1調布基地跡地留保地利用計画 1-1利用計画の基本的な考え方 (1)土地利用の方向性 調布市総合計画等の上位計画との整合性や周辺地域との調和を考慮し,5つの基本的な考え方を踏まえて,安全・安心なまちづくりに資する活用,娯楽レクリエーションの拠点化,周辺の緑のネットワーク形成に資する活用を図るため,都市公園法に基づく都市公園に位置付け,都市計画上も公園として計画決定して,「防災・スポーツレクリエーション機能を有する公園」としての活用を目指します。 ①上位計画との整合性 留保地を含む調布基地跡地は,「調布市総合計画」(平成13年策定)において,東京スタジアム(現「味の素スタジアム」)を核とし,スポーツ文化を育みつつ,様々な人々の交流・ふれあいの場としてまちづくりに生かすエリアとして位置付けています。 さらに,総合計画の具体的な方向性や取組について,平成19年2月に策定した調布市基本計画では,良好な市街地の形成を目指し,防災機能やスポーツ・レクリエーション機能を有した親しみやすい公園を整備することとして,基本計画推進プログラムに位置付けています。 また,調布の街づくりの最上位計画である「調布市都市計画マスタープラン」(平成10年策定)には,スタジアムを活用したスポーツ文化の拠点や調布飛行場の防災・救護機能を活用した広域的な防災拠点,緑と水のネットワークの拠点,大学等広域的な文化交流拠点等の「文化・交流拠点」として位置付けています。 そして,同マスタープランに将来都市構造として掲げる土地利用構想でも,留保地やスタジアムの所在する地区周辺を,「娯楽・レクリエーション地区」と位置付けています。 ②周辺地域との調和 調布基地跡地は,「調布基地跡地土地利用計画」(平成5年決定)に基づき,調布飛行場や下水処理場のほか,味の素スタジアムや都立武蔵野の森公園,西町公園等,スポーツエリアや公園として利用されています(一部未整備)。 また,東京外国語大学や警察大学校はじめ,病院,福祉施設等,公共公益施設,文化・福祉施設が整備されています。 (2)5つの基本的な考え方 ①立地の法的な位置付け,制限等を踏まえた活用     当該留保地を含む周辺市街地の用途地域は,「第一種低層住居専用地域」に指定されています。この指定により,建物の高さは10mまで,建ぺい率・容積率はそれぞれ30%・50%までの制限が設けられています。 また,留保地には,航空機が調布飛行場に安全に離着陸できるよう,航空法によって建物等の高さの制限(17.4~43.8m)が設けられています。 そのほか,都市公園法に基づく都市公園に位置付けた場合,公園内に設置する建築物の建築面積の総計は,当該都市公園の敷地面積の2%(ただし,備蓄倉庫その他災害応急対策に必要な施設等の場合は10%以内)を超えてはいけないことや,都市公園内に設ける運動施設の敷地面積の総計は,当該都市公園の敷地面積の50%を超えてはならないといった規定が設けられています。 そこで,スポーツ施設,管理棟,駐車場等,留保地に配置する施設の規模については,これらの都市計画上の位置付けや航空法の高さ制限,都市公園法に基づく規定に適合する施設として整備します。 ②既存の樹木の有効活用と緑の保全に配慮したゾーニング 留保地の中央部,北西部及び北部の天文台通り沿い部分は樹木が少なく,西町公園の西側に位置する西南部に樹木が多くあります。 また,樹木の種類をみると,その多くがエノキ,エゴノキですが,北部にはサクラもあることが分かりました。 こうした樹木の現況を踏まえ,可能な限りサクラ等の既存樹木の有効活用を図りつつ,北部には広域的・地域的なニーズに応じたスポーツ施設,中央部には防災拠点にも利用可能な多目的広場,西南部は多くの既存樹木を活用した自由広場をそれぞれ配置します。 ③調布市地域防災計画に基づく防災機能の設置と災害等発生時の活用に留意したゾーニング 調布市では,市全体の防災対策の強化に向けて,平成19年度に調布市地域防災計画を修正しました。その中では,災害に強い都市基盤の整備を目指し,西部地域の防災拠点として,災害等発生時に様々な救援活動が展開できるオープンスペースである防災公園の設置を位置付けました。 防災公園の設置にあたっては,避難者・帰宅困難者の一時滞留や,救援物資の荷分け・搬送等の際の円滑な活動が可能となるよう,多目的広場,防災備蓄倉庫の併設を検討する管理棟,緊急車両の拠点となる駐車場等を機能的に配置するなど,災害等発生時の活用に留意していきます。   ④市全体のスポーツ施設の再配置の検討を踏まえたスポーツ施設の整備 調布市教育委員会では,平成19年度に市全体のスポーツ施設の再配置について,調布市スポーツ振興審議会に諮問し,多摩川河川敷に整備している各スポーツ施設の国のスーパー堤防事業に伴う再配置や,都立武蔵野の森公園内に整備を予定している少年野球場2面,軟式野球場1面,サッカー場1面との関連性を考慮し,専門的な立場から審議していただきました。 その審議結果について答申を受け,教育委員会として平成20年3月に調布市スポーツ施設再配置計画を策定しました。 留保地には,このスポーツ施設再配置計画に基づいて,硬式野球場とテニスコートを整備し,他の調布基地跡地のスポーツ施設と合わせ,スポーツの拠点化を推進します。   ⑤隣接する西町公園・都立武蔵野の森公園との連携 隣接する西町公園との一体性と機能分担に留意し,相互をつなぐ園路を設置します。 また,留保地北部に位置する都立武蔵野の森公園には,すでに開園している北側地区に防災機能が配置されており,現在整備中の南側地区に,今後,調布市のスポーツ施設としてサッカー場等を整備していく計画があります。 平常時からスポーツ機能の連携を図るとともに,災害等発生時においては,防災拠点として連携・機能分担を行い,一体的な利用が可能となる施設整備を進めていきます。 1-2 利用概要 (1)利用概要図(ゾーニング)割愛 広域利用概要図(ゾーニング)割愛 (2)各施設の役割 ①スポーツ施設 既存樹木の少ない北部をスポーツの拠点とし,調布市スポーツ施設再配置計画を踏まえ,硬式野球場とテニスコートを整備します。   ②自由広場 西南部は既存樹木が集中しているため,青少年等の自由広場として,例えば,既存樹木を活用した自然が感じられるプレイパーク等の様な場として利用します。 最南端には水路があるため,西南部入口には車路を設けず,駐輪場を配置します。   ③多目的広場 西町公園の北側と隣接する中央部には,身近な健康づくりやスポーツにも活用できる多目的広場及び駐車場,管理棟を配置します。 管理棟には,事務室のほか,更衣室,トイレ等のクラブハウス機能の設置を検討するほか,災害等発生時に備えた防災備蓄倉庫の併設も施設設計を進める中で検討していきます。 駐車場は,消防操法の練習場としての活用も想定し,直線で80m以上を確保します。   ④回遊性の創造 敷地内には,既存樹木の活用や一部植樹により,緑あふれる遊歩道を設け,スポーツ施設,多目的広場,自由広場等をつなぐ回遊性に留意し,健康・体力づくりにも配慮していきます。 また,隣接する西町公園及び都立武蔵野の森公園との一体的活用を図るため,自由広場と西町公園の西側をつなぐ園路と,都立武蔵野の森公園と連続性が生まれるようなエントランス広場を配置します。   ⑤非常時における土地利用 国土交通省が例示する一般的な防災公園の機能として,地震等の災害発生時における復旧・復興の拠点となる広域防災拠点や,周辺地区からの避難者を収容し,市街地火災等から避難者の生命を保護する広域避難地,及び地域住民の集結場所・消防救護活動の拠点等として機能する一次避難地としての役割が示されています。 例えば,多目的広場は,避難者や帰宅困難者の一時滞留や救援物資の集積拠点としての機能が考えられ,防災備蓄倉庫の併設を検討する管理棟や,緊急車両の拠点となる駐車場との一体的利用が望まれます。 具体的な機能や設置する設備については,今後,施設設計を進めていく中で,平成19年度に修正した調布市地域防災計画での位置付け等を踏まえて検討していきます。 〔参考〕防災公園の防災機能イメージ(国土交通省ホームページ抜粋)割愛 1-3 今後のスケジュール 今後,施設整備に向けて,国との調整を図りながら,設計や都市計画手続きを進め,平成25年度から用地取得及び施設整備を行っていく予定です。 なお,用地取得にあたって,6haもの広大な土地を一括取得することは,市の財政にとって大きな負担となることから,10年間程度にわたる分割取得により財政負担の平準化を図ることが望ましいと考えています。 また,施設整備にあたっては,基本設計・実施設計と合わせて整備計画を策定し,施設利用者,通行者の安全確保や周辺地域の生活環境に配慮しながら,段階的に整備を行っていく予定です。   ■ 検討・整備スケジュール(図割愛) 今後は,平成25年度からの用地取得・整備開始に向けて,引き続き,国との調整を図りながら,平成21年度から基本設計や都市計画手続きに着手する予定です。 1-4 施設の管理・運営の考え方 施設整備後の施設の管理・運営については,樹木剪定・清掃等の日常的な維持・管理業務や,イベント・行事の実施等,民間との連携や市民との協働による手法の活用も含め,柔軟な運営を進めていけるよう検討していく必要があります。 具体的な方法については,平成21年度より予定している基本設計・実施設計の検討と合わせて,調布基地跡地留保地利用計画に適した方法を検討していきます。 1-5 本格活用までの暫定利用の考え方 平成15年7月の財務省通達「大口返還財産の留保地の今後の取扱いについて」により,留保地の暫定的な利用に積極的に取り組む方向性が明確に示されました。 その後,平成18年3月の財務省通達「効率性を重視した未利用国有地等の管理処分について」により,未利用国有地の更なる有効活用を図る方針が示され,国は,全国に点在する留保地を含む未利用の国有地について,財産処分や暫定的な利用等によって,可能な限り従来以上に積極的な負担の最小化を図ることとしています。 このため,国は,調布基地跡地留保地でも,利用計画策定から施設整備までの間において,これらの通達に基づき,有効活用を図ることを基本としています。 調布市は,国による暫定的な利用については,将来調布市が活用する際に転用可能なものであることや,今後の調布市の活用に支障のないことなどに留意して,国に要望等を行っていきます。