としてクロス集計を行うことで,単純集計では把握し切れない課題や傾向を深掘りしていくことができます。  通し番号8・9は,地域におけるつながりに焦点を当てて設問を設定しています。アフターコロナ,ウイズコロナにおけるつながり,コミュニティの再構築は,長引く感染症禍における課題の1つでもありますので,意識調査も含めて,今回このような設問を設けさせていただきました。  通し番号10から19は,先ほどの設問と意味合い的に重複するところもありますが,共助の部分に焦点を当てた設問を設定しています。福祉の面だけでなく,昨今の多発する自然災害における防災面も踏まえ,今後の地域づくりに欠かすことのできない重要な地域資源であることから,引き続き設問に設定しました。  通し番号20から22は,就労をテーマに設問を設定しています。就労については,定年延長や働き手の減少・確保といった社会的問題など,高齢者を取り巻く就労環境も大きく変化してきています。現在,市は,調布市シルバー人材センターと協力し,またその活動を支援しながら,高齢者の就労環境の改善等に努めていますが,就労にはセカンドキャリアにおける生きがいの創出やコミュニティ,仲間づくりの側面等も多分にあることから,今後の施策の展開を検討する上での基礎資料として新たに設定しました。  通し番号23から27は,防災をテーマに設問を設定しました。防災については,頻繁する自然災害の発生や震災等を踏まえ,市民の防災意識の醸成や今後の防災に係る取組の参考とするため,新たに設定したものです。この結果については,防災部署とも共有し,高齢者をはじめとした避難時の要配慮者に対し適切な避難誘導や安否確認等が図られるよう,本調査を通じて支援体制の構築や環境の整備等に役立てていきます。  通し番号28から34は,認知症,権利擁護をテーマに設問を設定しています。今後も高齢者人口が増加し続ける状況にあって,認知症高齢者はもとより,自身で様々な契約について判断することや,日常的な金銭管理や重要な財産管理を行うことが困難になる方の増加も今後見込まれています。特に権利擁護は高齢者虐待と隣り合わせの危険性もあることから,認知症や権利擁護の準備は元気なうちから備えをしておく,また,その必要性を把握しておくことが大変重要となることから,今回はテーマに掲げて調査するものです。  通し番号35から39は,高齢者になっても暮らしやすい地域づくりについて,基礎資料としての設問を設定しています。  通し番号40から44は,デジタル機器の活用について,45から50で暮らしの満足度や施策意向を把握し,高齢者が暮らしやすい地域づくりに向けて重点的な取組を検討するための設問を設けています。  現時点の調査票は大変ボリュームがありますので,回答の負担を軽減するため,関連する設問項目の統合や,別途実施する調査の設問項目となっているものについては削除するなど,設問数の見直しを図ります。  最後に,大まかなスケジュールをお伝えします。推進協委員・モニター員の皆様には,本日の会議終了後から7月22日までに設問等への意見等を賜りたいと思います。いただいた意見等を踏まえて,65歳以上の高齢者向けのアンケート用紙案を作成します。10月頃をめどに調査区分ごとに無作為抽出された対象者宛てに発送され,調査期間は3週間程度を見込んでいます。年末から年始にかけて回答結果を集計,分析し,年度末,3月中に報告書にまとめてまいりたいと考えているところです。 ○会長  資料1―2と資料1―3の議題について,皆様のほうからこの場で御質問,御意見があれば,今でも御発言いただけますがいかがでしょうか。この資料に書かれていないことでもいいということですね。 ○事務局  御意見いただければ,新たな設問として追加を検討しますが,設問数が多くなってしまうと回答者の負担感が増しますので,関連した項目と組み合わせながら,設問を決定していければと思っています。 ○会長  その案が次の第9期の施策に反映される可能性があるということも踏まえて,何か御質問,御意見等ありますでしょうか。  私からもよろしいでしょうか。現場で仕事をしていて,つくづく思うのが,本当に高齢者の独居の方が増えてきている印象を受けます。入院したら最後,もう元に戻れないという方も多いと感じおり,1人でも生きていける街にするには,どうしたらいいのだろうと思ったりしています。  我々の感覚を少し変えたほうがいいのか,何か支援体制の強化なのか,いろいろだと思うのですが,その辺りは今後どうしたらいいのか。調布市はどういう街を目指すのかなという,市民の皆様の御意見も知りたいです。高齢者の尊厳を保つためには,施設等が安全なのか,そうであれば施設はどこまでつくればカバーできるのか。一方では1人で家にいて,いろいろな支援が入ることでも尊厳が保たれるのではないかとか,その辺含めて,独り暮らしの方が増えるこの街が,どういうスタイルだったらいいのかというのは,大きな問題かなと思います。   (3)顧問講話 ○市川顧問  今回は,「コロナ禍における地域ケア~新たな協働を求めて~」というテーマでお話いたします。  このテーマについては,私も長く介護保険に携わり,地域ケアの議論を行ってまいりましたが,今日の高齢者や家族が置かれている状況は,今までとかなり違う様相を呈してきており,それについて,私たちはどのように考えればいいのかという問いを突きつけられています。コロナ禍において深刻化した生活課題は歴然としており,例えば関係性の危機というのは,明白です。家庭を維持していくための家族員同士の関わりや,子育て・親の扶養等々の問題,そして,精神的安定をもたらすはずの家族において,それを実現するための家族の役割がかなり曖昧になってきているケースも多いと思っています。また,学校と家庭の間や職場と家庭の間に,自分の居場所と実感できる場所があるか。私の推測になりますが,交通機関等における殺傷事件や放火事件を起こす犯人を生み出す要因に,孤立によってもたらされた底知れない孤独があるのではないかと感じており,最近,NHK等でもこれらは注目されています。  ひきこもりの問題は高齢者にも関わりがあり,内閣府が実施したひきこもりに関する調査において,40~64歳で61万3,000人の方がひきこもり状態にあるとの結果が出ています。そのうちの7割以上が男性であり,ひきこもりの期間は7年以上が半数を占めています。ひきこもりになった年齢は,60~64歳が17%で最も多いという数字が出てきており,15~39歳を加えると,100万人を超える方々が関係性の危機の渦中にあると言われています。  さらに,2020年3月より続くコロナ感染症の拡大により,特に高齢者や障害者の孤立が顕著となり,感染を恐れて外出や関わりを控えた結果,ひきこもり状態にある虚弱な高齢者や認知症の高齢者が増加しているというデータも出てきています。  資料でも挙げているとおり,8050問題は,今日の大きな生活課題ですが,要するに,長くひきこもりを続けてきた50代の子どもが,80代の親と生活をし,収入がない子どもは年金などの社会保障を受ける権利もなく,両親が亡くなると経済的問題に直面するのは明白であります。このように,8050問題は,高齢者問題の一部として議論することになります。  また,2025年問題は,ベビーブーム世代が後期高齢者となり,高齢者人口は約3,500万人に達し,認知症高齢者の数も増えることになります。ここで忘れてはならないのが,その数年後には75歳以上の人が増え,当然,要介護の問題や様々な疾病の問題が出てくるとともに,独り暮らし世帯・高齢者夫婦のみ世帯が7割を占めるというような状態になることがはっきりしているということです。  加えて,コロナ禍の地域における高齢者や家族等の生活問題の深刻化は言うまでもなく,外出を控えている高齢者が自宅で転び骨折をするケースも顕在化しています。介護予防につながる活動の場や地域の仲間づくりの場も無くなったり減ったりしていることで,社会的なつながりが切れてしまう高齢者も増えています。また,要介護度が高い方をケアする家族の負担も増加している状況であります。  このような関係性の問題に加えて,生活保護の申請件数も増えてきています。厚労省の生活困窮者に関するワーキンググループの報告書の中でも指摘されている部分であり,貧困問題は避けては通れない問題となっています。皆様方も御存じのように,東京都の生活福祉資金の緊急貸付額も物凄い額に上っています。  そして,事業者においては,事業継続の問題や感染症拡大へのリスクなど,今,本当に苦労して対応されているところでありますが,他方,地域福祉活動の中止・撤退に見る孤立の危機が顕在化しています。一度休止したサロン等の再開は,なかなか立ち上がらないという事象がはっきりしてきています。  令和2年4月から6月にかけて,調布,小金井,三鷹,武蔵野,東京都と一緒に,地域の現状とその対応について緻密に情報交換行いました。また,同年11月から12月にかけて,新型コロナウイルス時代の地域ケアについて,4回に渡ってトークセッションを行いました。様々な立場の方に参加いただくことで,孤立の現状やケアを要する状況の拡大,それぞれの事業・活動が直面している問題や試行錯誤の取組など,多くのことを発見することができました。また,地域資源を掘り起こしながら,各自治体がそれぞれの個性に基づいて実践しされていることも知ることができました。  今回の講話では,これらのことから学んだことを再確認するとともに,今日の社会福祉ニーズや高齢者と家族の生活課題に対してどのように進めていくべきかを申しあげたいと思います。  まず私は「自らの働きを問い直す」「地域のあるべき姿を描く」「協働した活動を進める」の3点を挙げています。  コロナウイルスの広がりは,今までの関係を打ち砕き,不安,恐怖,不信,怒りを生み出し,負の連鎖が広がってきています。だからこそ,私は大切なもの,大切なことを守る決意が必要だと思っています。私は,その中に,人への思いやりを入れられないかと思っているところであります。  そのうえで,先ほど申しあげた,自らの働きを問い直すことで,途切れた関わりを再生するか,それに代わる行動を生み出すか,自らの働きの意味や目標を確認し,可能な方法を見いたすことが必要になっています。  また,現状はいろいろな意味で閉塞感があり,様々な課題が出てきているのは事実ですが,ならば,もう一度どういう地域,どういう調布市をつくるかという,地域のあるべき姿を描くための議論は不可欠です。コロナによって,問題が広がりました。私自身も将来の生活という,今は顕在化していない問題を抱えており,その意味では当事者です。「支える」「支えられる」という関係ではなく,「互いに支えあう」関係をどのように築いていくか,自分自身の問題として考えています。  そして最後に,活動している人を孤立させないため,互いに支え合うための協働した活動を検討・開始していただきたいと思います。単一の組織で問題の解決を図ろうとしても,それは容易ではありません。行政も同様です。社会福祉協議会も,そもそも協議会の意味が問われています。民生委員児童委員も,自分だけで課題解決を目指すのではなく,本来の「受け止める」「つなぐ」という役割を担って頂きたい。協働という取り組みが,これからの社会福祉の前提になります。  調布市の事情を伺いますと,生活保護世帯に占める高齢者の割合は約53%で推移をしています。また,生活福祉の相談のうち「高齢により稼働困難」な方の相談も約2割程度であり,いずれも微増傾向にあるとのことです。生活困窮者への対応として,ホットラインを立ち上げるとともに,調布の1つの特徴である地域福祉コーディネーターと生活支援コーディネーターが合同していることは強みです。地域福祉コーディネーターが高齢者を含む生活困窮者に対し,丁寧な支援を行っていることは評価できると思います。  また,貸付けの問題でも,高齢者が直面している問題の大きさが分かります。  このようなことから,高齢者が直面している様々な課題から地域ケアだけを切り取って議論するのではなく,地域ケアと生活困窮者支援等との関係も議論する必要があると思います。たとえば,ヤングケアラーの問題は,子どもの貧困の問題と密接です。祖父母を介護しているヤングケアラーも当然予想されます。すなわち,既存の福祉制度の枠組みで,当事者の支援を考えることが困難になっている。「靴に足を合わせる」と靴擦れができる。「足に靴を合わせる」という計画の策定が求められていると思います。具体的に申し上げると,地域福祉コーディネーターと生活困窮者の相談支援の連携を図ることが必要ではないかと思っています。  また,今日の福祉制度について簡単に述べさせて頂きます。第1に生活困窮者自立支援制度の理念を見ますと,明らかに今の地域共生社会の大きな流れの原点がここだと私は思っています。生活困窮者が社会とのつながりを実感しなければ,主体的な参加に向かうことは難しく,支える・支えられるという一方的な関係ではなく,相互に支え合う地域を構成することこそ,それぞれの目標と一致するところであります。また,早期的な支援,個別的な支援,継続的な支援など,生活困窮者の支援の形が具体的に示されており,従来の高齢者福祉との関わりをどうすべきか,具体的検討することが必要だろうと思います。  第2に,高齢者福祉の軸である地域包括ケアシステムについて触れさせて頂きます。今までは,この地域包括ケアシステムを議論しておくことで十分だという認識もあったのですけれども,生活支援・介護予防は,今日の重要なテーマであることは言うまでもなく,言葉を換えれば,高齢者も担い手として参加してください。また,それが介護予防とつながりますという考え方となってくるわけです。そして,それを強化するために,生活支援体制整備事業という制度があり,生活支援コーディネーター,すなわち地域支え合い推進員という専門職が明記され,協議体を設けて生活支援を進めていこうという制度設計になっています。  地域ケア会議等々の抜本的見直し,今までの協議会等の役割の再考は必要だと思いますが,いずれにしても,協働による地域ケアとコミュニティの再生ということが1つのテーマになっています。ちなみに,調布市は,福祉領域ごとに異なっていた圏域を統合しようとみんなで一斉に検討して,整理を行いました。課を超えた努力で,私は調布市の職員の覚悟を感じていました。なぜなら,例えば,民生委員児童委員を見ても,児童福祉,障害者福祉,高齢者福祉,教育関係等の異なる圏域によって活動がしにくくなっていた。調布市では,現在,各圏域の地域特性を踏まえ,生活支援コーディネーターを配置して,支援に当たっています。そして,今まであった地域福祉活動の実績をそれぞれの圏域を軸に当てはめ,公的サービスと住民活動,ボランティア活動と組み合わせた包括的な地域ケアを目指しています。  この図を皆様方もよく御覧になったと思いますが,いわゆる8圏域に区分されて,それぞれに1つずつ地域包括支援センターを配置する。そこでインフォーマルケアである支え合いを入れながら,仕組みをつくっていこうとしました。そして,民生委員や生活保護,子ども分野など,全ての圏域で担当者が定まり,誰がどこへ相談に行っても全部がつながっている状況を目指して,引き続き市の中で調整していっています。これは次に図を示します。  こちらです。1層が市全体です。そして,2層が福祉圏,8圏域です。さらに,活動団体に通える範囲という日常のところを作り,ここで支え合い推進員がつないでいくという体制を取っているところであり,こういう形で2023年までには全8圏域の生活支援コーディネーターの配置がなされるということが計画されています。  これを見ていくと,第1層のイメージは,明記されている方々が調整に当たり,いろいろな課題を市全体の課題として捉えようとしています。例えば,第1層のコーディネーターは空き家の活動・問題も考えています。第1層のコーディネーターは,市の会議を傍聴した際に,空き家をどうにもできず困っている市民がいるという情報を入手したら,それに合わせた仕組みをつくっていくというようなこともなされてくると言えるわけです。  このような3層構造が高齢者福祉計画の目玉です。1層と連携しながら,さらに社会資源やニーズ,そして課題の把握を行うという1つのモデルが高齢者福祉分野で明らかになっています。ただ,本会議でも報告されましたように,生活支援コーディネーターの働きは高齢者分野だけに留まっていない。それは当然でして,高齢者自身が住民であり,子どもと関わりもあり,地域で生活する方々との関わりがあります。また障害をもつ場合には,障害者福祉の対象にもなる。これが実態です。 そう考えますと,もう一つの仕組み,すなわち重層的支援体制整備事業と高齢者福祉の関わりも説明していかなければなりません。資料にありますように,平成30年度には,福祉圏を統合する取り組みを調布市はしました。確かに,精神疾患や発達障害,生きづらさにつながるパーソナリティーにより,近隣住民や支援者との関わりが希薄化し,社会的孤立につながるケースも顕在化しています。その場合には,相談支援包括化推進会議及び専門職ネットワーク会議と連携を図り,支援体制チームで行って対応することになります。この重層的支援体制というのは,我がごと・丸ごとの,特に丸ごとで,ある意味で,一括して相談できるような枠組みを設けることを目指します。これは高齢者とか児童とかいう対象だけではなくて,住民としての共通の課題としてピックアップされています。こういう重曹型支援体制整備事業と生活支援体制整備事業とどうすみわけていくのか,整合性を担保していくのか,新たな制度設計が求められています。  それとともに,生活支援コーディネーターとは別に,エリアに8人配置しているコミュニティソーシャルワーカーが,断らない相談支援の一翼を担いながら,地域づくりを展開しています。そして,個別支援の相談が多くなっている地域福祉コーディネーター,特に生活困窮にある方たちへの支援も念頭にあると思いますが,地域福祉コーディネーターが分野を超えた相談を受け止めていく。そして,地域に強い生活支援コーディネーターが,対象を限定しない支援を一緒にできること。この議論は不可欠なものになると思います。  繰り返しになりますが,重層の支援体制整備は資料にある図のとおりであり,こういうネットワークをつくりながら,重層的支援会議を設けたり,広くそれを支える地域づくりも含めて進めていく。この図がどう調布市で展開されるかを検証していくことが必要です。  また,相談支援は,例えばここにある介護,障害,子ども,困窮の相談支援に係る事業を一体として実施し,本人・世帯の属性にかかわらず受け止める相談支援は,不可欠です。それから,参加支援は,既存制度と緊密な連携を取って実施するとともに,既存の取組では対応できない,はざまのニーズに対応するため,本人のニーズと地域の資源との間を取り持つことで多様な資源の開拓を行うなど,これはある意味で,ソーシャルワークというか福祉の支援の基盤となるものでありますが,必要なものはつくり上げていくような支援となります。そして,総合的な支援機能を確保することと,地域づくりに向けた新たな事業として展開されてくるわけで,それらの全体的な検討は不可欠でしょう。  これは,私自身にとってもまだまだ実感が湧かない部分がございまして,理念的には分かるのですけれども,調布におけるトータルケアシステムの中で,随所に高齢者福祉計画が関わってくるわけでありまして,それをどうこの会議で整理するか。皆さん方の御意見を伺うことが必要となってくるかと思います。  また,調布市ケアラー支援というのは,調布の特徴であり,実績でもあります。そして,支援の体系化を,例えばケアラー活動団体等々の連携とか支援,感染症禍における介護者支援という支援の体系化もなされています。介護者の地域における孤立予防は,調布市は他に比べて強いです。ほかはマップも十分できていません。  ただ,この場合,ヤングケアラーの問題をどうするのということがやはり出てきます。ヤングケアラーの問題は,先に申し上げたように,子どもの貧困問題との関連性も強いです。また,調布市のケアラー支援では,ダブルケアラーの問題も取り組んでいますが,子育て支援との関りを持ちますので,子育て支援計画と高齢者福祉計画とどのように整合性をとるかの議論は必要になります。今まで調布市では,家族支援はきちっと対応しているのだけれども,ヤングケアラーやダブルケアラーについては改めて見直してみることが必要です。このコ検討の中で調布ゆうあい福祉公社のケアラー支援と,ヤングケアラー支援は結びつかないのか,若しくはケアラーとしての支援で,横軸で,例えば生活困窮のため,児童の関係のために行っているものと,福祉公社のケアラー支援とは全く別枠で議論するのかどうかは,一度きちっと議論しておいたほうがいいと思います。  それから,広がる地域における生活問題への対応ですが,関係性の喪失で,先ほど申しました孤立がはっきりしています。2025年問題も,要するに支援する家族がいない,そういう方たちの要介護の問題も出てくるし,他方,空き家の問題も出てくるということは言うまでもありません。  8050問題という制度のはざまにある問題がとり上げられ,調布市市民福祉ニーズ調査では,複雑な課題を抱えた高齢者の親と未就労,独身の子ども世帯を見たことがあるかでは,6.8%の方が見たことがあると回答しています。調布市は,これを基に相談支援包括化推進会議で8050問題を検討しており,同会議で庁内向けリーフレットを作成し,各機関の役割,機能の明確化,事例の紹介を行うとともに,長く関わる支援者の必要性や負担,それから個別性の重要性も踏まえながら,どの機関でも受け止められるよう,切れ目のない支援体制やネットワークの構築を検討しており,この議論と私たちの協議会の議論が結び付くのではないかと思います。  そして,議論していく必要がある取り組みは,現在の無縁社会にあって,家族の支援がまったく期待できない多数の方々に,新たな縁,関係,セーフティネットを提供できるのか。相談する近隣の人がいないと回答した高齢者の数は,アメリカ等の他国に比較して圧倒的に多い調査結果が出ています。これは社会作りとも関連することで,どのような社会を創るか,そのためにどのような支援システムをつくるのか,会議でも取り上げる必要があると思います。  また,調布がどうかということではなく,例えば行政内とか社協内,組織を超えた協働の可能性はあるが,実はなかなかそれがうまくいっていない自治体も少なくありません。結局,福祉と他の領域との連動ができないという指摘は東京都全体にもあります。また,それぞれの協議体の役割や権限を示し,協議体の意味を明らかにし,ある意味でスクラップ・アンド・ビルドは避けられないのではないですかと考えています。  資料の図では,調布市高齢者福祉協議会があり,ここには地域ケアとか民生委員,広報協力員,情報交換会のイメージが表されています。これを高齢者福祉推進協議会や調布市の中でもどのように位置づけて議論していくかは,必要なことであると理解しておいてください。  私は,4期から8期まで,東京都の介護保険事業計画の策定の委員長をやっていますが,こういう議論は出てきませんでした。むしろ介護保険はとか,高齢者福祉はという議論に収まっていましたが,今の現場や現実を見たらば,そこだけで収まらないのではないかと思っています。医療も受けられない方や買い物にも行けない方,また,貧困の問題もそうですし,関係性の孤立も明白にあります。私も現場には今も随分関わっていますから,これは事実だと実感しており,そこから生活課題をお示ししました。  そして,高齢者の場合,例えば介護だけを議論していればいいとういうわけにはもういかないでしょう。むしろ,実態から迫って,どう支援し,関係者がどう協働できるか,このようなことを議論する,ある意味でのスタートになる時期なのかもしれないと私は思いました。ちなみに,今日は午前中に東京都が,午後には練馬区が相談しに来校されましたが,それぞれが悩んでいます。どこまで議論するのか。一番大事なのは,目の前にそういうお年寄りがいらっしゃる,家族がいらっしゃる,そして,8050問題がある。そのような現実から何ができるかということを洗い出していくことが必要だと私は思います。そういう意味では,原点に立って今まさに進むべきときかなと思いました。 ○会長  貴重な投げかけをしていただいたと思います。今の御講話について御質問がある方は,挙手でお知らせください。いかがでしょうか。 ○モニター員  昨年度から私は経済構造のことを非常に気にしいます。調査項目の中にも高齢者の経済的背景があまり浮き彫りにされていません。私は,テレフォンアポインターをしていますが,困窮している方がたくさんいらっしゃいます。ぜひそういう視点で,底辺から改善していかないと,なかなか高齢者の問題は改善されないのではないかと思っています。 ○モニター員  市川顧問の今の講話は,非常に参考になったというか,勉強になりました。東京都とかいろいろな会議で委員長をされているということで,そういう方が本音ベースでお話しいただいた。福祉とか介護だけにこだわらず,ほかの問題についても総合的に考えるべきではないかと。これは調布市にも言えることだし,ほかのことでも言えるという御意見は,とても貴重というか,本音ベースでお話しいただいたということで,勉強になりました。  私も父が102歳でおりますけれども,まだ元気にしておりまして,ただ,やはり転んだり,誰かに助けてもらわなければいけないときに,誰に相談したらいいか。調布市の場合は,今,先生のお話もあったように,支援のコーディネーターがいらっしゃって非常にいい活動をされているということを,去年の協議会でも聞きました。調布市はとてもよい事例を持っている自治体なので,ここに参加されている委員の方とか市民モニターの方が,いろいろ協力して新しい案を出していくという年に今年なれば,とてもいいなと思っています。 ○市川顧問  ここの会議の特徴は,モニター員がよく知っています。いろいろなことに造詣が深いので,どうぞ,それぞれの経験を踏まえ,それぞれの知識を踏まえておっしゃって,そして,その中で,本当に今,調布市がやるべき高齢者支援とは何なのかということを明らかにしていくことができたらと,私は率直に思っています。  そういう意味では,発言が参考になる方が本当に多いので,ぜひどうぞお話しいただければと思います。 ○モニター員  非常に参考になることが多くて,まだ十分理解できていないところもあるのですが,1つ先生が言われた,今のいろいろな課題を解決するために,組織的なスクラップ・アンド・ビルドということを提案されて,重層的な組織をつくって対応していくということが非常にいいポイントだと思うのですが,以前から私も個人的に思っているのが,高齢化という社会の中に,もう一つ,対で出てきている日本の社会の特徴として,少子,いわゆる人口が減ってきていますよね。その人口が減ってきていることに関して,この社会福祉に対して,どういう見方で取り組んでいったらいいのか,そういう視点が1つ要るのではないかなという気がするのですけれども,それについてはどうでしょうか。どういう取組が考えられますか。 ○市川顧問  その課題といいますか,それに限定して少しお話させていただきますと,未婚率が高いというのがはっきりと少子化の特徴になります。未婚の割合が高いのは不安定就労,つまりきちんとお金が稼げない,十分な給与を頂いていないという方の未婚率が高いです。ですから,これはある意味で生活構造,経済構造の1つの課題であるということは一般的に言われています。  それとともに,働きながら子どもを育てることが難しいという状態がありますが,一番の大きな理由は,未婚。未婚にならざるを得ないというか,そういう状況の中にあって,当然出生率は低くなりますから,そこの大きな課題をまず検討していくことが不可欠だろうと思います。国を挙げて子どもの課題については取り組むということがはっきりされていますから,そういうことを考えていく必要はあるのと,もう一点,子どものところで虐待がものすごく増えていて,子育てに対する不安というか負担がもろに起こっています。子どもが随分亡くなっていますので,つまり親だけに任せるというのではなくて,社会として子育てに協力するという関わりの中で,安心して子どもを育てるという議論もすべきだろうと私は思います。その点だけ申し上げさせていただきます。 ○モニター員  私が最近感じていることを,まさに先生に書いていただいた気がしますが,例えば介護保険が始まった,10年か20年前,例えばお嫁さんが親の介護で大変だとか,少し核家族化してきて大変だという,今から思うと,そのときはまだ単純な感じで,介護を誰がやるのだという問題で済んでいたような気がしていたのですが,最近,自分も高齢者となって,自分の周りや少し上の世代を見ると,先ほど先生が書かれたように,介護という単純な1つの問題のことではなくて,お金がないという世界から,健康でないという世界から,周りに誰もいないという世界から,複数の問題が複雑に絡み合っている。先生にお願いしたいのは,今,高齢者が抱える問題は幅がものすごく増えている気がして,何をしたらいいのか,逆に,包括していく人とか,みんなで連携するのだけれども,その中でどれを順番づけてやっていかなければいけないか。  例えばヤングケアラーということを先生は非常におっしゃられていて,私も先生からそれを学んでから,最近マスコミその他で騒がれるようになったなと思います。  専門の委員の方がいらっしゃるのですが,その委員の方は委員の方で,自分の所掌する範疇でいろいろと御活躍されているのだけれども,それ以外も含めて,トータルで何をしなければいけないか,とにかくいっぱい切り口があるというのを最近非常に感じています。簡単に言えば,介護の保険より先に,先生もさっきおっしゃっていたような気もしますが,いわゆるお金とか,非常に原点的なもの,生活困窮者のお金の問題みたいなことさえもあるし,それ以外にも,さっきDVみたいなこともありましたし,その他もろもろ。  いろいろな問題があるけれども,優先的にどれをやらなければいけないですよということを,またお示しいただけるとありがたいなと思います。 ○市川顧問  御助言ありがとうございます。モニター員やそれぞれの現場でいろいろやっている人たちが一番地域と近いですから,実際,高齢の方たちの問題は一番実感しているところだと思いますので,その方々がテーブルのところに課題を出して,これに対してどうしたらいいのかという議論を進めていくことがとても大事なことだと私は思います。どれが優先順位というよりも,出した中で,どれができるかという,まずそれを決めていくことが私は大事だと思っていますし,今日は私以外の専門職の方は発言なさっていませんけれども,多分,医療なら医療を通しながら,その相手の生活のこととか家族のこと,いろいろなことを把握していると思います。地域包括支援センターも,よく分かっていると思います。  その中で,これだけ課題があるけれども,どうやってみんなで協働していくかということを一緒に話せるような場であれば,それこそが地域づくりだし,地域をどうするかという,これから描くべき目標が示されるわけでございます。そういうプロセスを,会長はバランスのいい,全体を見てくださる方ですから,会長の下,それを始めるといいし,他方,行政も,私は随分長くやっていますが,自分たちの限界もよく知っていると思います。やりたいのだけれども,できないということとか,そういうことを話して,そして互いに何ができるか,何をしようかということを率直に話し合えると,計画に血が通うのではないかと私は思っています。  答えになったかどうか分かりませんけれども,そのように思います。 ○委員  社協でも,先ほど先生がおっしゃったケアラーというようなところで,ヤングのケアラーの会ですとか,子育てと介護のダブルケア,そういった仲間づくりの支援等も行っていたりします。  私ども社協では,地域福祉コーディネーターですとか支え合い推進員が地域に出向き,制度のはざまでの課題等に向き合っています。ただ,声になる方たちというのは,声を出せる方たちなのです。声を出せない方たち,埋もれてしまっている方たちをどうしていくかが,ずっと課題に思っています。先ほど,ひきこもりも増えているということ,そして,コロナによって若い方の不登校なども増えています。これを困ったなと発信できる家族の方たちはまだしも,じっと自分たちで抱えている方たちがいることも,これはコロナ前からの課題でもあります。そういうところに入っていくことが大事かなと思っていて,この辺りをすごく悩んでいるところです。 ○市川顧問  私がコメントする必要はないと思うのですが,そういう課題をお出しになるといいのではないでしょうか。支援が必要にもかかわらず拒否する方,本当は生活保護で生活したほうがいいと思える方でも,私は大丈夫とおっしゃる方。幾つも出てきており厳しい状況にあるかと思いますが,そこら辺はプロとして対応していくことを期待したいところでありますが,それでも限界があります。そういう時は近所の方がちょっと声をかけてくださったほうがいいという場合も多々あるし,そのような提案を少しなさったらいかがでしょうか。  そのときには,プライバシーもありますから,個別的な議論を話せる場があるかということの提案をなさるとよろしいかと思います。個人情報保護の議論もありますが,どうやって支えていくのかというのは緊急の課題ですから。と私は思いますが,ぜひ発言していただければと思います。 ○モニター員  高齢者ということで花の種を頂きました。御近所では,種を蒔く場所や庭もないと,困っている方が多くいました。今回の調査結果の集計報告の統計から,印刷され配布される「市報ちょうふ」を御覧になる方が大変多く見られます。世の中の趨勢としてデジタルメディアがあります。便利で早いですが,しかし,印刷された「市報ちょうふ」のほうが,手に取って切り抜く,壁に貼るなど確認するには便利です(高齢者にとり)。また,調査結果の57ページに,「情報提供で,高齢者専用の情報誌があるとありがたいです,SOSができる新宿区のような冊子が欲しい」という御意見があります。私も同じで,やはり予算をそういうことに生かしてほしかったです。最後にお伝えさせていただきます。 ○会長  貴重な御意見ありがとうございます。ぜひ参考にさせていただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。あまたある協議会のスクラップ・アンド・ビルドも必要ではないかと。なるほどと思いました。何となく,高齢者がとか,ケアラーがというよりは,そもそも社会の問題で関わりが薄いと。関わりをもっと広げていくにはどうしたらいいのかということなのだろうなと思いました。  それから,コーディネーターがいずれ主役にならない,コーディネーターが動くことでその地域の皆さんが主役でつながっているというのが,最終ゴールなのかなと伺っておりました。  あと,女性問題ですね。私も病院の経営をしています。働く女性の活躍の場を含めて,日本はやはり女性に厳しいなと。まだまだ女性にいろいろなことを押しつけて,それでさらに仕事をしろと言われている社会に対してもうちょっと,3人目,子どもを産んでも自分の時間,美容院に行くための1時間を,ただで子どもを預けられて,自分の時間をつくれる,そんなまちになると,子どもを育てやすい,いいまちになるのかなと,いろいろ思いながら伺っておりました。  これからまた皆さんと共に,この調布市を良いまちにするための議論ができればと思います。 5 その他   事務局より事務連絡 6 閉会