(令和8年度答申第1号) 答 申 1 審査会の結論  処分庁が、令和4年3月28日付け3調都外発第3620001号で「施工通知書(令和3年6月17日付け)」及び「施工通知書(令和3年3月31日付け)」を全部公開と決定した処分は、公開された文書のほかにも請求内容に含まれるとみられる文書が存在すると認められることから、取り消すべきである。 2 本件の経緯 年月日  経緯  令和4年 1月27日  審査請求人は、調布市情報公開条例(平成11年調布市条例第19号。以下「本条例」という。)第6条第1項の規定により、市政情報公開請求書を処分庁に提出し、「1月24日個人情報保護審査会で委員の質問に対する「誤った情報により地元の人が不安になった」との趣旨の●●課長の答弁の根拠となる情報」の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。  処分庁は、同日付けで本件市政情報公開請求書(以下「本件請求書」という。)を受理した。  令和4年 2月10日  処分庁は、本件請求について、本条例第12条第2項の規定により公開決定等期間延長の通知を行った。  令和4年 3月28日  処分庁は、本件請求について、本条例第11条第1項の規定により市政情報公開決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。  令和4年 6月28日  審査請求人は、本件処分を不服とし、審査請求書(以下「本件審査請求書」という。)を審査庁に送付し、行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「法」という。)第2条の規定により、審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。  審査庁は、同月6月28日付けで本件審査請求書を受理した。  令和4年 7月27日  処分庁は、法第29条の規定により、弁明書(以下「本件弁明書」という。)及び証拠資料を審査庁に提出した。  審査庁は、同日付けで本件弁明書及び証拠資料を受理した。  令和4年 9月 2日  審査請求人は、法第30条の規定により、反論書(以下「本件反論書」という。)を審査庁に提出した。  審査庁は、同日付けで本件反論書を受理した。  令和4年12月21日  審査請求人からの申出により、法第31条の規定に基づく口頭意見陳述(以下「本件口頭意見陳述」という。)を実施した。  令和5年 1月 6日  審査請求人から補充的書面の提出期限延長を求める申出があった。  令和5年 1月27日  審査請求人から「不服審査請求令和4年度第15号事件について、口頭意見陳述後の意見書」と題する書面が提出された。  令和5年 2月14日  審査庁は、審理を終結し、本条例第19条の2第1項の規定により、調布市情報公開審査会(以下「当審査会」という。)に諮問(以下「本件諮問」という。)を行い、諮問書とともに本件審査請求書、本件弁明書及び本件反論書の写し(以下「本件諮問書等」という。)を当審査会に提出した。  当審査会は、同日付けで本件諮問書等を受理した。 3 本件審査請求の内容 (1) 本件審査請求の趣旨  調布市長が審査請求人に対し行った本件処分を取り消すとの裁決を求める。 (2) 本件審査請求の理由  審査請求人の本件審査請求書、本件口頭意見陳述、補充的書面及び本条例第24条に基づく口頭での意見陳述における主張はおおむね以下のとおりである。   ア 文書の特定について     「1月24日個人情報保護審査会で委員の質問に対する『誤った情報により地元の人が不安になっ    た』との趣旨の●●課長の答弁の根拠となる情報」には、2つの施工通知書だけでは不足している。  令和4年4月14日付けで調布市個人情報保護審査会が市に提出した「東京外かく環状道路事業における市の個人情報の取扱いについて」意見書において、市民(個人・団体)から東京外かく環状道路事業に関する問合せ、相談及び要望等があったことが明らかになっており、本件請求に係る期間においてもこれらと同様の市政情報が存在していた可能性がある。   イ 探索の範囲について  「また、本件情報公開請求の対象となる文書の存否を確認するため、執務室等の行政文書を保管する場所及びコンピュータ上の電子ファイルを改めて探索したが、新たに該当となるものはなかった。」とあるが、Eメールが短期間に削除される異常な運用が日常化しているとのことなので、情報公開決定時点から3か月(以上)後の「改めて探索した」時点において存在してなかったとしても不思議ではなく、それでもって情報公開決定が適切にされたとまでは言えない。  Eメールも公文書、組織共有文書であり、公文書管理の保管期間1年未満の文書に位置付けられていたとしても、文書の内容からして関係業務(情報公開請求や不服審査請求を含む)が終わってないものは削除できないはずだから、サーバーの容量が小さいからといって規定等に反して削除してよいわけはないことを付記しておく。  また、バックアップサーバー等に保存されているものを組織共有文書でないと言い逃れすることは、文書管理の規程等に違反していても削除・隠匿すれば公開対象でないという逃げ道を作ることであり、そのような「やり得」は許されない。 4 処分庁による本件弁明書等の趣旨   本件弁明書等による処分庁の主張を要約すると、おおむね以下のとおりである。 (1) 弁明の趣旨    「本件審査請求を棄却する。」との裁決を求める。 (2) 本件審査請求に対する主張要旨  本件審査請求は、本件処分にかかる文書の特定が不当なものとして処分を取り消すよう求めていることから、次のとおり弁明する。   ア 公開文書の特定について   審査請求人が言及している「『誤った情報により地元の人が不安になった』との趣旨の●●課長の答弁」は調布市個人情報保護審査会において個人情報漏えい事案発生の経緯を説明する中での発言である。  市は、令和3年6月10日付けで「2021年2月4日〜2021年6月10日までの期間に陥没事故等に関する調査・補修のために周辺市道の占有許可等を与えたことについての文書一式」という件名で提出された情報公開請求に対し、同月24日に情報公開決定し、同年7月6日に文書を公開した。  しかし、市は、令和3年6月10日の情報公開請求から情報公開決定までの間の同月17日に陥没事故等に関する調査・補修の施工方法が変更された「施工通知書(令和3年6月17日付け)」の提出を外環事業者から受けた。このことにより、令和3年7月6日に開示を行った同年6月10日の情報公開請求における公開文書と市に提出された最新の施工通知書(令和3年6月17日付け)に齟齬が生じ、調査・補修の施工方法の内容等について不安に感じた市民から問合せを受けた。  「『誤った情報により地元の人が不安になった』との趣旨の●●課長の答弁」は、上記のような背景での発言であるため、その根拠となる市政情報として、令和3年6月24日付けで公開決定を行った文書である「施工通知書(令和3年3月31日付け)」及び同年6月10日付け情報公開請求後に現地の状況が変化した事実を確認できる文書である「施工通知書(令和3年6月17日付け)」の2点を本件情報公開請求の対象としたものである。  また、「誤った情報により地元の人が不安になった」との趣旨の●●課長の答弁の根拠となる情報にあたる、地元の人からの施工通知書に対する不安の声は、多くを電話で受けていたほか、窓口に来られた方から直接受けていたものの、外環事業者に伝える必要がある内容のみを記録として残しており、不安の声を書き留めたメモ等には残しておらず、直接的に本件情報公開請求書の件名と関係する文書は他に存在しない。   イ 探索の範囲について   文書の特定にかかる探索の範囲については、本件情報公開請求の対象となる文書の存否を確認するため、執務室等の行政文書を保管する場所及びコンピュータ上の電子ファイルの探索を行ったことから探索の範囲に不適切な点はない。  また、本件審査請求がなされた以降においても、対象となる文書の存否を確認するために執務室等の行政文書を保管する場所及びコンピュータ上の電子ファイルを改めて探索したが、本件処分において対象となったものを除き、対象とすべき文書は見つけられなかった。 5 審査会の判断  当審査会は、審査請求人の本件審査請求書、本件反論書及び本件口頭意見陳述等における主張並びに処分庁の本件弁明書及び理由説明における主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。 (1) 本件請求の経緯 ア 令和3年11月、市政情報公開請求の手続過程において個人情報の不適切な取扱い事案が発覚した。本事案の内容は、東京外かく環状道路事業(以下「外環事業」という。)に関する市民からの市政情報公開請求において、市政情報公開請求書の写しを電子メールに添付して当該文書等を作成した機関に送信し、その際、請求者名等の記入欄にマスキング処理を施すことなく送信したことにより、請求者の個人情報が当該機関に漏えいすることとなったものである。 イ これらについて本事業に関する市の所管部署である都市整備部で事実確認を行ったところ、街づくり事業課において令和3年6月10日から同年10月29日までの市政情報公開請求書の写し9枚を電子メールで事業者へ送ったことが判明し、市は、同年11月10日に「個人情報の漏えいに関するお詫びと御報告」として市ホームページでの公表を行っている。 ウ 令和4年1月の本件請求時における外環事業に関する所管部署は、都市整備部外環担当であったが、その後、組織改編があり、令和6年4月から都市整備部まちづくり推進課となった。そのため、本件答申時における処分庁は都市整備部まちづくり推進課である。 (2) 発言の根拠の特定について    本件請求における「誤った情報により地元の人が不安になった」という●●課長(当時、外環事業を所管していた街づくり事業課の課長)の発言は、令和3年度第4回調布市個人情報保護審査会において、市政情報公開請求の手続過程における個人情報の不適切な取扱い事案が発覚した経緯及び情報公開請求に関する都市整備部内の調査内容についての説明の中でのものである。  発言の経緯は、令和3年6月10日に請求のあった情報公開請求書をマスキングせず外環事業者へ送ったことで発生した個人情報の不適切な取扱い事案の経緯の説明として、本件処分において公開文書として開示した「施工通知書(令和3年3月31日付け)」について、「請求者へ開示後、その資料を見た地域住民の方々に誤った情報が伝わり、地域住民の方々から不安の声が寄せられたことを受けて、開示内容の再確認を行うために請求書を送ったもの」であると説明したものである。  本件情報公開請求は「1月24日個人情報保護審査会で委員の質問に対する『誤った情報により地元の人が不安になった』との趣旨の●●課長の答弁の根拠となる情報」である。 このことから、審査請求人が主張する、「誤った情報により地元の人が不安になった」という●●課長の発言を裏付ける地元の人の相談の記録については、本件請求文書に含まれると解することができる。 (3) 文書の特定について  処分庁の説明によると、地元住民から施工通知書に対して寄せられた不安の声は、多くが電話での相談であったほか、窓口で直接寄せられたものもあったが、外環事業者に伝える必要がある内容のみを記録として残しており、不安の声を書き留めたメモ等は残しておらず、存在していないとのことであった。  しかし、過去に5(1)アに係る個人情報の不適切な取扱い事案について審議した当審査会(令和3年度第5回情報公開審査会)における資料等を確認すると、令和3年7月27日に開催された外環被害住民連絡会・調布との議事メモ(「210727外環被害住民連絡会・調布 議事メモ」)や令和3年8月24日に受けた電話の対応メモ(「市民電話対応議事メモ」)など、「誤った情報により地元の人が不安になった」という●●課長の発言の根拠となり得る、地域住民からの不安の声に当たるとみられる文書が存在することが認められた。  このことから、本件請求において処分庁が決定した2件の施工通知書のみを公開対象とした本件処分は、本件処分による公開文書以外にも公開の対象とすべき文書があると認められるため、文書の特定が不十分である。  また、処分庁が本件請求の対象文書として「施工通知書(令和3年3月31日付け)」及び「施工通知書(令和3年6月17日付け)」を特定した理由は、令和3年6月10日に受けた情報公開請求に対し令和3年7月6日に公開した「施工通知書(令和3年3月31日付け)」の内容に、情報公開請求日(令和3年6月10日)から情報公開決定日(令和3年6月24日)までに一部変更があったため、変更後の内容が確認できる「施工通知書(令和3年6月17日付け)」の公開を行ったと処分庁から説明があった。この本件請求の対象文書とした特定の説明に疑いはない。 (4) 対象文書の範囲について  審査請求人は、対象文書の探索範囲にバックアップサーバーが含まれないことは違法・不当であると主張しているが、メールサーバーから削除された電子メールについては、すでに組織共用性がなく「市政情報」として取り扱うことはできない旨、令和4年3月7日付け、当審査会意見書「市政情報公開手続における個人情報の不適切な取扱いについて」で述べたとおりである。本件処分についても、同様であり、処分庁の説明に、特段不自然、不合理な点があるとはいえず、これを覆すに足りる事情は認められない。 (5) その他 その他、審査請求人は、るる主張しているが、当審査会の判断に影響を及ぼすものではない。  (6) 結論 よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。 6 当審査会の処理経過   当審査会は、本件諮問について以下のように審査を行った。 年月日 処理経過  令和5年 2月14日 審査庁から提出された本件諮問書等を受理  令和7年 7月 9日 情報公開審査会(令和7年度第2回) 本条例第24条の規定による審査請求人の口頭での意見陳述、 処分庁の事情聴取  令和7年 8月21日 情報公開審査会(令和7年度3回) 審査  令和7年11月12日 情報公開審査会(令和7年度第4回) 審査  令和8年 1月26日 情報公開審査会(令和7年度第5回) 審査 7 調布市情報公開審査会委員 職名 氏名 備考 会長 草川 健 弁護士 副会長 井上 寛 弁護士 委員 稲益 和子 弁護士 委員 佐藤 惠子 市民