議員提出議案第17号 年金制度の抜本的再検討と国民的議論の促進を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和7年9月22日 提出者 調布市議会議員 川畑 英樹 賛成者 調布市議会議員 澤井 慧 同 青山 誠 同 古川 陽菜 同 山根 洋平 年金制度の抜本的再検討と国民的議論の促進を求める意見書  2025年の通常国会において成立した国民年金法改正案は,政府・与党及び一部野党の賛成により可決されたものの,我が国の社会保障制度の根幹をなす年金制度において,看過できない問題点を内包しており,国民の生活に多大な影響を及ぼすことが懸念されるものとなっている。  今回の改正案は,マクロ経済スライドの継続により,年金水準の実質的な低下を食い止める抜本策を欠いている。多くの年金受給者が物価高騰に苦しむ中,年金が物価上昇に追いつかず,実質的な価値が目減りしていく状況は容認できるものではない。現行のマクロ経済スライドの枠組みでは,将来にわたる国民の安心を保障することは困難であることから,年金水準の底上げを図り,実質的な給付水準の維持・向上を目指すべきである。  また,今回の改正案では現役世代の将来不安を払拭する具体的な施策が不足している。国民年金の拠出期間延長は,将来の給付増額につながる可能性があるものの,現役世代が抱える「将来の年金は本当に受け取れるのか」 「給付水準は維持されるのか」といった根源的な不安に対して,明確な回答を示すものではない。単なる負担増ではなく,確実な給付増に結びつけることで,世代間の公平性を担保し,制度への信頼を回復すべきである。  さらに,今回の改正は,抜本的な制度改革の機会であったにもかかわらず,その機を逸したと言わざるを得ない。少子高齢化が加速する中,年金制度は常に持続可能性が問われているにもかかわらず,国会での審議時間が短く,国民的な議論が十分に尽くされないまま成立したこと,そして多くの検討項目が残されたことは,将来に向けた責任を先送りするにほかならない。現役世代の負担と給付のバランスを見直し,誰もが納得できる制度へと転換する機会を逃していると言える。 以上の理由から,国民年金法改正案が国民の生活と将来の安心を保障するために不十分であることを強く指摘するとともに,政府及び国会に対し,国民年金制度の抜本的な再検討と,全ての世代が安心して暮らせる持続可能な社会保障制度の構築に向けた国民的な真摯な議論を促すよう強く要望する。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和7年9月 日 調布市議会議長 宮本 和実 提出先 内閣総理大臣  厚生労働大臣  衆議院議長  参議院議長