議員提出議案第19号 リチウムイオン電池等の再資源化の推進と火災防止対策の強化を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和7年9月22日 提出者 調布市議会議員 清水 仁恵 賛成者 調布市議会議員 佐藤 尭彦 同 井上 耕志 同 松野 英夫 同 伊藤 学 同 磯邉 隆 同 阿部 草太 リチウムイオン電池等の再資源化の推進と火災防止対策の強化を求める意見書  近年,スマートフォンやモバイルバッテリー,加熱式たばこ,コードレス家電など,リチウムイオン電池,ニカド電池及びニッケル水素電池(以下 「リチウムイオン電池等」という。)を使用した製品が増加し,多様化の一途をたどっている。 しかしその一方,これらの製品が一般のごみとして排出された際に,重大な問題を引き起こしている。市区町村が回収する不燃ごみ等に混入したリチウムイオン電池等が,ごみ収集車や処理施設内で押し潰されることによって発火し,火災事故に至るケースが全国で頻発し,作業員の安全を脅かすだけでなく,収集運搬車両や処理施設の焼損といった甚大な被害をもたらし,安定的な廃棄物処理体制の維持を著しく困難にさせる懸念がある。 本市においても,リチウムイオン電池等の不燃ごみへの混入が原因と見られる収集時の火災事故を経験し,市民の安全確保と安定した行政サービス提供の観点から,有害ごみとして回収するよう分別方法を改めた。しかしながら,市民への周知徹底や,回収後の安全な保管・運搬・処理には多大な行政コストと労力を要し,もはや一自治体の努力のみで対応し続けることは限界に達していると言える。  リチウムイオン電池等は,「資源の有効な利用の促進に関する法律」に基づき,製造事業者・輸入販売事業者(以下「製造事業者等」という。)に自主回収と再資源化の責務が課されている。しかし,現実には回収ルートが限られていることや市民への周知不足などから,多くの使用済リチウムイオン電池等が適切な処理につながらず,一般のごみに混入されている。 さらに,国は製造事業者等による自主回収や再資源化の取組状況を十分に把握しておらず,社会全体としての回収・再資源化の全体像が不透明なままとなっている。これは,現行の制度が国民の安全確保や資源循環の観点から,十分に機能しているとは言い難い状況を示している。 よって,国におかれては,リチウムイオン電池等に起因する火災事故の根絶と,貴重な資源の有効活用を推進するため,下記の事項について,国の責任において万全の対策を講じられるよう強く要望する。 記 1 リチウムイオン電池等が使用済みとなった際に,排出から再資源化まで,国民が安全かつ容易に処理できるよう,国の責任において回収・処理・再資源化を行う新たな全国統一の体制を早急に構築すること。 2 製造事業者等に対し,製品の設計段階から電池の安全な取り外しやリサイクルを容易にするよう義務づけるとともに,自主回収・再資源化の責務が確実に果たされるよう,回収率の具体的な目標設定や達成状況の公表義務づけなど,実効性のある指導・監督を抜本的に強化すること。 3 リチウムイオン電池等の危険性や,適切な分別排出の必要性,そして正しい排出方法について,国が主体となり,あらゆる媒体を活用して,国民一人一人に確実に伝わるよう,より一層強力かつ継続的な周知・啓発活動を展開すること。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和7年9月 日 調布市議会議長 宮本 和実 提出先 内閣総理大臣  経済産業大臣  環境大臣  衆議院議長   参議院議長