令和4年度における 基本的施策について 調 布 市 目  次 1 はじめに~市政を取り巻く状況と計画行政の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 次期総合計画の策定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3 まちづくりの基本理念の実現に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 4 市政経営の2つの基本的な考え方による取組の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 (1) 参加と協働のまちづくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 (2) 持続可能な市政経営の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5 予算編成に当たって ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 6 主要な施策について(重点プロジェクトへの取組)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 (1) 「防災・防犯の面で安全・安心に暮らせるまち」をつくるプロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 (2) 「子ども・若者の健やかな成長・自立を支援し,子育てしやすいまち」をつくるプロジェクト・・・ 9 (3) 「高齢者・障害者にやさしいだれもが安心して住み続けられるまち」をつくるプロジェクト・・・・・・ 11 (4) 「にぎわいと交流のある活気に満ちたまち」をつくるプロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 (5) 「人と自然が共生するうるおいのあるまち」をつくるプロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 7 おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 1 はじめに~市政を取り巻く状況と計画行政の推進 ただいま,議長のお許しをいただきましたので,私から令和4年度の市政経営における基本的施策を申しあげ,調布市議会の皆様及び23万8千調布市民の皆様の御理解と御協力を賜りたく存じます。 一昨年来,世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症は,流行の波を繰り返しながら社会全体に大きな影響を及ぼしています。市においてもこの2年余り,度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う制限などにより,市民や事業者の皆様は様々な困難に直面しておられます。 そのような中,長期にわたり,市民の命と健康を守る最前線で献身的な対応に御尽力されている医療従事者の方々を筆頭に,各分野で社会・経済を支える活動に御協力いただいている皆様に対して,改めて深く感謝申しあげる次第です。 市はコロナ禍への対応について,調布市医師会をはじめ,調布市商工会など関係機関との連携・協力の下,感染状況等を的確に捉えながら,感染症対応の3つの柱により,市独自の対策を含む取組を機動的に実施して参りました。3回目のワクチン接種については,今回も医師会,電気通信大学に御協力いただき,2回目の接種から6箇月を経過した方全員が早期に接種できるよう,体制を整えました。引き続き,感染症に伴う諸状況の変化を踏まえ,国や東京都の施策とも連動しながら,市民の安全と安心を守ることを第一に必要な対策を進めるとともに,社会経済活動の再活性化に向け,市の実情に即した適時適切な対応を図って参ります。 こうした未曽有の困難に対応する中で,市は現行基本構想に掲げたまちの将来像「みんなが笑顔でつながる・ぬくもりと輝きのまち調布」の実現に向けて,基本計画に位置付けた5つの重点プロジェクトを基軸とした各施策・事業の着実な推進に取り組んでおり,令和4年度は計画の最終年次となります。これまでの間,京王線地下化を契機とした南北一体の街づくりにおいて,今世紀の調布のまちの骨格となる都市基盤整備を進めて参りました。とりわけ調布駅周辺においては,大型商業施設の開業と合わせたにぎわいの創出につなげるなど,ソフト・ハードが一体となったまちづくりを大きく前進させることができました。 安全・安心の観点から,市は,防災・減災対策に鋭意取り組む中で,近年の様々な災害対応の経験を踏まえ,危機意識の更なる向上と関係機関・団体・企業等との連携を含めた体制及び対応能力の強化にも取り組んで参りました。 子ども・福祉分野においては,制度改正等への対応をはじめ,妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援や地域におけるトータルケアの推進を図って参りました。その中で,保育園待機児童対策では,積極的な定員拡大により,待機児童の大幅な縮減につなげました。また,市内の8つの福祉圏域ごとに,地域包括支援センターや地域福祉コーディネーターなどの活用を中心とした施策を展開し,地域共生社会の充実に向けた取組を進めました。 環境分野では,深大寺・佐須地域において公有化した農地を,市民と協働し体験型の環境教育に活用するなど,都内でも先駆的な取組を実施して参りました。また,地球温暖化に伴う気候変動により,異常気象等が頻発する中,市としての地球温暖化対策に継続的に取り組み,昨年4月には,市議会と共同でゼロカーボンシティ宣言を行うに至ったところです。 これらのことに加え,昨年開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会と連動して,多様な主体との連携・協働により推進してきた取組を,市は今後,多面的効果をもたらす大会のレガシーとして継承・発展させ,次代のまちづくりにつなげて参ります。 一方で,一昨年10月,東京外かく環状道路本線トンネル工事現場付近で発生した道路陥没等については,市議会とも連携を図りつつ,国土交通省ほか2事業者に対して地域住民の安全確保や不安の払拭のための万全の対策を講ずるよう強く求めて参りました。これまでの間において,事業者により,その原因が示されたほか,家屋補償等への個別対応などが進められてきました。そうした中,今般,事業者が家屋解体工事や地盤補修工事等を行うに当たり,市は事業者に対して,騒音・振動のモニタリング測定を行うなど周辺環境への配慮や地域住民に対し丁寧に説明するとともに,可能な対応をとるよう要請いたしました。引き続き,市は,市民の安全・安心と生活環境を守る立場の地元自治体として,適時適切な対応に努めて参ります。 こうした市政を取り巻く状況やこれまでのまちづくりの進展などを踏まえつつ,令和4年度も引き続き,市民の安全・安心の確保と市民生活支援を市政の第一の責務とし,日常生活において市民に安心感をもたらすことができるよう,諸対応に取り組むとともに,更なるまちの魅力向上に向けた取組を推進する令和4年度の施策,予算案を編成したところであります。 2 次期総合計画の策定 次に,次期総合計画の策定に向けた取組についてです。令和5年度を初年度とする次期の計画策定に当たっては,これまでのまちづくりの成果を基盤としつつ,今後の社会潮流などを踏まえた検討に取り組みます。その前提となる人口については,次期の計画期間内となる令和10年度をピークに緩やかな減少局面を迎えると予測しており,現在行っている将来人口推計の結果にも留意して参ります。併せて,計画に基づく取組の推進により,市における地方創生やSDGsへの貢献につなげていく視点が重要であると捉えています。 こうしたことを踏まえ,市政における継続的な課題や社会経済状況の変化等に伴う新たな課題へ対応する計画づくりに取り組むこととし,その過程では,基本構想策定推進市民会議や産学官連携会議での検討,議論と併せ,多様な市民参加手法を活用して参ります。 3 まちづくりの基本理念の実現に向けて 次に,基本構想に掲げたまちづくりの基本理念の実現に向けた取組についてです。現行の基本構想では,「個の尊重」,「共生の実現」,「自治の確立」をまちづくりの基本理念として掲げ,各施策・事業において取組を推進してきたところです。昨年は,1年の延期を経て東京2020大会が開催され,調布市においても複数の競技が実施されました。残念ながら市内の会場では無観客での開催となりましたが,世界的な「平和の祭典」と「障害者スポーツの祭典」が市内で開催される意義を市民と共有しながら,平和の尊さや異なる文化に対する理解促進を図って参りました。とりわけパラリンピックを契機として,市は,「パラハートちょうふ~つなげよう,ひろげよう,共に生きるまち」を標榜し,様々な障害に対する理解を深め,一人一人が寄り添う心を持ち,手を取り合って暮らせる共生社会の充実につなげる取組を展開しました。令和4年度は,関係団体と連携し,障害者スポーツの振興に資する各種事業を実施するなど,東京2020大会のレガシーの継承や発展につなげて参ります。 また,平和の尊さを次代へ語り継ぐため,中学生をピースメッセンジャーとして長崎市へ派遣いたします。 一方,世界情勢においては,ロシアがウクライナへの軍事的な侵攻を開始し,多くの尊い命が奪われるなど,関係諸国の動向も含め,状況は深刻さを増しております。世界の恒久平和を希求する市の首長としても,その状況を大変憂慮しており,一刻も早く平和が取り戻されることを切に願うところであります。 男女共同参画社会の形成に向けて,市は,令和4年度からの第5次男女共同参画推進プランに基づき,男女が社会のあらゆる分野でお互いを尊重し,誰もが多様性を認め合い,自分らしく,安心して暮らせるまちづくりに取り組んで参ります。 4 市政経営の2つの基本的な考え方による取組の推進 続きまして,市政経営の2つの基本的な考え方による取組の推進についてです。市は引き続き,「参加と協働のまちづくり」と「持続可能な市政経営」を市政経営の基本的な考え方に据えながら,行革プラン2019の最終年次としての取組と並行し,次期行革プランを策定します。 (1) 参加と協働のまちづくり 参加と協働のまちづくりについては,多様な主体と連携・協働した実践に取り組みます。また,その前提となる市政情報の共有では,市報や市ホームページに加え様々な媒体を通じた情報提供と積極的なパブリシティ活動を行います。 昨年6月,産学官民による包括的な連携・協働をさらに前進させ,デジタル技術を活用したサービス創出や社会的課題の解決に取り組むため,市は,まちづくりのパートナーでもある市内の事業者,大学及びNPO法人と共に「調布スマートシティ協議会」を設立しました。構成団体が有する優れたデジタル技術やノウハウ等を活用しつつ,市における課題解決に向けた取組を進めて参ります。 このほか,クリーンセンター跡地活用における公民連携事業により,本年4月以降,民間商業施設と当該施設内に設置する「(仮称)調布市ふじみ交流プラザ」が開設を迎えます。改めて周辺地域の皆様の御理解・御協力に深く感謝を申しあげるとともに,北部地域における多世代交流や市域を越えたコミュニティ活動の発展のほか,高齢者の健康増進に向けた拠点となるよう運営していきます。 (2) 持続可能な市政経営の推進 次に,持続可能な市政経営の推進については,行政運営の不断の見直し,改善に取り組みます。 行政のデジタル化について,市は,マイナンバー制度を活用したオンライン転出や子育てサービスなど,諸手続のオンライン化や情報システムの標準化,更なるキャッシュレスの導入等に対応します。こうした取組の推進に当たっては,外部の専門家の助言等を活用しつつ,情報セキュリティ対策を含めた人材育成にも取り組んで参ります。 また,市の公文書管理や個人情報保護制度の適正な運用に関する必要な対策を講じて参ります。昨年11月に発覚した市政情報公開手続における不適切な個人情報の取扱いに関しては,調布市情報公開審査会及び調布市個人情報保護審査会から頂いた御意見を踏まえ,今後,再発防止策等を実施して参ります。 財源確保や地域経済活性化の視点から,既に活用実績のあるクラウドファンディングに加え,返礼付きふるさと納税の効果的な導入について,具体的な手法を検討して参ります。 公共施設等マネジメントの推進において,市は,公共施設等総合管理計画の基本方針を踏まえ,個別施設の在り方や方向性を示す公共施設マネジメントの全体計画について,次期総合計画の策定と併行し長期的な視点を持ちながら,昨今の社会状況を踏まえ,令和4年度での策定に向け取り組みます。 調布駅周辺の大型公共施設のうち,総合福祉センターについては,これまでにいただいた利用団体等の御意見を踏まえ,施設の課題に対応した「総合福祉センターの整備に関する考え方」を取りまとめました。市は,この考え方に基づき,京王多摩川駅周辺地区への総合福祉センター機能の移転に向け,利用団体や鉄道事業者,有識者などで構成する新たな検討会において御意見を伺いながら,新たな総合福祉センターにおける機能や設備等に関する具体的な検討を進めます。 グリーンホールは,調布駅前広場に接する好立地を生かしたまちの魅力を高める施設として,公民連携による事業手法や,利用者等の意見を踏まえ,ホール機能の検討を進めて参りました。こうした中,コロナ禍による民間事業床に関する需要の変化等が明らかとなり,それらに対応した事業スキームを構築する必要があると考えております。そのため,現下の社会環境を踏まえた更なる検討やその結果に基づく基本構想の策定など,整備に向けた取組を進めて参ります。 市庁舎については,引き続き,狭あい化対策と並行して,将来的な更新に関する財源確保方策としての基金条例の制定に向け,必要な手続を進めて参ります。 職員の人材確保と育成については,現行の人材育成基本方針に基づく取組を着実に推進するとともに,令和5年度からの次期方針を策定します。併せて,女性を含めた全ての職員の活躍推進に向けて,引き続き,働き方改革に取り組みます。 5 予算編成に当たって 次に,予算編成についてであります。長引くコロナ禍において,歳入の根幹を成す市税については,令和3年度の状況等を勘案すると,令和3年度当初予算を上回ることが見込まれるものの,歳出では,感染症対策をはじめ,増加する社会保障関係経費などの様々な財政需要に対応する必要があるため,見積段階で財源不足が見込まれました。 こうしたことについて全職員が共通認識を持つ中で,令和4年度予算編成において,市は,基本計画の最終年次としての取組とともに,次期総合計画期間における財政需要など複数年次を見据えて取り組むことを第一に,新型コロナウイルス感染症対策をはじめ,市民の安全・安心の確保と市民生活支援に継続的に取り組むこと,様々な財政需要に対処するための歳入確保と経費縮減に取り組むことの3点を基本姿勢として,編成作業を行って参りました。 収支均衡に向けては,各種基金の活用等を含む歳入確保や経費縮減に取り組む中で,引き続き,市民の安全・安心の確保や市民生活支援に加え,市政の重要課題への対応について,最大限,意を用いながら,総合調整を図りました。 この結果,令和4年度一般会計の歳入歳出予算は,総額952億7千万円となり,前年度と比較して51億5千万円,5.7パーセントの増となりました。目的別の構成比では,民生費が53.0パーセントで最大の比率となっており,以下,教育費が11.3パーセント,次いで,総務費10.9パーセント,土木費9.5パーセントとなっております。 6 主要な施策について(重点プロジェクトへの取組) それでは,基本計画に基づく令和4年度の主要な施策・事業について,5つの重点プロジェクトを中心に順次申しあげます。 (1) 「防災・防犯の面で安全・安心に暮らせるまち」をつくるプロジェクト はじめに,「防災・防犯の面で安全・安心に暮らせるまち」をつくるプロジェクトであります。 令和元年台風第19号の経験を踏まえた水害対策として,市は狛江市と連携し,内水浸水対策としての逆流防止ゲートの設置や,排水樋管の遠隔操作化について,本年6月の完了を目指して工事を進めています。このほか,洪水ハザードマップに内水浸水想定区域図を加え,市民への周知を図るなど,近年の気候変動に伴う風水害に対する防災・減災対策に引き続き取り組みます。 また,いつ発生するか分からない地震等の災害を想定し,市は「防災教育の日」などを通じて,地域との継続的な訓練実施による地域防災力や職員の対応能力の向上を図ります。防災備蓄品については,引き続き,更新及び充実を図る中で,感染症対策等を踏まえ,アルファ米を個食タイプへ段階的に切り替えます。 災害時における対策本部機能を担う文化会館たづくりや市庁舎の非常用電源については,72時間継続稼働を可能とする機能を確保します。 消防力の強化に関して,東京都や東京消防庁と連携しつつ,市は常備消防力の維持・向上を推進するとともに,消防団の災害対応能力の向上に向け,計画的な機械器具置場の建替えや改修,消防ポンプ車の更新,装備品の充実・更新を進めます。併せて,地域に御貢献いただいている消防団員の処遇改善にも取り組みます。 災害に強い都市基盤の整備としては,特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修等の促進を図るとともに,住宅の耐震化を支援します。 防犯対策として,通学路や駅周辺に街頭防犯カメラを設置するとともに,商店会や自治会等による街頭防犯カメラの設置を支援します。また,安全・安心パトロール等による犯罪抑止のほか,特殊詐欺被害の防止に向けては,調布警察署等と連携した啓発活動や自動通話録音機の貸出事業等を継続して参ります。 (2) 「子ども・若者の健やかな成長・自立を支援し,子育てしやすいまち」をつくるプロジェクト 次に,「子ども・若者の健やかな成長・自立を支援し,子育てしやすいまち」をつくるプロジェクトであります。 まず,保育園の待機児童対策について,令和3年度の待機児童数が前年度から大幅に減少した中で,引き続きその動向を注視しつつ,必要な対策に取り組みます。 併せて,保育従事職員の宿舎借上げや処遇改善による保育人材の確保及び定着を図ります。 また,市の幼児教育の充実に御尽力いただいております幼稚園に関しまして,市は,幼稚園協会の皆様とのこれまでの議論や現在の市民ニーズを踏まえ,令和4年度から預かり保育に対する助成などの支援の充実を図ります。 学童クラブについては,計画的な施設整備に取り組むとともに,放課後子供教室事業ユーフォーとの連携による一体的な運営を推進します。また,ユーフォーについては,9施設を対象に,開設時間を午後6時まで延長します。 妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援の充実に向けては,地域の関係機関と連携を図り,必要な支援につなげることで,妊婦の不安や保護者の負担感の軽減に努めて参ります。また,産後ケアにおいては,新たに自宅訪問事業を開始します。 これらのほか,いじめや児童虐待に関して,私は昨今の社会状況を大変憂慮しており,昨年末に改めて,市民の皆様及び子どもたちに向けてメッセージを発信いたしました。そうした中で,児童虐待防止に関しては,予防的支援の充実を含めた取組を一層推進するため,児童虐待防止センターにおける相談体制等の更なる強化を図ります。 学校教育に関しては,法改正・制度改正をはじめ,子どもや家庭を取り巻く環境の変化などを踏まえつつ,次期教育プラン及び特別支援教育推進計画の策定に取り組みます。 学校施設の整備では,学習環境の改善として,令和3年度に全ての市立小・中学校で体育館の空調整備が完了いたしました。また,喫緊の課題である不足教室対策や老朽化,長寿命化対策については,市全体の公共施設マネジメントとの整合を図る中で,学校施設整備方針に基づき,適切に取り組んで参ります。 学習指導については,昨年から運用を開始した,市立小・中学校における全児童・生徒用のモバイル端末の更なる活用による個々の資質・能力に応じた学びの実現に向け,学校におけるICT機器の増設のほか,インターネット環境の強化を図ります。 地域との協働による学校づくりにおいては,令和3年度までに市立小・中学校全校で地域学校協働本部の設置が完了したことを踏まえ,今後は,新たにコミュニティ・スクールの導入に向けた検討・準備に取り組みます。 また,学校における働き方改革に向けて,令和3年度から本格配置した副校長補佐の継続的な活用のほか,教員を補助するスクール・サポート・スタッフの増員を図ります。併せて,令和4年度は中学校5校において部活動指導員を新たに配置します。 特別支援教育については,特別支援教育推進計画に基づき,市立小・中学校全校で校内通級教室の巡回指導や,スクールサポーター等の活用による児童・生徒一人一人に応じた支援を推進します。 不登校児童・生徒への支援について,引き続き,太陽の子や第七中学校はしうち教室の運営,教育支援コーディネーター等による相談対応に取り組んで参ります。加えて,一人一人の状況に応じた多様な学びを保障するため,訪問型の支援事業を実施するほか,太陽の子における心理的ケアの充実に向けた体制整備を図って参ります。 令和4年度は,平成24年12月の食物アレルギー事故から10年となります。この間,市は全庁での再発防止に向けて,調布市立学校食物アレルギー対応マニュアルに基づく取組や,給食調理室の改修と合わせたアレルギー専用調理室の整備など,ソフト・ハード両面での取組を進めて参りました。今後も事故を決して風化させることのないよう,学校・保護者・医師会と連携し,各種取組の継続・充実を図ります。 (3) 「高齢者・障害者にやさしいだれもが安心して住み続けられるまち」をつくるプロジェクト 続きまして,「高齢者・障害者にやさしいだれもが安心して住み続けられるまち」をつくるプロジェクトです。 地域福祉においては,引き続き,各福祉圏域の地域福祉コーディネーターを中心として,地域と行政,専門機関等とのネットワーク及び包括的な相談支援体制の構築に取り組んで参ります。また,法に基づく市の再犯防止推進計画の策定に取り組みます。 高齢者福祉においては,団塊世代の全てが後期高齢者となる2025年及びその先を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進と支え合いの地域づくりに向け,地域支え合い推進員を増員するとともに,介護予防事業の充実を図ります。そのほか,高齢者のフレイル予防に向けた,デジタル機器活用による健康増進事業に取り組みます。 障害者福祉においては,医療的ケアが必要な障害児を支援する職員の技術力向上や,就労支援事業の体制整備を図ります。加えて,昨年から始めた12月の「パラハートちょうふ月間」等を通じた障害理解の推進に取り組みます。 そのほか,福祉分野とスポーツ分野が連携した障害者スポーツの振興について,引き続き,市は東京都や各分野の関係団体で構成する協議体を活用し,障害者をはじめ,誰もがスポーツに参加できる機会の創出とその継続に取り組んで参ります。 セーフティネットによる生活支援については,調布市生活ほっとあんしん相談事業を継続し,関係機関と連携を図りながら,支援を必要とする市民に寄り添った対応を行って参ります。 がん対策については,ヒトパピローマウイルス感染のセルフチェックを活用し,若年層のがん検診の受診率向上を図るほか,がん患者の支援にも取り組みます。 受動喫煙対策については,医師会等の関係機関とも連携しながら,市民を受動喫煙による健康被害から守るため,市内各駅周辺等の路上喫煙対策や意識啓発を図ります。 (4) 「にぎわいと交流のある活気に満ちたまち」をつくるプロジェクト 次に,「にぎわいと交流のある活気に満ちたまち」をつくるプロジェクトについてであります。 世界的なスポーツ大会を契機としたスポーツ・文化の振興による多面的な効果の創出については,2019年のラグビーワールドカップ及び東京2020大会のレガシーとして,市はこれまで関係性を構築してきた様々な主体との連携をより一層強化し,スポーツを通した市民交流や障害者スポーツの振興による共生社会の充実を図って参ります。 地域経済を支える市内事業者に対して,市は,新型コロナウイルス感染症に伴う影響を踏まえ,地域経済対策会議での議論と併せて,商工会や商店会等と連携しながら,実情に応じた支援に取り組むとともに,(仮称)商業振興・活性化プランの策定に向けた検討を進めます。他方,観光協会などの多様な主体と連携しながら,深大寺をはじめとする観光振興や「映画のまち調布」の推進などの取組を進めて参ります。併せて,「水木マンガの生まれた街 調布」に関しては,名誉市民・水木しげる氏生誕100周年記念プロジェクトを展開し,作品や著作などの御功績を後世に伝えつつ,平和祈念や観光振興などの多角的な視点からまちづくりにつなげて参ります。 また,市の都市計画の基本方針となる都市計画マスタープランについて,近年頻発している自然災害への対応をはじめ,コロナ禍や人口構造の変化がもたらす社会の変化など,まちづくりを取り巻く都市政策課題を踏まえ,次期総合計画の検討と連動させながら,令和4年度の策定に取り組みます。 都市基盤整備のうち,調布駅前広場については,北側ロータリーの車道や南側の電線共同溝の整備工事を実施するなど,令和7年度の完成に向けて着実な整備に取り組みます。また,鉄道敷地については,引き続き,貴重な都市空間を有効に活用し,市民交流やにぎわいの創出が図られるよう,緑道の用地取得や設計を進めるとともに,各ゾーンの整備に向けた検討を進めて参ります。 都市計画道路については,市民生活を支える重要な都市基盤であるとともに,災害時にも重要な役割を果たすことから,交通機能の向上を図るため,調布3・4・28号線(蓮慶寺の通り),調布3・4・26号線(布田駅北側)及び調布3・4・21号線(つつじヶ丘駅南口)などについて,用地取得や整備を着実に進めます。 つつじヶ丘駅・柴崎駅周辺のまちづくりについて,市は,沿線まちづくりの機運を高めながら,開かずの踏切など交通環境の改善に向けて,国や東京都,鉄道事業者等との調整を図りつつ,連続立体交差事業を視野に入れたまちづくりの推進を図って参ります。 交通施策については,調布駅周辺における買い物など,一時的な利用の際の放置自転車対策のため,市民の意見も踏まえながら,路上自転車駐車場を整備するほか,新たに,高齢者の自動車運転免許返納支援事業を開始します。 令和2年11月からのミニバス北路線の減便に伴う対応について,市は,地域住民を含めた協議を踏まえ,本年1月からワゴン車を活用した沿線地域を中心とする巡回公共交通の実証実験を開始しました。今後は,利用者ニーズを把握しながら,対象地域の交通利便性の向上と交通不便地域の解消につなげていきます。 西調布駅周辺については,街づくり協議会と共に,良好な市街地の形成に向けた検討を進めていきます。併せて,その他の地区においても,住民発意のまちづくり活動を支援して参ります。深大寺地区については,白鳳院建立に伴う安全な歩行導線の確保など,周辺環境の整備に向けて,深大寺通りの設計等を進めます。 (5) 「人と自然が共生するうるおいのあるまち」をつくるプロジェクト 最後に,「人と自然が共生するうるおいのあるまち」をつくるプロジェクトについてです。 調布市ゼロカーボンシティ宣言の下,市は脱炭素社会の実現に向けて,調布市環境基本計画や調布市地球温暖化対策実行計画に基づく取組を進めます。併せて,海洋プラスチックや食品ロス等に代表される様々な環境課題に取り組むべく,市民や事業者等と連携・協力しながら,環境負荷の少ない持続可能なまちづくりを推進して参ります。 資源循環型社会の形成に向けて,市は,一般廃棄物処理基本計画に基づく事業を着実に実施し,引き続きごみの減量と資源化を推進するとともに,次期計画を策定します。 深大寺・佐須地域における環境資源の保全・活用については,引き続き,市民団体やNPO法人等との協働の下,里山の風景を継承する取組や自然体験型の環境学習等を通じて,都市農地を含む里山環境の保全意識の醸成に取り組みます。また,現在整備を進めている深大寺・佐須地域農業公園については,暫定的な運用を開始します。 都市農業の振興及び都市農地の保全・活用については,農業振興計画に基づく取組を推進する中で,農業者に対する支援をはじめ,市民農園や学童農園の新規開設のほか,特定生産緑地制度への移行に対する適切な対応を図って参ります。また,市内農産物への関心が高まっている昨今の状況を捉え,市内農業者等と連携し,農業マルシェを開催します。 このほか,調布,西調布及び飛田給の各駅周辺でスタートした花と緑で彩る修景の取組について,市は引き続き,市民や事業者との協働による取組として,継続的な活動を推進して参ります。 7 おわりに 以上,令和4年度における市政経営について,所信を申し述べさせていただきました。 令和4年度におきましても,市は,市民の命と健康を守ることを第一に,市民に寄り添い,生活に安心をもたらすことができるよう,全庁一丸となって最善を尽くして参ります。こうしたことを通じて,市民生活や市政を取り巻く困難な状況がなお続くことが見込まれる中にあっても,明るい希望が持てる未来のまちづくりに向け,市民,議会の皆様と共に歩みを進めて参る所存であり,ここに改めて,皆様の御理解・御協力をお願い申しあげる次第であります。 登録番号 (刊行物番号) 2021-193          令和4年度における基本的施策について             発行日 令和4年2月             発 行 調布市             編 集 調布市行政経営部企画経営課                 〒182-8511調布市小島町2-35-1                 ℡ 042-481-7368             印 刷 庁内印刷