議員提出議案第18号 刑事訴訟法における再審規定(再審法)の改正を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和7年9月22日 提出者 調布市議会議員 山根 洋平 賛成者 調布市議会議員 青山 誠 同 川畑 英樹 刑事訴訟法における再審規定(再審法)の改正を求める意見書  日本の刑事司法制度において,冤罪被害者の迅速な救済は極めて重要な課題である。長期間にわたり自由を奪われ,ときには命まで奪われる冤罪は,取り返しのつかない重大な人権侵害であり,国民の司法制度への信頼を根幹から揺るがすものである。 現行の刑事訴訟法における再審規定(以下「再審法」という。)には,冤罪被害者の救済を妨げる複数の制度的欠陥が存在する。まず,再審請求手続において,無罪を証明する新たな証拠を発見することは極めて困難であることが挙げられる。多くの再審事件では,検察官が開示した証拠が再審開始の決め手となっているにもかかわらず,現行法には検察官に証拠開示を義務づける規定がない。 また,再審請求審理における事実の取調べなどの進め方が裁判所の裁量に委ねられているため,対応に大きな差異が生じ,手続の公平性が損なわれている。さらに,再審開始決定に対する検察官の不服申立ては,冤罪被害者の迅速な救済を妨げる最大の要因の一つとなっている。 近年の再審事件,特に袴田事件(1966年発生,1980年死刑確定)は,無実を訴える者の救済がいかに困難で,長い時間を要するかを改めて浮き彫りにした。死刑確定から44年,事件発生から58年という歳月を経て再審無罪が確定した事実は,現行の再審法が,冤罪被害者を迅速に救済する上でいまだ不十分であることを明確に示している。 これらの課題を解決し,冤罪被害者が一刻も早く救済されるよう,再審法を速やかに改正する必要がある。これは,国民の平穏な日常生活を守り,刑事司法制度に対する信頼を回復するための不可欠な措置である。  よって調布市議会は,国会及び政府に対し,冤罪被害者の人権を守るため,再審法の速やかな改正を強く求める。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和7年9月  日 調布市議会議長 宮本 和実 提出先 内閣総理大臣  法務大臣  衆議院議長  参議院議長