陳情文書表(令和7年11月12日受理) 受理番号 陳情第29号 件名 調布市内の小・中・高・特別支援学校における「いじめ」をなくす取り組みに関する陳情 提出者の住所・氏名 ※非公開情報 付託委員会 文教委員会 ※原文のまま記載 (趣旨) 調布市内の小・中・高・特別支援学校における「いじめ」の発生件数を減らすために、下記事項を実施願いたい。 1 調布市内の小・中・高・特別支援学校における月間、年間の「いじめ」の認知件数を、市のホームページで公開すること。 2 その数値から数値目標を設定し、それもホームページで公開し、地域住民と共有すること。 3 地域住民と協力して、その目標を達成する努力をすること。 「いじめ」は、相手に肉体的・精神的苦痛を与え、勉強に集中できなくさせ、学力を低下させ、不登校にし、相手の人生を狂わす、とても重大な問題行動です。  それは、重大な人権侵害であり、絶対にやってはならないことです。 政府統計によると、2023年度に全国の小・中・高・特別支援学校で認知された「いじめ」は、 732,568件でした。 政府は、この状況を改善するために、平成29年度から全国の小学校で、30年度から全国の中学校で、道徳教育を教科として、新たに実施するようになりました。ですが、「いじめ」を減らすことは、できていません。 それどころか、平成29年度から令和5年度にかけて、「いじめ」の認知件数は、約32万件も増えています。 このことから、政府は、「いじめ」を減らす方法を十分に理解していないことが分かります。 私は、この状況を改善するためには、以下のことを実施する必要があると考えています。 1 各自治体の小・中・高・特別支援学校における月間、年間「いじめ」の認知件数を、自治体のホームページで公開すること。 2 その数値から数値目標を設定し、それもホームページで公開し、地域住民と共有すること。 3 地域住民と協力して、その目標を達成する努力をすること。 これらが必要な理由は、「いじめ」を無くす上で最も重要なのは、地域住民の努力だからです。 学校において「いじめ」をするのは、自治体の職員でも学校の先生でもなく、生徒です。 また、生徒が「いじめ」をする一番の原因は、家庭において、道徳教育が十分に行なわれていないからです。 子供の人格形成に最も強い影響を与えるのは両親であり、家族です。 ですから、「いじめ」を無くす上で、学校における道徳教育を充実させることは重要ですが、「家庭における道徳教育を充実させること」の方が重要なのです。 また、子供たちと接点があり、身近な存在である地域住民による「見守り」や「声かけ」が重要になるのです。 「いじめ」を無くすために国や自治体ができることは、ほとんどありません。  主役は、あくまで地域住民です。 ですが、ほとんどの人は、自分が住んでいる地域で、どれくらい「いじめ」が起きているのか、知る方法がないので、それを知りません。 そのため、「いじめ」を意識する機会がありませんし、それを無くす努力をすることもありません。 私は、市町村レベルの「いじめ」の認知件数を公開すれば、多くの人が、「いじめ」を今よりも「身近なこと」「自分ごと」として捉えるようになると考えています。 現在、政府は、都道府県別の「いじめ」の認知件数を公開していますが、都道府県レベルの数値では、「身近なこと、自分ごととして捉えること」「危機感を持つこと」は難しいと思います。 このような考えから、私は以前、複数の自治体(市)に電話をかけ、「その地域の『いじめ』の認知件数を、自治体のホームページで公開するべきだ」と訴えたことがあります。 その時の回答は、いずれも「それはできません」というものでした。※「いじめ」の認知件数自体は、自治体が把握している。把握しているが、公開していないのが現状。 その理由は、「市町村の『いじめ』の認知件数を公開すると、学校や関係者が特定される恐れがあるから」というようなものでした。 一見もっともらしく聞こえますが、私は、その考えは間違っていると思います。 そもそも、「いじめ」というのは、相手に肉体的・精神的苦痛を与え、勉強に集中できなくさせ、学力を低下させ、不登校にし、相手の人生を狂わす、とても重大な問題行動です。 そのようなことが、年間 732,568件以上も起きていて、しかも改善する兆しが見えないというのは、深刻な状況です。これは、深刻な社会問題なのです。 それなのに、それを解決することよりも、学校や関係者が特定されないようにすることを優先させるというのは、明らかに間違っています。 また、「学校や関係者が特定される」と言いますが、公開するのは、あくまで認知件数なので、簡単に特定されるわけではありません。 認知件数から、それらを特定しようとする人は、ほとんどいないと思いますし、特定しようとして特定できるものでもありません。 逆に、ニュースになるほどの「いじめ」の場合、ニュースによって地域や関係者が公開されますし、関心を持った人が、インターネットやSNS等を駆使して、学校や関係者を特定し、ネットで公開することもあります。 つまり、自治体のホームページで公開しなくても、特定されるときは特定されるのです。 つまり、公開することによって、特定される可能性が格段に高まるということではないのです。 「いじめ」が、年間 732,568件以上も起きているというのは、非常に深刻な状況です。 この状況を改善するために、調布市には、勇気をもって、小・中・ 高・特別支援学校における月間、年間の「いじめ」の認知件数を、ホームページで公開してほしいと考えています。 実際に「いじめ」を無くすのは簡単ではありませんが、自治体が、月間、年間の「いじめ」の認知件数を公開し、地域住民と共有し、数値目標を設定することは、「いじめ」を無くす上で必要不可欠な、とても重要な一歩です。