(令和8年度答申第1号) 答 申 1 審査会の結論   審査請求人の妻に係る審査請求については却下することが妥当である。   処分庁が、令和7年6月5日付け07調福生発第231号で、審査請求人に対して「令和3年4月30日、令和3年10月14日、令和4年3月11日の面談記録」を不開示とした処分は妥当である。 2 本件の経緯 (1) 審査請求人は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。) 第77条第1項の規定により、保有個人情報開示請求書を処分庁に提出し、「生活福祉課との面談記録6件」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。 処分庁は、令和7年5月2日付けでこれを受理した。 (2) 処分庁は、本件開示請求について、法第82条第2項の規定により保有個人情報不開示決定 処分(以下「本件処分」という。)を行った。 (3) 審査請求人は、本件不決定処分を不服とし、審査請求書(以下「本件審査請求書」という。) を審査庁に送付し、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第2条の規定により、審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。   審査庁は、令和7年8月13日付けで本件審査請求を受理した。 (4) 処分庁は、行政不服審査法第29条の規定により、弁明書(以下「本件弁明書」という。)を審 査庁に提出した。 審査庁は、令和7年10月29日付けで本件弁明書を受理した。 (5) 審査請求人は、行政不服審査法第30条の規定により、反論書(以下「本件反論書」という。) を提出した。  審査庁は、令和7年12月5日付けで本件反論書を受理した。 (6) 審査庁は、審査請求人からの申出を受けて口頭意見陳述を実施した。 (7) 審査庁は、期限内に審査請求人及び処分庁から補充的書面の提出がなかったことから審理を終結し、調布市個人情報の保護に関する法律施行条例(令和4年調布市条例第29号)第6条第2項の規定により、調布市個人情報保護審査会(以下「当審査会」という。)に諮問(以下「本件諮問」という。)を行い、諮問書とともに本件審査請求書及び関係資料(以下「本件諮問書等」という。)を当審査会に提出した。 (8) 当審査会は、令和8年3月27日付けで本件諮問書等を受理した。 3 本件審査請求の内容 (1) 本件審査請求の趣旨 「本件処分の取消しを求める。」との裁決を求める。 (2) 本件審査請求の理由 審査請求人の本件審査請求書、本件口頭意見陳述、補充的書面及び調布市個人情報の保護に関 する法律施行条例第8条に基づく口頭での意見陳述における主張はおおむね以下のとおりである。 ア 審査請求人の妻について   本件は審査請求人及び審査請求人の妻両名の娘に関するものであり、審査請求人の妻は重要ステークホルダーであることから、審査請求人同様に審査請求人の妻が主体性のある共同審査請求人の一人として審査に参加することを求めるものである。 イ 文書の作成及び特定について 審査請求人は、処分庁との面談記録について、保有個人情報開示請求を行った。審査請求人が公開請求をした文書の一部については、文書を作成していない旨の説明を処分庁から受けたが、当該不作成とされる文書は、審査請求人及び審査請求人の妻の子を担当するケアマネージャーの引継ぎ等に関するものであり、通常文書として残されるべき内容であると考えられるため、当該文書を不存在とした処分は不当であり、取り消しを求める。 4 処分庁による本件弁明書等の趣旨 本件弁明書等による処分庁の主張を要約すると、おおむね以下のとおりである。 (1) 弁明の趣旨    「本件審査請求のうち、審査請求人の妻に係る部分は却下し、その余は棄却する。」との裁決を求める。 (2) 本件審査請求に対する弁明    本件審査請求は、本件処分にかかる文書の作成及び特定が不当なものとして処分を取り消すよ う求めていることから、次のとおり弁明する。 ア 審査請求人の妻の不服申立人適格について   審査請求人の妻は、本件処分の名宛人ではなく、本件処分の取消しを求めるにつき法律上の 利益を有するものとはいえないことから、本件審査請求のうち審査請求人の妻に係る部分については、却下を求める。   イ 本件面談記録について     本件面談記録は、不作成で不存在であるから、本件処分をしたものである。     処分庁での面談記録は、ケース記録とそれ以外の記録に大別している。     具体的には、ケース記録は援助方針に係る支援内容や保護決定処分に係る内容を記載するもので、それ以外の記録はケース記録以外の記録を記載するものをいう。  面談記録の作成義務については、法令上明文の規定はなく、処分庁に広い裁量が認められるべきところ、ケース記録については生活保護の実務上必要な内容について記録しているが、それ以外の記録については必要に応じて記録を作成している。  しかしながら、本件面談記録に係る内容はいずれも援助方針に係る支援内容や保護の決定処分に係る内容ではなく、又それ以外に記録とすべき内容ではないことから、ケース記録及びそれ以外の記録いずれにおいても記録を作成する必要がないと処分庁が判断したものである。 5 審査会の判断   当審査会は、審査請求人の本件審査請求書、本件反論書及び本件口頭意見陳述等における主張並びに処分庁の本件弁明書及び理由説明における主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。 (1) 審査請求人の妻の不服申立人適格について 処分庁は、審査請求人の妻は、本件処分の名宛人ではなく、本件処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものとはいえないことから、本件審査請求のうち審査請求人の妻に係る部分については、却下を求めている。 これに対し、審査請求人は、本件は審査請求人である審査請求人、審査請求人の妻両名の娘に関するものであり、審査請求人の妻は重要ステークホルダーであることから、審査請求人同様に審査請求人の妻が主体性のある共同審査請求人の一人として審査に参加することを求めている。 したがって、本件審査請求のうち、審査請求人が共同審査請求人の一人であると主張するその妻について、本件審査請求の不服申立人適格を有するか否かについて検討する。 行政不服審査法において審査請求をすることができる者は、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害された者または必然的に侵害されるおそれのある者に限られると解されている。 また、共同審査請求は、同一又は共通の利害関係を有する多数人による不服申立てについて、審査請求手続を円滑に進めるための特例であり、同一の処分又は、同一の事実上および法律上の原因に基づく処分について共同での審査請求を認める制度である。 したがって、共同審査請求は、各人が個別に審査請求を行うことができることを前提とするものであり、不服申立人適格を有しない者に新たに審査請求権を付与するものではない。 このことから、本件において審査請求人の妻が本件処分に対する不服申立人適格を有するかについて検討する。 法で定める保有個人情報の開示請求は、市が保有する自己の個人情報について、その本人が開示を求めることを認める制度である。このため、開示請求の受付及び開示決定に際しては、本人確認が厳格に行われ、当該本人に係る保有個人情報のみが開示の対象となる。 本件では、保有個人情報の開示請求は審査請求人によって行われ、市は当該請求を審査請求人による請求として受理し、開示決定についても審査請求人に対して行っていることが認められる。  したがって、本件処分は審査請求人を名宛人とした決定であることから、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害された者または必然的に侵害されるおそれのある者は審査請求人のみであり、審査請求人の妻に対して直接何らかの影響をもたらすものではない。 なお、審査請求人の妻であることをもって、本件処分に係る保有個人情報について法律上保護された利益を有するとは認められない。 その他、本件処分によって審査請求人の妻の権利又は法律上保護された利益が侵害されたと認めるに足りる事情も見当たらない。 以上のことから、審査請求人の妻は本件処分によって自己の権利又は法律上保護された利益を侵害された者とはいえず、本件開示決定に対する不服申立人適格を有しないことから、審査請求人の妻に係る本件審査請求は不適法であり、却下することが妥当である。 (2) 面談記録の作成について 審査請求人は、本件面談に係る記録について開示を求めているところ、処分庁は、当該文書は作成していないため不存在であるとして不開示決定を行った。 この点、審査請求人は、本件面談について記録が作成されるべきであったにもかかわらず開示されていない旨主張していることから、本件面談が記録を作成すべきものであったかについて検討する。 面談記録の作成については、法令上、一律に記録の作成が義務付けられているものではない。 面談記録を作成する必要があるか否かは、当該面談の目的、内容及び性質並びに行政事務の遂行上の必要性等を踏まえ、個別具体的に判断されるべきものである。 処分庁の説明によれば、本件面談は援助方針に係る支援内容や保護決定処分に関する事項を取り扱ったものではなく、生活保護業務の実務上、記録を作成する必要性のある面談には該当しなかったことから、当該面談について記録は作成していないとしている。 また、処分庁は作成していないため不存在とした文書の所在については、十分に調査したうえで回答している旨説明している。 このような、業務上記録を作成する必要性のある面談には該当しないという処分庁の説明に特段不自然、不合理な点があるとはいえず、また本件面談について記録が作成されていたことをうかがわせる客観的な資料も認められない。 以上のことから、処分庁が本件面談記録を不存在として行った決定は妥当である。 (3) 面談の実施に係る記録の保存について 面談記録について、詳細な記録を作成することまでは求められないとしても、本件のように後日、保有個人情報の開示請求や不服申立てが行われた際に、面談の有無すら確認できない状況は、公文書管理及び行政運営の透明性の観点から望ましいものとはいえない。 少なくとも面談の実施日時や面談相手等の面談の実施そのものを示す事項については、適切に記録しておくことが望ましい。 (4) 総括 以上のとおり、当審査会は「1 審査会の結論」のとおり答申する。 6 当審査会の処理経過   当審査会は、本件諮問について以下のように審査を行った。 令和8年3月27日 審査庁から本件諮問書等を受理 令和8年5月14日 個人情報保護審査会(令和8年度第1回) 令和8年6月24日 個人情報保護審査会(令和8年度第2回) 令和8年8月 5日 個人情報保護審査会(令和8年度第3回) 調布市個人情報保護審査会委員 職名 名 備考 会長 田辺 一男 弁護士 副会長 増田 径子 弁護士 委員 小山 宇一 市民 委員 三浦 詩子 市民 委員 水戸 和幸 大学教授