令和5年度における 基本的施策について 調 布 市 目  次 1 令和5年度の市政経営 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 主要な施策について(重点プロジェクトの取組) ・・・・・・・・・・・・ 4 (1) 安全・安心に暮らせるまちをつくる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 (2) 調布の宝である子どもたちを応援するまちをつくる ・・・・・・・・ 5 (3) 誰もが自分らしく安心して住み続けられるまちをつくる ・・・・ 7 (4) にぎわいと交流のある活気に満ちたまちをつくる ・・・・・・・・・・ 8 (5) 人と自然がおりなすうるおいあるまちをつくる ・・・・・・・・・・・・ 9 3 施策の推進に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 (1) 参加と協働のまちづくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 (2) 効果的・効率的な行財政運営 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 4 おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 1 令和5年度の市政経営 ただいま,議長のお許しをいただきましたので,令和5年度の市政経営に対する私の基本的な考えを申しあげ,調布市議会及び調布市民の皆様の御理解と御協力を賜りたく存じます。 冒頭に当たり,令和5年度における調布市のあるべき姿を展望するとともに,行政サービスの維持・向上に取り組む市の基本姿勢について述べさせていただきます。 まず,既に3年以上が経過したコロナ禍への今後の対応としては,残念ながら未だに感染症収束についての明確な道筋が定まる段階に到達したとは言い難い現状を踏まえ,引き続き,市民の健康管理について専門家の知見を参考としつつ最善を尽くして参ります。あわせて,市内経済活性化なども含め,あらゆる局面において市民生活をサポートすべく,諸施策を機動的に展開します。 今後も感染症の流行に対する備えについては,当然ながら,万全の体制を維持して参りますが,そのことをもって,市内全体が過度な閉塞感や停滞感に覆われることのないよう最大限気を配って参りたいと考えております。この間においても,昨年は名誉市民・水木しげる氏の生誕 100周年記念事業や,新たな試みとして開催した「マルシェ ドゥ 調布」など,多くのイベントや事業を通じて,再びまちに活気とにぎわいをもたらし,市民生活にも明るい兆しが感じられるようになっています。これらのことを踏まえ,身体的には細心の注意を心掛けつつ,意識の上では「脱コロナ禍」が可能となるよう社会環境の好転に期待を寄せながら,そのことを市民の皆様に呼び掛けていきたいと存じます。 政府は,本年5月8日から新型コロナの感染症法上の位置付けを2類相当から5類に見直すことを決定したことから,今後の推移を見守りつつ,市内に活気が満ち溢れることを念願し,その方向に市民意識が向かうためのサポートを充実させていきます。 感染症などの疾病のみならず,不穏な国際情勢や家計を圧迫する物価高などに起因して,ともすると気持ちが塞ぎがちになりそうな現今の社会情勢に,全ての市民が直面しておられる現在,日常生活上の不安の払拭や困難な状況の打開に行政が一層の役割を果たすことが当然求められることを強く意識して,年度当初からの市政運営に臨んで参ります。 また,令和5年度のスタートラインは,折しも新たな総合計画の開始時期と重なります。順調に進展したこの10年間のまちづくりの延長線上において,新たな8年間の計画を進めて参ります。その前期4年間の基本計画を今般取りまとめたところであり,「脱コロナ禍」への意識が拡大する中で,市民の皆様に少しでも明るい展望を感じてもらえることを切望しつつ,引き続き,市民生活を大切にすることを原点に据え,新たな基本構想に掲げたまちの将来像,「ともに生き ともに創る 彩りのまち調布」の実現に向けて,堅実にスタートを切りたいと考えております。 市政を取り巻く課題が益々多様化・複雑化している中,様々な要因により,日常生活において公的な支援が必要な市民に対して,行政は一人一人の実情に即したきめ細かな対応が求められます。そのため市は,引き続き,経済的な困窮や心身の障害のほか,社会とのつながりの希薄化,自身の性に関する生きづらさなどを感じている市民に寄り添いながら,必要な支援を行き届かせることで,生活に安心感をもたらし,このまちに暮らす市民が,地域のぬくもりや,やさしさが感じられるよう,取組を推進して参ります。 まちづくりでは,長きにわたり取り組んできた中心市街地における都市基盤整備がこの先の数年をもって完了し,調布のまちの骨格づくりは大きな節目を迎えます。市は,その事業効果を最大限に発現させるため,産業・観光,文化芸術,スポーツのほか,水と緑に恵まれた豊かな自然環境など,市内の多彩な地域資源を活用し,にぎわいやうるおいのあるまちづくりに向けた取組を展開いたします。 そして,市議会と共に宣言したゼロカーボンシティの実現に向けた取組を推進するに当たり,その目標達成には相当な努力を要し,決して容易なことではないという認識を共有しながら,行政における率先した行動はもとより,市民や事業者等と連携,協力しながら,オール調布で取り組んで参ります。 また,これらの多岐にわたる施策の効果的・効率的な推進や,市民生活の利便性の向上など,様々な地域課題の解決においては,行政のデジタル化を一層加速化し,市民の皆様にその効果を実感していただけるよう,取組を進めて参ります。あわせて,こうした取組においては,行政だけでなく,地域の多様な主体と連携することが重要であることから,これまでの参加と協働の実践を更に発展させ,大学や企業,NPO法人等を含む多様な主体と共に考え,共に行動し,地域課題の解決に取り組む共創のまちづくりを推進して参ります。 このほか,東京外かく環状道路に関しては,本線トンネル工事付近における道路陥没等から2年余が経過する中で,市は,引き続き,市民に寄り添った対応を図ることと併せて,事業者に対して誠意ある対応と課題解決に向けた取組を求めて参ります。 次に,基本構想に掲げたまちづくりの基本理念に基づく取組についてです。基本構想では,まちづくりの基本理念として,「個の尊重」,「共生の充実」,「自治の発展」を掲げており,この3つの理念に基づく取組を推進して参ります。 市は,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催,とりわけパラリンピックの開催を契機に「パラハートちょうふ」を標ぼうし,様々な障害に対する市民理解の促進と,共生社会の充実につなげる取組を進めて参りました。令和5年度においても,これらの取組を継承・発展させ,誰もが自分らしく幸せを感じながら暮らせるまちを目指し,多分野にわたる取組を展開して参ります。 世界情勢においては,今まさに多くの尊い命が犠牲となるウクライナの惨禍が続いている中で,市としても,広島市・長崎市をはじめ,世界の恒久平和を希求する自治体との連携を深めながら,市民と共に平和の実現への貢献や,その礎となる多文化共生の取組を進めることで,世界の恒久平和の確立に寄与していかなければなりません。令和5年度は,調布市議会による非核平和都市宣言から40年の節目を迎えます。市は,この機を捉えて,子どもたちの被爆地への平和派遣をはじめ,平和の尊さを次世代へ継承する取組を展開して参ります。 また,多様な生き方・暮らし方ができる社会の実現に向けて,市独自の新たなパートナーシップ宣誓制度をはじめ,多様な性に対する理解醸成を図って参ります。また,男女共同参画社会の形成に向けて,第5次男女共同参画推進プランに基づき,男女が社会のあらゆる分野でお互いを尊重し,誰もが多様性を認め合い,自分らしく,安心して暮らせるまちづくりに取り組んで参ります。 次に,令和5年度の当初予算編成についてであります。 令和5年度に向けては,市財政を取り巻く厳しい環境の中で,次期総合計画の策定及び財政フレームの作成と併行した複数年次の視点を踏まえること,コロナ禍が長期化する中,市民の安全・安心の確保と市民生活支援に継続的に取り組むこと,そして,財政の健全性を維持しながら様々な財政需要に対応するため,あらゆる角度からの歳入確保と経費縮減に取り組むことの3点を基本姿勢として,予算編成に取り組んで参りました。 収支均衡に向けては,各種基金の活用等を含めて,歳入確保や経費縮減に取り組む中で,次期基本計画との整合や市政を取り巻く状況を踏まえた重要課題への対応などについて,最大限,意を用いながら総合調整を図りました。 この結果,令和5年度一般会計の歳入歳出予算は,総額997億7千万円となり,前年度と比較して45億円,4.7パーセントの増となりました。目的別の構成比では,民生費が52.1パーセントで最大の比率となっており,以下,総務費が11.4パーセント,次いで,教育費11.2パーセント,土木費10.0パーセントとなっております。 2 主要な施策について(重点プロジェクトの取組) それでは,新たな基本計画に基づく令和5年度における主要な施策・事業について,5つの重点プロジェクトの取組を中心に順次申しあげます。 (1) 安全・安心に暮らせるまちをつくる はじめに,「安全・安心に暮らせるまち」をつくるプロジェクトであります。 令和元年台風第19号の経験を踏まえた水害対策として,これまでの取組に加え,狛江市と連携して,大規模ポンプ施設の設置等に向けた取組を進めて参ります。また,近年の気候変動の影響等を踏まえ,市内全域を対象に,総合的な浸水対策を検討して参ります。 防災・減災対策に関しては,不断の取組を継続する中で,関東大震災から100年という機を捉え,地域における実践的な訓練をはじめ,市民の防災意識の更なる醸成に取り組むほか,東京都の計画改定を踏まえた市の地域防災計画の修正,フェーズフリーの考えやローリングストックの視点に留意した防災備蓄品の充実などを図ります。さらには,災害発生時の迅速な廃棄物処理を進めるため,災害廃棄物処理計画を策定します。 また,消防力の強化については,引き続き,東京都との連携による常備消防力の維持・向上を図るとともに,消防団の災害対応能力向上に向け,機械器具置場の整備や装備品の更新,消防ポンプ車及び指揮車の更新を行います。 その他,災害に強い都市基盤整備として,耐震改修促進計画に基づき,住宅の耐震化や特定緊急輸送道路沿道建築物等の耐震化の促進に取り組みます。 防犯対策では,街頭防犯カメラの活用や子ども安全・安心パトロールによる犯罪抑止に取り組みます。また,特殊詐欺被害を防止するため,自動通話録音機の貸出しのほか,調布警察署等の関係機関・団体と連携し,金融機関等のATM周辺への人員配置による声かけなど,市独自の対策の強化を図ります。 (2) 調布の宝である子どもたちを応援するまちをつくる 次に,「調布の宝である子どもたちを応援するまち」をつくるプロジェクトであります。 市は,これまで重点的に取り組んできた保育園の待機児童対策により,令和4年度当初には,待機児童数を16人まで減少させることができました。その一方で,学童クラブの入会保留児童への対応が課題となっています。そのため,保育園においては,保育の質を確保しつつ,引き続き,年度限定型保育事業の活用などにより,多様な保育ニーズに対応して参ります。学童クラブについては,計画的な施設整備と併せて,放課後子供教室事業との一体的運営を推進します。なお,放課後子供教室事業については,本年4月からその名称を「ユーフォー」から「あそビバ」に変更するとともに,子どもたちの意見を取り入れながら活動プログラムの充実につなげて参ります。 また,妊娠期から出産・子育て期まで一貫して,身近な地域で相談に応じ,必要な支援につなぐ伴走型相談支援と経済的支援を一体的に実施するとともに,多胎妊婦に対する健診費用の助成やアウトリーチ型産後ケア事業の実施日数を拡充するほか,関係機関との連携により,妊娠期からの切れ目ない支援の実現を図る中で,妊婦の不安や保護者の負担の軽減に努めて参ります。 さらに本年4月からは,高校生等に対する医療費助成を開始するとともに,従前からの義務教育就学児医療費助成と併せて,所得制限及び自己負担を撤廃し,子どもの医療費の完全無償化を実現することで,子ども・子育て支援の更なる充実を図ります。 このほか,児童虐待防止に向けた取組として,予防的支援の継続と併せて,児童虐待防止センターにおける体制強化を図ります。さらに,近年,社会問題となっているヤングケアラーへの支援に関しては,その課題も含めて実態把握に努めながら,組織横断的な連携による対応を図っていきます。 学校教育に関しては,モデル的に導入するコミュニティ・スクールと地域学校協働本部との一体的運営に向けた取組や,部活動の地域連携に関する検討を進めます。また,ICT教育の更なる推進を図るほか,民間スポーツクラブと連携した水泳指導を実施します。さらに,不登校児童・生徒に関しては,初期段階等での訪問支援や,エデュケーション・アシスタントの配置など,きめ細かな対応に努めて参ります。その他,小・中学校施設の整備については,引き続き,不足教室対策のほか,計画的な維持保全を図り,適切な教育環境の確保に取り組みます。 (3) 誰もが自分らしく安心して住み続けられるまちをつくる 続いて,「誰もが自分らしく安心して住み続けられるまち」をつくるプロジェクトであります。 令和5年度は,地域共生社会の充実に向けて,福祉施策推進の基盤となる,地域福祉,高齢福祉,障害福祉の福祉3計画について,相互の分野横断的な連携を踏まえながら次期計画の策定に取り組みます。 市内8つの福祉圏域においては,地域福祉コーディネーターを中心とする地域・行政・関係機関等とのネットワークの充実を図るとともに,重層的な支援体制の整備を組織横断的に進めることにより,包括的な支援体制の構築を図って参ります。 また,地域支え合い推進員の配置を拡充し,支え合いの地域づくりを一層推進するとともに,認知症やフレイル予防,難聴への対策など,生活支援・介護予防にも取り組み,地域包括ケアシステムの深化・推進を図ります。 障害福祉では,障害者が地域で安心して住み続けられるよう,医療的ケアが必要な方を含む重度の障害者も受け入れ可能な新たな施設整備を進めます。あわせて,障害者の就労を支援する取組を充実して参ります。 セーフティネットの取組においては,調布市社会福祉協議会などの関係機関と連携し,生活困窮者の一人一人の状況に応じた支援を行うほか,生活保護制度に基づく適正な保護と自立の促進に努めて参ります。 市民の健康維持・増進の面では,健康づくり,食育,国民健康保険データヘルスに関する次期計画を策定し,がん対策や,受動喫煙防止対策,歯と口腔の健康,生活習慣病予防など,健康施策の総合的な推進を図ります。その中で,がん対策については,総合的な施策展開を図るべく,がん検診の受診率向上や,がん患者の支援に関する施策の検討,実施について,調布市医師会等と連携しながら取組を進めて参ります。また,小児医療の休日診療をセンター化し,休日診療体制の強化を図って参ります。 (4) にぎわいと交流のある活気に満ちたまちをつくる 次に,「にぎわいと交流のある活気に満ちたまち」をつくるプロジェクトであります。 ソフト面では,ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックといった世界的なスポーツ大会を契機として,これまで市が進めてきた多面的な取組の成果をレガシーとして継承しつつ,更なる発展につなげるため,引き続き,多様な主体と連携した取組を進めて参ります。 文化芸術分野では,(仮称)文化芸術振興ビジョンの策定に向けた検討を進めるとともに,誰もが多彩な文化芸術活動に親しむことができる環境づくりに取り組みます。また,スポーツ分野においては,(仮称)スポーツ推進計画を策定し,多様な主体とのつながりを生かしながら,世界的なスポーツ大会のレガシーとして,障害者スポーツの振興をはじめ,様々な角度から市民スポーツの振興を図って参ります。 地域経済の再活性化については,社会情勢を踏まえながら,今後の市の産業振興施策の指針となる,(仮称)産業振興プランの策定に向け,地域経済対策会議での議論をはじめ,商工会や観光協会など多様な主体と連携した検討を進めて参ります。また,深大寺をはじめとした市内観光資源の活用や「映画のまち調布」の推進のほか,本年度における名誉市民・水木しげる氏生誕100周年の取組を踏まえ,「水木マンガの生まれた街 調布」の更なる発展に向けた取組を進めて参ります。 ハード面に関しては,近年の都市における課題を踏まえ,市の都市計画の基本的な考え方を示す次期都市計画マスタープランを策定いたします。調布駅前広場及び鉄道敷地については,着実な整備の推進と併せて,道路空間の利活用に向けた検討に取り組みます。 都市計画道路や生活道路については,松原通りから金子地域福祉センターにかけての調布3・4・9号線の事業に着手するなど,調布市道路網計画に基づく一体的な道路ネットワーク機能の向上に向け,引き続き,計画的な整備に取り組みます。また,地区の特性にふさわしい良好な市街地の創出につなげるため,調布駅周辺地区や西調布駅周辺地区などにおいて,地区計画を活用したまちづくりを推進します。東部地区における交通環境の改善に向けた取組については,引き続き,関係機関との協議・調整を図りながら都市計画道路事業や連続立体交差事業に向けた取組を推進するとともに,地域住民とまちづくりの将来像を共有しながら,沿線まちづくりの検討を進めて参ります。 交通環境の整備に関しては,北部地域における公共交通の実証実験を継続する中で,新たにデマンド対応の運行も視野に入れ,地域住民や事業者と連携した取組を進めて参ります。また,自転車利用を促進する施策として,自転車通行空間の整備やシェアサイクルの促進など,多角的に取組を展開して参ります。 (5) 人と自然がおりなすうるおいあるまちをつくる 重点プロジェクトの最後は「人と自然がおりなすうるおいあるまち」をつくるプロジェクトです。 地球温暖化の進行に伴う気候変動の深刻化や生物多様性の損失など,環境を取り巻く状況の変化は世界規模の課題であると同時に,気候変動の影響により毎年のように大規模な自然災害が発生するなど,その影響は市民の身近な生活領域に波及しています。 地球温暖化対策や気候変動対策をはじめ,環境に対する関心が一層高まる中,環境基本計画をはじめとする諸計画に基づき,ゼロカーボンシティの実現に向けた取組を実践するに当たり,多様な主体との連携による推進体制を構築して参ります。 脱炭素,循環型社会に向けては,市職員をはじめ,市民,事業者など,市に関わる全ての人を対象とした意識啓発の取組と併せて,行政の率先行動により,市民・事業者の環境配慮行動を促進します。そのため,市ホームページや刊行物などを通じた情報発信や,次代を担う子どもたちや市民へのSDGsを意識した環境学習機会の充実,家庭・事業者からの相談への対応のほか,省エネルギー機器や再生可能エネルギー機器の設置を支援して参ります。また,新たな一般廃棄物処理基本計画に基づき,3Rの推進に向けた取組強化を図る中で,重点施策としてプラスチックごみの発生抑制や資源化などに取り組んで参ります。 豊かな自然環境の保全については,深大寺・佐須地域における里山の風景を保全するため,引き続き,市民団体やNPO法人等と協働して,自然体験型の環境学習活動,都市農地や崖線樹林地の保全などに取り組むとともに,農業公園の整備を進め,農の風景を継承する取組を推進して参ります。 また,都市農業の振興や都市農地の保全については,農業者に対する支援の充実を図りつつ,市民農園等を活用し,市民が農に触れる機会の創出に努めて参ります。 3 施策の推進に向けて 続きまして,各施策の推進に向けた市政経営の基本的な考え方についてであります。市は,「参加と協働のまちづくり」及び「効果的・効率的な行財政運営」を引き続き市政経営の基本的な考え方に据え,新たな基本計画と一体的に示す行革プラン2023に基づく取組を推進して参ります。 (1) 参加と協働のまちづくり 参加と協働のまちづくりについては,これまで実践を重ねてきた市民参加手続等の更なる充実・発展を目指して,大学や企業,NPO法人等の多様な主体とより一層の連携を図る中で,行政との適切な役割分担の下,共に考え,共に行動し,地域課題の解決に取り組む共創のまちづくりを進めます。あわせて,参加と協働の前提となる市民との市政情報の共有について,引き続き,様々な媒体を活用した取組を推進して参ります。 とりわけ,調布スマートシティ協議会における活動は,産学官民の連携による共創のまちづくりの先駆的な取組であり,市の課題解決に向けて,庁内各部門が積極的な関わりを持ちながら,協議会に参加する大学・企業等との連携による様々な取組を展開するとともに,その成果を市内外に発信して参ります。 (2) 効果的・効率的な行財政運営 次に,効果的・効率的な行財政運営に関しては,行政のデジタル化の推進や組織体制の強化,公共施設・インフラマネジメントを含む財政の健全性維持などの観点から,不断の改革,改善に取り組んで参ります。 デジタル化の推進については,調布市デジタル化総合戦略に基づく取組を推進して参ります。その中で,市民が窓口に来庁することなく必要な手続等が可能となる「どこでも市役所」の取組の更なる推進や,人材育成を含めた行政内部のデジタル化の推進のほか,データの利活用によるサービス創出などに取り組みます。また,行政のデジタル化や効率化の取組を進めるに当たっては,引き続き,情報セキュリティやデジタルデバイドに関する対策に意を用いて参ります。 財政の健全性維持に向けては,市独自の財政規律ガイドラインに基づく取組を推進するとともに,あらゆる角度からの財源確保と経費縮減に取り組み,財政構造の見直しや財政基盤の強化などを図って参ります。 公共施設マネジメントについては,調布市公共施設マネジメント計画に基づく取組を着実に推進して参ります。調布駅周辺の大型公共施設に関しては,総合福祉センターの京王多摩川駅周辺地区への移転・更新に向け,引き続き,利用者,関係団体等からの御意見を踏まえながら取組を進めて参ります。また,グリーンホールについては,民間活力を活用した更新に向けて,コロナ禍の影響による民間事業者の事業床に対する需要の変化等を踏まえ,事業スキームや今後の取組について,組織横断的な連携の下,検討・協議を進めます。市庁舎については,狭あい化対策を進めるとともに,将来的な建替えを見据え,基金の計画的な積み立てを行って参ります。その他,各施設における課題を踏まえながら,利用環境の整備等に取り組みます。 人材の確保・育成については,令和5年度からの人材育成に関する総合プランに基づく多様かつ有為な人材の確保・育成,女性職員の活躍推進に加え,働き方改革による業務の生産性向上に取り組むとともに,多様な人材が個性と能力を最大限発揮し,活躍できる職場環境の整備を進めて参ります。   4 おわりに 以上,令和5年度における市政経営について,私の所信を申し述べさせていただきました。 冒頭に申し述べましたとおり,市は令和5年度からの新たな総合計画に基づき,これまでのまちづくりの成果を生かしながら,更なるまちの発展を目指した取組をスタートさせます。引き続き,市民の安全・安心の確保と市民生活支援を市政の第一の責務として,市民に寄り添い,市民生活に安心感をもたらすことができるよう全庁一丸となって取組を進めて参ります。こうした取組と併せ,市民生活や市政を取り巻く様々な課題に的確に対応しながら,市民,市議会の皆様と共に調布の未来に向けて,着実な歩みを進めて参る所存であり,ここに改めて,皆様の御理解・御協力をお願い申しあげます。 登録番号 (刊行物番号) 2022-156          令和5年度における基本的施策について             発行日 令和5年2月             発 行 調布市             編 集 調布市行政経営部企画経営課                 〒182-8511調布市小島町2-35-1                 ℡ 042-481-7368             印 刷 庁内印刷