(令和8年度答申第3号) 答 申 1 審査会の結論  処分庁が、令和4年6月27日付け4調都外発第880003号で「・東京外環沿線都区市担当者打合せ(令和4年3月4日開催)資料一式 他13件」を一部公開決定とした処分は、非公開とした部分及びその理由が妥当でないことから、取り消すべきである。 2 本件の経緯 年月日  経緯 令和4年4月26日  審査請求人は、調布市情報公開条例(平成11年調布市条例第19号。以下「本条例」という。)第6条第1項の規定により、市政情報公開請求書を処分庁に提出し、「調布市の都市整備部外環担当が保有する東京外環道事業に関する2022年2月23日から2022年4月26日の期間に調布市が作成したり、外部から入手したり、外部に提供した文書、写真、Eメール等電子データを含む情報一式(原則電子データ交付を)なお個人からのものは除くといった例外は従来もそうだが一切なしに、一式は一式、全ての情報を請求する」の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。  処分庁は、同日付けで本件市政情報公開請求書(以下「本件請求書」という。)を受理した。  令和4年5月10日 処分庁は、本件請求について、本条例第12条第2項の規定により 公開決定等期間延長の通知を行った。  令和4年6月27日  処分庁は、本件請求について、本条例第11条第1項の規定により市政情報公開決定処分をするとともに、市政情報一部公開決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。  令和4年9月27日  審査請求人は、本件処分を不服とし、審査請求書(以下「本件審査請求書」という。)を審査庁に送付し、行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「法」という。)第2条の規定により、審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。  審査庁は、同日付けで本件審査請求書を受理した。  令和4年10月27日  処分庁は、法第29条の規定により、弁明書(以下「本件弁明書」という。)及び証拠資料を審査庁に提出した。  審査庁は、同日付けで本件弁明書及び証拠資料を受理した。  令和4年12月5日  審査請求人は、法第30条の規定により、反論書(以下「本件反論書」という。)を審査庁に提出した。  審査庁は、同月7日付けで本件反論書を受理した。  令和5年2月15日  審査庁は、審査請求人からの申出により口頭意見陳述(以下「本件口頭意見陳述」という。)を実施した。  令和5年2月28日  審査請求人は、口頭意見陳述後の補充的書面の提出期限の延長を審査庁に申し出た。  令和5年3月3日  審査請求人は、「不服審査請求令和4年度第19号・20号事件(併合審理)について、口頭意見陳述後の意見書」(以下「本件補充的書面」という。)と題する書面を提出した。  令和5年3月14日  審査庁は、期限内に処分庁から補充的書面の提出がなかったことから審理を終結し、本条例第19条の2第1項の規定により、調布市情報公開審査会(以下「当審査会」という。)に諮問(以下「本件諮問」という。)を行い、諮問書とともに本件審査請求書、本件弁明書、本件反論書の写し、口頭意見陳述の会議録及び本件補充的書面(以下「本件諮問書等」という。)を当審査会に提出した。当審査会は、同日付けで本件諮問書等を受理した。 3 本件審査請求の内容 (1) 本件審査請求の趣旨  調布市長が審査請求人に対し行った本件処分を取り消すとの裁決を求める。 (2) 本件審査請求の理由    審査請求人の本件審査請求書、本件反論書、本件口頭意見陳述、本件補充的書面及び本条例第24条に基づく口頭での意見陳述における主張はおおむね以下のとおりである。   ア 非公開とした箇所の中のどの箇所が条例7条第2号によるものか明らかにすること。  また、非公開とした箇所の中のどの箇所が条例7条第6号に該当するものか明らかにすること。 イ 公開文書について、本条例第7条第2号及び本条例第8条に反して、非公開とすべき範囲を超えて過大に非公開にしている。個人を特定できる情報以外は非公開としてはならない。 ウ 本条例第7条第6号に該当する理由として「公にすることにより市民からの率直な相談、問合せを妨げるおそれがあるため」は、最も許容できない詭弁であり、世間の一般常識に照らして理解不能である。「公にすることにより市民からの率直な相談、問合せを妨げるおそれがあるため」という理由は、条例第7条第6号の「市の機関又は国、独立行政法人等若しくは他の地方公共団体が行う試験問題」、「職員の身分取扱い」、「争訟の処理方針」、「監査及び検査の計画その他の事務事業に関する情報」のいずれにも該当しないし、「公にすることにより、当該事務事業の性質上、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」でもない。     本条例第7条第6号に該当するとの処分庁の主張は、単なる抽象的危惧感を言うに過ぎないものであり、具体的根拠や事例を挙げて反論すべきである。   エ 一部公開情報14件のうち、特に「面談記録(2022/3/10)」「要望等受付票(2022/04/13)」「Re(2):お問い合わせへの回答について(調布市)(2022/3/17)」「要望等受付票(2022/03/01)」「Fwd:ご意見・お問い合わせ(2022/03/07)」「陥没、空洞事故に関する問合せ対応メモ一覧(2/28~4/26)」については、過大に非公開にしていると推定される。 4 処分庁による本件弁明書等の趣旨   本件弁明書等による処分庁の主張を要約すると、おおむね以下のとおりである。 (1) 弁明の趣旨    「本件審査請求を棄却する。」との裁決を求める。 (2) 本件審査請求に対する主張要旨 本件審査請求は、一部公開された文書以外に公開されるべき文書がある可能性がある、非公開理 由が不当であり非公開とする範囲が過大であるとの理由から、本件処分を取り消すよう求めていることから、次のとおり弁明する。 ア 審査請求人は、過去の同様の件名の情報公開請求書において、個人からの意見や相談が対象とされていなかったことを挙げ、本件情報公開請求においても一部公開された文書以外に、対象となるべき文書が存在するのではないかと主張している。   しかし、本件情報公開請求においては、個人からの相談や意見も対象とする旨の意向を確認したため、それらも対象としている。   また、文書の特定にかかる探索の範囲については、本件情報公開請求の対象となる文書の存否を確認するため、執務室等の行政文書を保管する場所及びコンピュータ上の電子ファイルを探索し、適正に文書を特定しており、この他に対象とすべき文書は存在しない。 イ 本件処分における非公開理由の一つとして挙げている条例第7条第6号の規定については、「公にすることにより、市が行う事務事業の適切な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報が記録された市政情報は非公開とすること」を定めたものである。  処分庁に寄せられる個人からの意見や相談については、その内容を公開することで、市に対する率直な意見や相談を萎縮させるおそれがある。地域の安全・安心の確保と市民の抱く不安の払しょくに向けた取組を最優先に行う中で、市に対する率直な意見や相談が妨げられることは、市民が感じる課題や不安の声等、市が事業者へ的確な要請や指摘を行ううえでの判断材料が得られないことにつながり、事務事業の適切な遂行に支障を及ぼすものである。   ウ 本条例第7条第2号の規定については、直接的に特定の個人が特定される情報だけではなく、他の情報と照合することで特定の個人が識別できる情報についても非公開とすることを定めているが、外環道事業に関する意見や相談は陥没箇所周辺にお住いの方からのものであることが多く、たとえ氏名や住所を非公開としても、その内容だけで、個人が特定される可能性がある。 5 審査会の判断   当審査会は、審査請求人の本件審査請求書、本件反論書及び本件口頭意見陳述等における主張並び  に処分庁の本件弁明書及び理由説明における主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。 (1) 本件請求の経緯 令和3年12月の本件請求時における外環事業に関する所管部署は、都市整備部街づくり事業課 であったが、その後、2回の組織改編があり、令和4年2月の本件処分時は都市整備部付外環担当、令和6年4月から都市整備部まちづくり推進課となった。そのため、本件答申時における処分庁は都市整備部まちづくり推進課である。 (2) 一部公開の範囲   ア 公開文書の内容について  本件請求の件名は「調布市の都市整備部外環担当が保有する東京外環道事業に関する2022年2月23日から2022年4月26日の期間に調布市が作成したり、外部から入手したり、外部に提供した文書、写真、Eメール等電子データを含む情報一式(原則電子データ交付を)なお個人からのものは除くといった例外は従来もそうだが一切なしに、一式は一式、全ての情報を請求する」である。  本件公開文書である当該資料には、市が受けた外環事業に関連した個人・団体からの問合せ、相談及び要望等のほか、意見や相談を行った者の氏名、住所等が記録されている。 イ 本条例第7条第2号の解釈について  本件処分において直接的に個人情報に該当する氏名、住所のほか、直接的に特定の個人が特定される情報ではないが他の情報と照合することで特定の個人が識別できる情報について、条例第7条第2号に該当する情報としている。審査請求人は、処分庁が本条例第7条第2号に反して、非公開とすべき範囲を超えて過大に非公開にしている旨主張していることから、本条例第7条第2号による非公開の範囲について検討する。  本条例第7条第2号では、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され、又は他の情報と照合することにより識別することができることとなるもの。」を非公開情報として定めている。 ウ 本条例第7条第6号の解釈について  次に、処分庁に寄せられる個人からの意見や相談内容にかかる情報のうち、個人を特定または他の情報と照合することにより個人を識別し得る情報を除いた情報について、処分庁は公にすることにより市民からの率直な相談、問合せを妨げるおそれがある情報を本条例第7条第6号に該当することから市政情報の一部を非公開としている。審査請求人は、処分庁が本条例第7条第6号に該当することを理由として非公開とした情報は同条同号に該当しないと主張していることから、本条例第7条第6号の該当性について検討する。  本条例第7条第6号では「市の機関又は国、独立行政法人等若しくは他の地方公共団体が行う試験問題、職員の身分取扱い、争訟の処理方針、監査及び検査の計画その他の事務事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務事業の性質上、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」を非公開情報として定めており、「情報公開事務の手引(令和2年度版)」には、同条同号の趣旨・解釈について、次のように記述されている。「事務事業」とは、本号本文に列記した項目に限定されるものではない。また、同種の事務事業が反復される場合の将来の事務事業も含まれる。「事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、事務事業に関する情報を公にすることによる利益と支障とを比較衡量した結果、公にすることの公益性を考慮してもなお、当該事務事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過しえない程度のものをいう。この場合、「支障を及ぼすおそれ」は、単なる抽象的な可能性では足りず、当該事務事業の適正な遂行に支障を生じることについて、法的保護に値する蓋然性が認められなければならない。 エ 本条例第7条第2号及び第6号の該当性について  このことから、本件公開文書について鑑みるに、本件公開文書に含まれる意見や相談を行った者の氏名及び住所の情報については、本条例第7条第2号の非公開情報に該当し、当該部分について非公開とすることは妥当である。  また、個人・団体からの問合せ、相談及び要望等について、他の情報と組み合わせることにより、個人を特定することができる情報が含まれている場合には本条例第7条第2号に該当することが考えられる。  ただし、本件一部公開文書のうち一部の非公開箇所については、個人を特定することができる情報とは言えないものについても非公開となっている箇所があり、本条例第7条の非公開情報に該当しないものがある。  一例を挙げるとすれば、「面談記録(2022/03/10)」「要望等受付票(2022/04/13)」は、個人を特定できる情報は限定的であり、そのほとんどは公開されるべきである。  また、処分庁が個人・団体からの問合せ、相談及び要望等の非公開情報のうち、本条例第7条第2号に該当せず、本条例第7条第6号に該当すると判断した部分について、同条同号に定める「事務事業」が同号本文に列記した項目に限定されるものではないとしても、同号に定める「事務事業に関する情報」に該当するかについては疑義がある。仮に本条例第7条第6号に基づき非公開とされた個人・団体からの問合せ、相談及び要望等の部分が「事務事業に関する情報」に該当すると解したとしても、処分庁が主張するような「処分庁に寄せられる個人からの意見や相談については、その内容を公開することで、市に対する率直な意見や相談を萎縮させるおそれ」という「事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」は、抽象的な可能性に過ぎず法的保護に値する蓋然性を認めることはできない。 (4) 処分理由の付記について   ア 審査請求人は、非公開箇所の理由を具体的に明らかにすることを求めている。   イ 本条例第11条第1項において、「実施機関は、公開請求に係る市政情報の全部又は一部を公    開するときは、その旨の決定をし、公開請求者に対し、その旨並びに公開をする日時及び場所を 書面により通知しなければならない。」と規定している。また、本条例第13条第1項においては、「実施機関は、条例第11条各項の規定により公開請求に係る市政情報の全部又は一部を公開しないときは、公開請求者に対し、当該各項に規定する書面によりその理由を示さなければならない。この場合において、当該理由の提示は、公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が、当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。」と規定している。     よって、本件のように、一部公開決定をする場合における理由の付記の程度について検討する。 ウ 処分庁は一部を非公開とする理由として、4(2)イ、ウのとおり判断している旨主張してい るが、本条例第7条第6号該当部分については、具体的にどのような情報が該当するのかについ て明確に述べるところがない。 エ 「情報公開事務の手引(令和2年度版)」においては、本条例第13条第1項の解釈として、「公開請求に係る市政情報の全部又は一部を公開しないときは、理由の提示が必要であること、また、その場合は、公開しない根拠規定及びこれを適用する理由を客観的に理解できる程度に記載しなければならない」と示している。  処分庁の説明によると、本件処分の理由として条例第7条第2号及び第6号を適用した考え方が示されているものの、本件処分の理由が本条に規定する「当該書面の記載自体から理解され得るもの」であるかは疑問である。     よって、本件処分における一部公開決定の理由の付記については、十分なものであるとは言い 難く、本条例第7条第6号に該当し非公開とした理由について、どのような情報が該当するのか具体的に記載する必要がある。 (4) その他 その他、審査請求人は、るる主張しているが、当審査会の判断に影響を及ぼすものではない。 (5) 結論 よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。6 当審査会の処理経過   当審査会は、本件諮問について以下のように審査を行った。 年月日 処理経過  令和5年 3月14日 審査庁から提出された本件諮問書等を受理  令和8年 3月27日 情報公開審査会(令和7年度第6回) 本条例第24条の規定による審査請求人の口頭での意見陳述、  令和8年 5月18日 情報公開審査会(令和8年度1回) 審査 7 調布市情報公開審査会委員 職名 氏名 備考 会長 草川 健 弁護士 副会長 井上 寛 弁護士 委員 稲益 和子 弁護士 委員 佐藤 惠子 市民