【2】 市報ちょうふ 令和8年(2026年)10月20日 No.1827 【3】 ●調布市立図書館は開館60周年を迎えました つなぐ、60年。市立図書館 記録で振り返る過去から現在、そして未来へ  市立図書館には、開館当初から書き留めている日誌や、市民向けに発行している図書館報(現 図書館だより)があります。それらをひもとき60年の歩みを振り返ると、「いつでも どこでも だれでも」利用できる図書館を目指し、市民の声に耳を傾け、ひたむきにより良い図書館サービスを模索し続けてきた当時の職員たちの思いが見えてきます。そこには、今日につながる歴史があります。 図書館報は第86号から図書館だよりに名前を変え、No.128からは水木しげるさんの作品が表紙を飾っています。 ◎調布市立図書館が大切にしてきたもの 【1】良い本を一人でも多くの子に手にとってもらえるように  市立図書館では、開館当初から児童サービスに力を注いできました。昭和44年(1969年)7月25日の「中央図書館報第7号」では、当時の館長がその理由を語っています。“わたしは人間の一生にとって、読書が万能であると考えているわけではありませんが、人間の生涯の歩みの中で、読書能力がいかに大きな作用をするかを、図書館奉仕の現実の中で痛感させられてきました。読書能力ということは、極めて簡単なことであって、一言にして言えば、それは、「読書するという習慣性」にすぎないのです。この習慣性は、比較的幼い年齢のときが一番つけやすいのです。”  また、昭和54年(1979年)12月28日「図書館報第77号」には、児童サービスを有効に行うための試みが実現されつつある旨の記載があります。1つは、“図書選択の手順の確立。1冊1冊の内容を職員自身の目で確かめ、評価する”、2つ目は“子どもへの様々な形での働きかけと、学校との連携”。これらは、現在まで引き継がれており、これを基に児童サービスの更なる充実を図ってきました。 ◇引き継がれてきた「子どもに愛される本」  市立図書館が開館した当時5000冊程だった蔵書は、長い年月をかけて現在では130万冊(うち児童書は25万冊弱)を超える程になりました。本が図書館に並ぶ過程には、職員が一冊一冊に込めた想いと、並ぶまでの長い道のりがあります。  昭和56年(1981年)11月15日「図書館だより第89号」の「子どもの本を選ぶ図書館の仕事シリーズ3」では、こう語られています。  “子ども室の本は、大きく分けて古典的なものと、新刊書があります。古典とは子どもたちに読みつがれ、今なお、子どもたちを楽しませてくれている本です。新刊書については、おびただしく出版される本の中から、まず良いものを選んでいく作業を行うと共に日々、カウンター、おはなし会などで、子どもたちの反応を見ながら、一冊一冊の本を再評価していかなくてはなりません。  長い長い年月、図書館員と子どもたちの手によって選ばれ、市民権を得てきたのが、子ども室に並べられている本なのです。そして又、このようにして子ども室に並べられた本を、一人でも多くの子の手にとってもらえるようにするのも大事な図書館員の仕事です。”  現在も、職員が子どもの本を丁寧に選び、さまざまなブックリストや展示、おはなし会、小学生読書会などを活用しながら子どもたちに本を紹介しています。また、当初から行ってきた学校に加え、保育園・幼稚園、児童館、学童クラブ、放課後等デイサービス、特別支援学校などでも子どもたちがよい本に出会えるよう活動しています。  ちいさい頃おはなし会に参加していた方が親となって、自分の子どもをおはなし会に連れてきてくれるという、図書館にとって宝物のような出来事も目にするようになっています。 【2】「読書会をつくって欲しい」市民の声から生まれた読書推進活動  昭和47年(1972年)9月26日の宮の下分館の日誌には、こんな記録が残されています。“読書サークルを希望する人が2人あった。中学生の母親と、小学生の母親で、最近下石原に転居されたという。それぞれ以前は武蔵野・立川に住んでいて、そこで活発な親子読書会に参加していたので、こちらでも図書館が中心になって企画してほしいということだった。”  開館間もない分館に寄せられた市民の要望でした。  これに対し、館長は日誌の中で、“読書サークルなどをまとめたブッククラブを構想する段階にきている”とコメントしています。  市民から寄せられた「読書会をつくってほしい」という声は、その後の読書推進活動へと発展しました。同年ブッククラブ会員募集が始まり、翌年には「調布ブッククラブ(注)」が発足。読書を通じた学びと交流の場が広がっていき、現在は、11の読書会を含む32サークル、登録会員が350人から成る生涯学習団体「アカデミー愛とぴあ」として、図書館と協働し、講演会や「調布樟まつり(旧図書館まつり)」を実施しています。  利用者の一言をきっかけに、新しい活動が生まれる。図書館の歩みには、そんな市民との協働の歴史があります。 (注)調布ブッククラブ:文学散歩、いろいろな読書会、俳句、短歌、詩、綴り方サークル、音楽、映画、芸術鑑賞、研究会、野鳥薬草をさぐる会など多くのサークルからなる団体 【3】すべての人に開かれた図書館を  市のハンディキャップサービス(現 利用支援サービス)の歴史は、昭和40年代からのボランティアや当事者の活動に端を発し、現在に至ります。過去をひもとくと、昭和57年(1982年)1月15日「図書館だより第90号」では、市立図書館のハンディキャップサービスについてこのように語られています。  “本来、図書館は、すべての人に開かれているべきものですが、公共図書館のハンディキャップサービスは、まだ入口に立ったばかりです。市立図書館でも、ハンディキャップサービスを、図書の貸出業務やレファレンス業務などと同じ日常のごく当たり前のサービスとして考え推し進めています。”  また、平成元年(1989年)7月5日「図書館だよりNo.132(ハンディキャップ・サービス通信-5-)」では、“利用の増加に対応できるように、これからも力を注いでいきたいと思います。事故や病気のため中途失明する人も増えています。体が弱くて図書館に来られない人もいます。そういった人たちにどれだけのことができるか。「いつでもだれでも使える図書館」にはまだまだほど遠い現状ですが、これからも一歩一歩サービスを続けていきたいと思っています。”と、あります。 ◇この思いが いまにつながる  現在では、録音図書はデジタル化が進み、テープ図書からDAISY(注)図書へ移行しており、DAISY図書データを国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービスへ提供している数は、調布市が全国最多となっています。  その他、対面朗読・プライベート音訳サービス、点訳サービス、宅配サービス、マルチメディアDAISY図書の作成・貸し出しなど、さまざまなサービスを100人を超えるボランティアの協力を得て行っています。 (注)DAISY:読むことに困難がある人のために開発されたデジタル録音図書の国際標準規格 ◎配布 過去の図書館報と図書館だよりの残部を配布します 懐かしい景色や講演会、分館の開館の記録などをご覧になりませんか。 会場/中央図書館5階小展示コーナー(注)製本したものの貸出も可能です ◎こんなときはご相談ください  図書館では、人と本をつなぐ専門家である司書が「知りたい」「読みたい」「調べたい」をお手伝いします。お気軽にご相談ください。 調べたいことがあるが何をしたらいいのか分からない、調べものの参考になる資料を紹介してほしい、 事実関係や出典を確認したい 難易度や好みに合わせて本を紹介してほしい 書名の思い出せない本を探している ◎これからも市民と共に  日誌には、読書会をつくりたいという市民の願いがあり、図書館報には、職員の熱い思いがつづられていました。昭和43年(1968年)8月に発行された「中央図書館報第1号」では、“市民図書館とは、市民が作り、市民によって支えられる図書館でなければなりません。図書館は市民の内側に入り込み内側から創られてゆく要素をもったとき、真の図書館になれると思います。”と当時の館長が書いています。  それから60年、市立図書館は公共図書館が果たすべき役割に着実に取り組み、市民の声に耳を傾け、よりよい図書館サービスを模索し続けてきました。市立図書館はこれからも、「いつでも どこでも だれでも」利用できる図書館を目指し、地域に根差した、市民の皆さんの生活に役立つ図書館であり続けられるよう歩み続けます。 (注)当時の図書館報や図書館だよりの引用は一部省略・補訂して掲載しています ◎60周年を迎え寄せられた市民の声  市民によって支えられ、市民のために発展してきた調布市立図書館。  60年前に掲げられた「市民図書館」の理念は、今も多くの利用者に届き、地域の暮らしの中に息づいています。 寄せられた声は中央図書館5階で展示しています。 期間/11月15日(日曜日)まで ●J:COM(地デジ11チャンネル)「テレビ広報ちょうふ」 〈5日号〉5日から19日 職員インタビュー、ミニコーナーなど 〈20日号〉20日から翌月4日 職員インタビュー、特集など 放送内容は調布市公式YouTubeでも配信中 ●調布FM83.8メガヘルツ市政情報番組「調布市ほっとインフォメーション」 月曜日から金曜日 午前9時15分から、午後1時30分から、4時から、9時から(各15分)/5時30分から(5分) 土曜日 午後5時30分から(5分) 日曜日 午後3時30分から(5分)(注)放送が休止・時間変更になる場合あり。インターネットでも聴取可。詳細は調布FMホームページ参照