令和7年度調布市高齢者福祉推進協議会(第1回)    令和7年6月12日(木) 午後6時30分から午後8時30分まで       調布市文化会館たづくり12階大会議場 1 開会 2 新しい高齢者福祉推進協議会体制について (1) 委員・モニター員の紹介 (2) 事務局体制紹介 3 報告  令和6年度推進協の振り返りと令和7年度年間計画について 資料1・2 4 顧問講話 (1) 内藤顧問 ・第1期調布市高齢者総合計画(平成12年度〜16年度)にみる介護保険制度への移行準備−市民参加による制度・体制の構築−                ・調布市高齢者総合計画:第1期から第9期への変遷     (2) 市川顧問  ・調布ゆうあい福祉公社・調布市社協の歩みから,調布市の高齢者福の 歩みを検証する          ・補足資料  5 その他  6 閉会 議事録 1 開会  委嘱状の机上配付をもって,新委員に委嘱。欠席者2名及び傍聴者4名の報告。 配付資料の確認。福祉健康部長より開会の挨拶。 2 新しい高齢者福祉推進協議会体制について (1)  委員・モニター員の紹介     委員・モニター員の自己紹介  (2) 事務局体制紹介 事務局自己紹介 3 報告   令和6年度推進協の振り返りと令和7年度年間計画について 事務局  『令和6年度推進協の振返り』と『令和7年度推進協年間計画』について,まとめてご報告いたします。  資料1をご覧ください。第9期総合計画では,各施策について,具体的な評価指標を定め目標値を設定しています。  この評価指標は,本年度行います各種アンケートから設定している項目が多いため,実績値が令和6年,昨年度の段階ではわからない項目が多いのですが,実績値について,目標値に近い数値が確認できたものをご報告しながら,昨年度の振り返りをしていきたいと思います。  昨年度は,第9期計画の初年度として,第2回,3回で重点施策に掲げた施策の中から,4つ,高齢で元気な方も,認知症の方も,医療と介護が必要な方等もみな,住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを続けることができるよう掲げた施策,介護予防の取組と生活支援の展開,認知症施策,医療と介護の連携促進について,また第4回では,第8期の介護保険事業についてと,介護人材の確保・定着について,を議題としました。  第2回議題の,介護予防の取組と生活支援の展開は,高齢者ができる限り元気に自分らしく地域での暮らしを続けられるよう,専門職と連携しながら,地域の実情や住民のニーズに応じた通いの場を普及,展開することが重要なことから,「活動場所・グループへの支援」,「自立支援・重度化防止の推進」,この2つの施策を柱にした事業の展開について,ご報告し,ご議論いただきました。評価指標はいくつかありますが,その中から介護予防の取組指標として資料1にあります,ポピュレーションアプローチと生活支援の展開の指標「常設通いの場」については,令和6年度の実績値を確認でき,目標値に近い,または目標値を達成しております。  第3回の議題は,認知症施策,医療と介護の連携促進でした。2019年に国が策定した認知症施策推進大綱を受け,昨年1月に施行された認知症基本法は,認知症の人も,そうでない人も,お互いを尊重し,支え合うという共生社会を主軸に置いたものになっています。認知症の当事者・家族が住み慣れた地域で暮らし続けられることを目指した,調布市での取組を報告しました。医療と介護の連携促進では,医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が,住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,在宅医療と介護を一体的に提供する体制構築に向けた取組,ライフサイクルの中で起こり得る節目となる日常の療養支援,急変時の対応,入退院支援,看取りの4つの場面を意識した取組などについて報告しました。具体的な取組として,将来どのような医療や介護を受けたいかなどについて,本人,家族や関係者が繰り返し話し合う「アドバンス・ケア・プランニング」,その地域住民への普及啓発としての,もしバナゲームを使った普及啓発プログラムのお話は記憶に新しいかと思います。指標としましては,認知症施策の推進について「認知症サポーター養成講座の受講者数」が令和6年度で目標値を超えており,やはり認知症については注目されていることを実感しています。  第4回は第8期介護保険制度の報告と人材の確保を議題に,皆様にご議論いただきました。    いずれの議題も,大きなもので,市だけで関連する課題を解決するのは難しく,関連部署と連携していくもの,市として取り組む推進協でご議論いただくべきものなどを分けながら,今後も進めていければと思います。  資料2になりますが,今年度は,第9期高齢者総合計画の2年目として,昨年度まだ議題に上げていない施策を中心に,第2回から4回まで,表にある議題について報告し,皆様に各種施策に係るご議論をお願いする予定です。      また,昨年度議題としました,「認知症施策」,各議題の中で課題としてお話のありました「孤立・孤独」についてなどは,独立したものではなく,本年度に上げておりますどの議題にも関わり,継続して議論していくべきものですので,各議題の中で触れていければと思います。    第3回の「地域包括支援センターの機能強化」では,議題として頭出しをしていない残りの施策,「情報提供と相談体制の充実+地域の見守り体制の充実+虐待防止,権利擁護の推進」なども含めて報告する予定です。また,本年度の各議題については,今後の進捗状況などにより,報告回が変更になることもございますので,ご了承ください。      話が資料1に戻りますが,本年度の議題「地域包括支援センターの機能強化」「ケアラー支援の充実」につきましては,指標の中で,目標値に近い,または到達したものがありましたのでお示ししています。  また,本年度の各議題については,今後の進捗状況などにより,報告回が変更になることもございますので,ご了承ください。  最後に,各回の議題に「その他,各種調査等」を挙げています。今年度は来年度の計画策定を見据え各種調査を行う予定ですので,都度,内容検討や進捗状況等の報告ができればと思います。       年度末には計画骨子(案)を作成予定ですが,昨年度に策定された認知症施策推進基本計画についても計画に反映できるよう,検討していく必要がございます。委員・モニター員の皆様と現状の情報共有を図るとともに,議論を通じて得られた貴重な御意見・提言等を計画・施策に反映していきたいと考えております。 本協議会の設置条例に,『市民と行政が一体となって総合的な高齢者福祉を推進することを目的に,相集い(あいつどい),情報を共有し,協働して課題解決にあたる』とあります。  今年度もこの原点に立ち返り,推進協を開催していきたいと考えておりますので,皆様の引き続きのご理解・ご協力を賜りますようお願い申しあげます。 会長  ありがとうございました。今のことに関して何かご質問とかご意見ありますか。よろしいでしょうか。     それでは次の議題,顧問の講話に移りたいと思います。今日の講話は顧問のお二方にお願いしております。顧問のお話の中で使用されるのは「調布市高齢者総合計画第1期から第9期への変遷」というものと,もう1つが「第1期調布市高齢者総合計画」という2つを資料としていただいております。それでは顧問よろしくお願いいたします。 顧問  皆さま,こんばんは  今日は私から話させていただいて,その後,顧問からも続きのお話がありますけども,何かといいますと現在,調布市のさまざまな福祉政策の歩みと歴史を振り返ろうという研究会がございまして,その高齢者福祉の部門で今までの歴史を振り返ってみようということで,私のほうは介護保険制度が始まったところから9期計画まで現在あるわけなので,27年ももう経ってしまいまして,次の10期には30年が経過するということで,1期計画をまず振り返ってみようということをしました。と申しますのは,1期計画はそれまで介護保険制度がなかった状態から,それまで行政主体で行っていたサービスが契約,そして民間中心のサービスに移行して,今では当たり前になってしまいましたけど要介護認定という新しい仕組みができて介護サービスが提供されるというところだったわけです。そこを振り返ってみて,先ほど来ずっと市の方からのご発言もありますけど,市民参加を重視するというのが調布市の伝統的な方向性で,それがどんな形だったのだろうかということを振り返ってみるということをしてみたので,それをお話したいと思っております。  まず計画策定委員会というのが設置されました。これはこの委員会と同じようなものですけども,そこにありますように実は公募委員が10名,そして専門家であります医療・保健・福祉の事業関係者が11名,学識経験者2名,市職員2名ですから,学識経験者と市職員の方を除くとほぼ同数で始まった。公募市民の方の人数が非常に多い状態で始まったというのが策定委員会の大きな特徴ということがあります。  計画がどんな構成になったかといいますと,今は大体1冊の計画になっているのですが,第1部という全体の基本方針を書いたものと,第2部という計画の詳細を書いたものと,それから第2部のほうは介護保険事業計画と老人福祉計画というものを含んでいて,それに「資料編」というのが付いているのが非常に重要な特徴です。「資料編」とは何かといいますと,策定委員会および委員からの提言があります。市民委員の皆さまの個人名を記した署名原稿として意見が述べられているというのが非常に重要な特徴です。もちろん計画本体に,後でどんな意見があったかご紹介しますけれども,その意見の全てが反映されないということをもあって,資料編が付いたというふうに思いますけれども,それぞれの委員の方,特に市民委員の方の意見が公表されているというのは非常に重要な特徴だと思います。  当初の介護保険事業計画,老人福祉計画もそうですが5年間の期間をつくることになっておりまして,5年間のうちの最初の3年間が介護保険の運営期間になっていました。途中から3年ごとにつくることになっています。当初の計画の基本理念,3つの柱というのがありまして,1つ目は「個の確立と尊重」ということで,市民一人ひとりが自分の意思と選択に基づいて自立した生活を送れる社会の実現ということで,これは介護保険制度に変わってサービスを選択するためのケアマネジメントも導入されたわけですけれども,そこが反映されているということでありました。また一方で「住みたいと思う地域環境の創造」ということで,地域ということがこの段階から出てきていまして,一方でまた「地域社会の参加と責任」ということで,これは後でご紹介しますけども市民,事業者,そして行政が役割を分担して支え合うという形が示されているのが特徴になっています。  いろいろあるのですが,9つの基本目標というのが最初に掲げられまして,その1番に「権利の保護」というのが挙げられています。先ほど申し上げましたように,それまで行政が実施主体として行っていたサービスが民間の指定事業者に移るというのが介護保険の非常に重要な特徴ですので,そういう意味で利用者となる方の権利を保護するというのが一番最初のところに出てきますし,後でご紹介しますが市民委員からの非常に強い要望でもあったということがあります。  2番目に在宅生活の重視ということで,これは前の段階から高齢者の保健福祉施策,あるいは介護政策が在宅サービス中心ということに移行していましたが,いよいよ介護保険制度が始まるに当たって在宅生活をどう継続するかというのが大きなテーマになっていますので,それが反映されたものです。  3つ目が予防・リハビリテーションの充実ということで,介護保険制度に当初から入れられていた理念でありますけれども,要介護にならないように予防するということで,要支援という仕組みもつくられましたが,その要支援のさらに前の段階を予防するというような概念もこのときに介護予防として導入されたということがあります。というのは,このとき実は懸念されていたのが要支援認定の基準が一体どこになるかというのが始まるまで分からなかったので,要支援認定で切ったときに,それまで市がいろんな施策の対象として支援をしていた方が本当に介護保険の対象になれるのだろうかということが全国の市町村からは懸念が寄せられていて,そのために要支援の前の段階の介護予防という概念が取り入れられたということを反映していますし,もちろん介護サービスももともと福祉出身のサービスと医療出身のサービスと一緒に行っていますけれども,当時は福祉系のサービスは行政が,医療のサービスは医療保険でということになっていましたので,医療保険の介護サービスと合体することで,高齢者のリハビリテーションが介護保険の中に入ってきたというようなことが反映されているものになっています。  そして4番に,これは権利保護にも関係していますが,サービス選択の支援をするということが挙げられています。以前はもちろん若干選択できるという余地はあるのですけれども,基本的には行政がサービスの決定をするというスタイルがとられていましたが,介護保険制度になりましてサービスを利用者がみずから選択するということになりましたので,新たにケアマネジメントが導入されたということになっているわけです。この計画が立てられたときにはまだないということで,どんなものになるのかというのは,この時点で皆さんが不安に思っている点でということで,目標としてサービス選択の支援がきちんと行われる,ケアマネジメントがちゃんと行われるということが掲げられているということです。  5番は福祉の視点の共有化ということで,介護サービスに移管するけれどもやはり福祉的視点をしっかり持っていこうというようなことが掲げられています。また一方で施設については安全,快適なというようなことが挙げられています。  そして7番,これが非常に重要なポイントですけれども市民参加の支援をしていこうということが目標として挙げられています。8番には民間事業者が参入するということで効果的・効率的なサービス提供が行われるということと,一方で9番には行政による基盤整備と計画の遂行。行政も基盤整備をしていこうということで,7,8,9がこのスタイルなのですが,市民参加と事業者と行政ということが掲げられているようなものになっております。  この高齢者福祉,介護保険推進体制というのが計画の最初に述べられていまして,レベル1,最初に述べられているのが市民,専門家による活動体がここに関わってくるということが述べられています。介護保険調布市民の会というのができました。これは先ほどの策定委員会の市民参加された方が中心となってつくられたもので,単なる集まりではなくて苦情の受付とか,情報提供とかを担う組織です。それから介護支援専門員調布連絡協議会,ケアマネージャーの方の団体,それからこのときは(仮)になっています,この後できるわけですが介護保険のサービス事業者の連絡協議会ができたということになります。  レベル3が行政ということになりまして,高齢者福祉課を中心とした関係課がここに参加する。真ん中のレベル2が何かというと協議体ということで今,会に引き継がれている調布市高齢者福祉推進協議会ということになっているわけです。市民,専門家による活動体と行政が一挙に集まってさまざまな協力体制,協議をする場として協議体というのが設定されているということになります。  今申し上げましたように,介護保険調布市民の会というのは市民による苦情の相談,サービス評価,市民の立場からのサービス監視というような言葉も使われていて非常に強い役割が期待されていたものになっています。介護支援専門員の協議会のほうは今も続いていますけど,介護支援専門員の方は研修,情報交換,専門性の向上ということですし,サービス事業者の連絡協議会は,これもサービス事業者が一義的には介護保険制度では苦情を受け付けるということになっていますので,そういうものを調整するというような対応をする,それからサービス向上,研修,連携をするという役割があります。特徴としては主体的な活動を民間として行うということで,自主運営を目指すのですが行政との連携を保とうということが掲げられているものになっています。  レベル2が協働体ということで,これはプラットフォームという言い方をあえてしているところが非常におもしろいところです。中ほどにも書いてありますけども,ドイツの事例を参考とした行政と民間の協働の場,コ・プロダクトの場なのだというふうに定義されております。当初は3つの部会が中に設置されておりまして,苦情対応研究調整部会,これは苦情対応の調整を実際にするという役割を担っています。それから高齢者施策調整部会,これは介護保険サービスと一般施策の調整ということで,今ここで議論しているものに近い形だと思います。そしてもう1つ,高齢者総合計画推進モニター部会ということで事業計画の推進を見ていくということで,現在は苦情対応はあまり取り扱いませんけど2番と3番の機能が現在の協議会の主な機能になっているということだと思います。行政には当時は介護保険課はありませんでしたので,介護保険課が新設されるということです。  そして先ほど申し上げましたように権利保護と苦情対応を重視ということで,1番目の課題として挙げています。多様で重層的な苦情対応体制を構築して,被保険者が複数の窓口から適切な申立てを選択できるシステムを整備するということで,多様な苦情対応,権利保護の仕組みを持とうということなので,先ほどの市民,専門家による活動体が苦情対応の形になって,市の窓口でもちろん直接的に苦情も受け付けるし,福祉サービス事業者はもちろん事業者レベルで受け付ける,そしてまた国民健康保険団体連合会が介護保険制度で苦情の対応をするということになっているので,それを書かれています。そして在宅介護支援センター,現在は地域包括支援センターになっておりますが,この当時はまだ在宅介護支援センターということで相談を受け付けるものとして設定されています。そして特徴的なのが福祉オンブズマンというのが介護保険制度の施行に合わせてつくられたということがあります。独立性を持った苦情の受付機関というようなものです。  解決困難案件はどうするかというと,解決できない場合,あるいは共有すべき課題は先ほどの高齢者福祉推進協議会の苦情対応研究調整部会で取組むという体制がとられていたというわけです。今申し上げた福祉オンブズマンという仕組みがありますが,実は福祉オンブズマンという仕組みは介護保険制度の始まった2000年のときに合わせて全国の幾つかの市町村でつくられたものになっています。ただしオンブズマンという名前が付けられているところは限られていて,苦情解決委員会とか,そういう名前が付けられているところが多いですが,ここは非常に独立した組織という形をとるということでオンブズマンというものができました。またオンブズマンも関与解決型と単に受け付けて関係部署に投げていくというタイプのオンブズマンがありますけども調布市のほうは関与解決型で,ここで解決するというオンブズマンでしたので,非常に先進的な仕組みが取り入れられたということがあります。2000年の4月に福祉オンブズマンができたのですが,実は2年後には一般オンブズマンである調布オンブズマンに移行しています。最初は福祉,介護保険というものの苦情を受け付ける,解決するということで始まったのですが,もう2年後には福祉制度に限定しない一般行政オンブズマン,行政に関することは何でも受け付けるというものに移行しているというのも特徴ということがあります。  役割としては市民からの苦情を広く受け付けて,調査をして,迅速対応をするという仕組みになっているわけです。ここに実はオンブズマン制度が権利擁護の重要な柱として位置付けられて,市民の福祉サービスのアクセスと質の向上を促進して,将来的には成年後見制度との連携や,地域包括支援センターは当時ありませんけど,地域包括支援センターとの協働によるものを目指すというものになっているわけです。在宅介護支援センターは当時4カ所あったのですけども,成年後見制度の改正に対する対応というのが書かれています。というのは,これも2000年の4月から現在の形の成年後見制度に変わったということがありますので,それを見据えて市もそこに関与していくということが書かれていまして,それがこの1期計画にはまだ計画段階という記載はないのですけれども,多摩南部成年後見センターの設立につながっていくということがあります。平成12年より前につくられたものですので,12年が始まったところで調布市利用者保護施策調査検討委員会というのが設置されて,近隣7市がオブザーバー参加をしているということがあります。翌年には調布市において6人のモデルケースに対して,調布市の社会福祉協議会がモデルサービスを提供して,引き続き近隣市はオブザーバー参加,14年には7市も正式参加になりまして,7市全部で24人のモデルケースに対して調布市の社会福祉協議会が主導して成年後見の支援をするというのが行われてきている。平成15年には多摩南部成年後見センターが設立されて,この年には活動が始まったということで,成年後見センターは調布市に設置されているということで分かるわけですけれども調布市の社会福祉協議会が中心にこれをつくったという,非常に力量が高かったということが示されるわけです。  そしてもう1つ重要なのは市民参加ということで,この計画には保険自治という言葉が使われています。保険制度であるのだけれども調布市が独自の形でやっていくために自治ということであるし,市民参加というのが非常に大事だという位置付けがあります。介護保険制度は市町村を保険者とする社会保険制度であって,調布市民のための保険制度ですということ,それから保険料と給付の関係を理解し納得して保険料を納めていただけることと,一方で被保険者,市民の方も保険制度の運営に参加し,意見を述べ,提案し協力することが求められるというのが策定委員会や現在の協議会における市民参加の基本になっている考え方となっています。  どんな役割が期待されているかというと5つ挙げられていまして,政策決定への参画ということで策定委員会に参画,協議会にも皆さん参加されているということでもあります。そして市民によるサービス提供活動というのもありまして,これは後で市川先生からゆうあい福祉公社の活動ということになりまして,訪問家事,介護とか,移送,配食があったわけです。そして情報伝達のパイプ役というのも期待されています。市民による情報提供や苦情の代弁,サービスの評価をする,市民学習を促進する,そういう役割が期待されていたということです。  公と民の役割分担として情報公開をする,基盤整備する,質と量の確保をする,それから介護保険サービスを補完するサービスをするというのも公の役割ということになっています。利用者が自己の選択によってサービスを利用する介護保険制度の役割というのが4つあるということになります。もちろん事業者はいいサービスを効率的に提供するということになっているわけです。  ということで,こういう計画が立てられて市民参加が非常に強調された計画になっています。介護保険法にもこういった計画をつくるときには市民の意見を聞くということが掲げられていますので,それが前面に押し出されたものになっていることです。それは後で顧問からさらに前から始まるお話があると思いますけども,伝統的に介護保険制度に移行したときも市民参加ということを非常に重視していたということが表れていたのではないかと思います。平成12年より前ということですから2000年ですので,既にもう25年が経過しています。私は1997年,1998年,厚生省におりまして,介護保険事業計画をどうつくるかという,スキームをつくるという担当官をしておりまして,いろいろなところの計画を見ていますけれども市民参加を強く押し出しているというのが調布市の最初の計画の重要な特徴だということがあります。  この後,資料編としての市民委員からの提言というのをぜひご紹介したいと思ってまとめています。これは個々の発言をまとめているものなのですが,お一人お一人の名前は先ほど言いましたように報告されています。まず,そもそも介護保険制度は始まっていないのですが,介護保険制度の根本的見直しをしろという意見が載っています。市民委員の多くは介護保険制度が高齢者の実態に即していない,特に介護認定から外れる高齢者や低所得者層の人たちの配慮が不十分なので,そこが懸念なのだと。介護認定について見直して,介護を望む全ての人にサービス提供をされるように法改正を求めるという声もあるということで,なかなかこれを計画に書くわけにはいかないので計画本体にはないのですが,これがしっかり資料編に載っています。それから低所得層への支援強化ということが書かれていて,介護保険の導入によってサービス利用時の1割負担が生じるということになりました。それによって低所得層が必要なサービスを受けられなくなるという可能性が指摘されていまして,救済措置を何年か設けるということとか,一般財源を使って同じサービスを保障するべきだとか,それか生活保護制度を改善するとか,非常に大胆な意見がここに述べられているものになっています。  そしてやはり地域の支え合いシステムを構築するべきなのだと複数の市民委員から小地域のネットワークをつくる,ボランティア組織を小学校区ごとに立ち上げるとか,そのための住民活動支援制度をつくって1団体200万円ぐらい出すとか,なかなか大胆な制度の提言も載っています。市内20カ所程度の小地域ネットの設置とマンション1棟の活動拠点をつくってほしいとか,それからグループホームとか通所サービスももっと充実させてほしいというようなことが書かれています。  そして次に情報提供と相談体制を充実してほしいということで,市民サイドに立った介護保険のQ&Aをつくってほしいという要望があって,これは今,調布市でも出していますが介護保険の Q&Aとかガイドにつながっているものだと思いますし,また高齢者福祉の便利帳,市民パンフレットを作ってほしいというようなことがあります。そして相談体制としては先ほどご紹介しました介護保険調布市民の会,市民が自主的に行う相談窓口というのを設置してほしいということと,市民が介護施設等を体験するような機会をつくってほしいというようなことが提案されています。  それから制度の透明性を確保してほしいと。例えば審査会でどんなことをしているかを知りたい,もちろんプライバシー保護が前提ですけど,そういう意見とかです。それから先ほどご紹介しました市民オンブズパーソンの創設をしてほしいというようなことも,先ほどのオンブズパーソンは12年からつくられたわけですが,その前から市民委員からの提言の中にも含まれています。そして介護保険事業の継続というのはモニタリング評価をしていくべきなのだということです。家族介護の支援についても提案されています。本体のほうにはそれほど大きな内容としてはまだ第1期計画では取り上げられていなかったということがありますが,介護保険制度導入後も家族介護に依存するという現実から目をそらすべきではないという指摘がありまして,現実的かつ即効性のある制度にしてほしいというわけです。  そして市民参加を実質化してほしいと。こういう形で今残っているわけですけども,市民の意見をちゃんと反映させる仕組みづくり,それから行政と対等に議論できるための学習機会をつくってほしいということとか,市民参加が形式的なものに終わらないように継続的な取り組みをしてほしいというようなことが提言されているものになっております。  そして自立高齢者の予防的施策をしてほしいということもありました。先ほど申し上げましたが,要支援があって,要介護があって,でもその前に要支援にもならない方,要介護認定で自立と判定された高齢者や,あるいは要支援の方も含めて支援が重要ということで,ちょうどこのときに介護予防という概念が提案されました。介護と介護予防は両輪なのだということが言われるようになったわけでして,その介護予防の施策を充実してほしいということで虚弱高齢者への支援,それから新サービス開拓ということでミニデイサービスとかサロンとかといったようなものもつくってほしいというような提言をされています。  ということで,市民参加が徹底されているというのが非常に重要な特徴で策定委員会の全メンバーで見ても40%は公募市民であるということで,現在の名簿の数からいくと,数の問題ではないかもしれませんけれども,モニター員の方が少ないというふうになっております。そして市民,専門家による3つの活動体が重要な役割を果たすのだということが言われています。その1つに市民の自主的な団体というのが反映されていて,今ご紹介した市民委員からの提言,なかなか大胆な意見も含められていて,大胆な意見も計画に載っているというところが重要なポイントで,もちろん行政計画ですから介護保険を改正しろとかは計画に書けないのはそうなのですが,しかしそこまで意見を言って,それを掲載するということは許容しているからこそ非常に幅広いいろんな意見が出て,議論が活発化して,そして市民委員の幾つかにあったものは実際の計画に反映されているという形になっています。  重層的な支援体制もこの段階から3レベルでの推進体制,多様な苦情対応窓口,権利擁護の重視というようなことが掲げられているのも特徴です。そして先進的な制度導入,福祉オンブズマンもそうですし,成年後見の準備もそうですし,そして協議会をプラットフォームだと位置付けているということも非常に重要なポイントだと思います。  何と言ってもやはりこの段階では,包括的というのは今の用語ですけど,介護保険と老人保健福祉の統合ということが図られたということで,実は要介護認定が始まってみたら要支援の下限というのはかなり下に置いたのですね。それによって,ほぼ要支援で網羅できるけれども,それでも外れる人がいるという段階で数年間,地域支援事業というのを今ここで議論を中心にされていますが,それが始まるまでは一般財源を使った事業というのは残されていて,それが地域支援事業に移ってきたという仕組みになっているということです。予防重視ということが言われましたし,住民参加を含めた地域ネットワークの重視というようなことが1期計画から述べられているのが非常に重要な特徴だということがあります。  1つ目は以上でございます。もう1つございまして,これは簡単にお話ししたいと思いますけれども,私は何をしているかといいますと,第1期から第9期計画まで全部を並べてみようということをやっておりまして,私の人力でやるのは大変なので,AIに全部を読み込ませまして,AIで整理させて1期ずつ比較しているという作業を今しているのですが,それを全部ここでご披露するわけにはいかないので第1期と第9期,最初と現在を比べてみました。  まず理念,先ほど言った第1期の理念は3つなのですが,現在第9期の理念は全体の大きな理念として「長生きしたいと思えるまち 長生きしたいに応えるまち ちょうふへ」と,まちということが強調されています。自分らしく暮らし続けられる,そして共生社会,支え合い,包括的支援体制,そういうまちぐるみの共生社会ということが強調されたものになっているということがあります。  これはちょっと時期がずれていますけども高齢化率が非常に大きく伸びているというものを示しただけです。  第1期のサービス整備は,まだそのときなかった介護保険のサービスを充実させるということが当然ながら中核になっていました。特に訪問介護と訪問看護を劇的に5年間で増加するということが掲げられたものになっています。これは介護保険制度が始まったときに「保険あってサービスなし」ということがさんざん言われましたので,そうならないようにということだったわけです。しかし,現在第9期は地域包括ケアであるし,介護予防が重視されたし,また認知症施策,ケアラー支援, そして医療介護連携といった非常に総合的なものがサービス整備の中で重視されているという形になっているということであります。変わってきたわけです。  そして第1期の推進体制は先ほどご紹介した市民による3つの活動体,行政,その協議体であるプラットフォームということだったのですが,現在は市全体を通しての地域包括支援センターがあり,そして協議体活動とありますが,今はこの会を協議体と呼ぶのではなくて,地域支え合い推進員の方が中核となって,地域でのことをいろいろ地域の中で話し合うという仕組みができて,そしてまた分野横断の重層的支援体制というのもできてきている,多機関協働がそこによって行われているという形で非常に広がっていて,変化の特徴も幾つか書きましたけれども機能中心の体制,住民主体の支援を推進するというのは同じなのですが,住民の方が参加するようなものがより中核に置かれてきたということと,全世代・全対象型支援,高齢者特化ではないということで,そしてまた8つの福祉圏域ができたということで効率化されたということになっているわけです。  第1期になかったけど第9期になって出てきたものです。第9期になって急に現れたわけではなく第9期になるまでに現れたものですが,認知症施策の推進,サポーター養成が始まり,初期集中支援チームが置かれ,認知症カフェが行われ,予防検診なども行われている。最初は介護サービスによる個別支援だったわけですが,それが社会的問題の解決に変わってきたということがあります。ケアラー支援がもともとケアラー支援もあったのですけれども,しかしそれが本人支援から家族,全体の包括的支援と明確に課題として位置付けられたということがあります。そしてICT活用ということが掲げられているというのも新しいところですし,また災害・感染症対策というのはコロナを機会に導入されたというのも大きな変化だということがあります。  市民参加が大きく変わってきたということがあります。大きくというか,発展・進化したと言ってもいいと思います。第1期計画での市民参加は先ほどご紹介したとおりですが現在,計画,実施,評価,全段階での参画ということで,特に実施,市民の方も参画したさまざまな活動,介護予防の自主的な活動でありますとか,あるいは生活支援体制とか,住民主体のサービス創出,それから地域づくりへの積極関与ということが言われるようになっていまして,調布ではセカンドライフ活動とか,地域支え合い推進員の方の配置,その中の協同体による住民主体の活動みたいなものがあるということになります。  継承されている要素は保険自治,これが地域共生社会における住民主体ということになりましたし,プラットフォームではなくてもう地域の中で1層,2層の協議体が置かれて,地域の中の参画というのが進められているということ。そして多様な主体が参画するということになりました。民間企業,NPO,ボランティアというものが全員参加していると。そして何と言っても調布の非常に大きな特徴が調布らしさの継承,発展,ゆうあい福祉公社というのがずっと住民参加の常に促進の役割になってきた。そして社会福祉協議会がさまざまなボランティア活動を支えつつ,先ほどご紹介したような権利擁護の活動などにも参加されてきたということです。シルバー人材センターなどもずっと活動を続けているということがあるわけです。転換とどんなことが行われたか,個別支援から地域システムに変換してきた,専門職中心だったことが住民協働に,高齢者特化から全世代型に,事後対応から予防重視に,縦割りから包括的支援,そんなようなことが行われてきたということがありますが,調布の福祉文化というのは継続してきたというよりは,むしろ成熟なのだということです。  この下の茶色い枠は私が言っているのではありません。AIにかけたらこういうふうにAIが言っております。AIというのはけなさない,褒める仕組みなので褒めているのですけども,私が見て駄目だというところは消してしまいますから,私もいいと思いますけども。  超高齢社会が進展していて,家族機能が変化して,ケアラー支援が非常に大事だということがここに現れている。そして地域コミュニティーの中での新しい支え合いの仕組みも必要になっているというようなことを指摘しています。調布は第1期の計画も非常に革新性が高いものであったわけですが,それが成熟してきたということで,また市民参加が20年以上かけて熟成してきたというのが非常に重要なポイントであって,それによって持続可能な高齢者支援システムの構築を目指すということが,この第9期の目指されることなのだというまとめがされるということでございまして,私のほうからのお話は以上でございます。  最後まとめでございますが,第1期計画は市民の方が相当いろんなことを言ってつくられた計画なのだということがはっきり分かりました。先ほど参事の方からもお願いがありましたように,市民参加の皆さまは今,介護保険制度も複雑かつ奇怪になってきまして,いろんな問題も山積みになっていて,なかなか分かりにくいところもおありかと思いますけれども,ぜひそれぞれのお立場で皆さんのご意見をこの協議会の中で言っていくということ,行政ができないことがあるかもしれませんが,そこは遠慮しないで行政はできないと言うだけのことですので,ぜひ忌憚のないご意見を言っていただくといいのではないかと思いました。以上でございます。ありがとうございます。 会長 それでは続けて市川顧問のほうから講話をお願いしたいと思います。 市川顧問 資料参照 会長    それでは質疑応答に移りたいと思いますけれども,ご意見,ご質問のある方は挙手でマイクを通じてご発言くださいますようお願いします。どなたか口火を切ろうという方はいらっしゃいますでしょうか。顧問の先生方のお話の中でも総力戦だということが非常に言われていたのですが,今日の話を聞いてもこれから人が減っていく中で,どうやってやっていくかというのが議題になると思いますけども,今日ちょっとお話を聞いていて,ああそうだよなと思ったのは顧問のお話の中でフレイルとか虚弱になる前の段階の介護予防ということを結構力を入れておっしゃっていたような気がするのですけど,そこら辺の取り組みとかということに関しては,これまでの調布市の第1期から第9期までの感想といいますか,それを含めて今後どういうふうに私たちはしていったらいいかとか,何か感想でも結構です。ご意見ございますか。 顧問  これは大課題なので大変難しいということがありますが,先ほどお話しましたように,介護保険が導入されたときは要介護というのができて,要支援の方は要介護にならないようにということをすると。どこが区切りになるかわからなかったので,その前の段階にもう介護予防という概念を置いたということが特徴だったということがありますが,ただ,ほぼ要支援に吸収されるということに事実上なったので,要支援の中でより介護予防に特化していくというのが平成18年ぐらいから行われてきたという,介護予防サービスに特化すると。その介護予防サービスに特化したときに一般介護予防ということで,以前の型のものができて,介護予防というのも明確にできたのですが,結局,何が問題だったかというと来る人には予防の効果があるけど,参加率が低いから市内全体としての要介護認定率が下がるかというと,そこまで影響がないと。全ての活動についても同じことが言えると思いますけど,参加する方はすごく限られていて,さっきの市川先生のお話にもあったように,孤立気味であるとか,完全に孤立しているかどうかは別にして社会参加しないとか,そういう方が実はリスクを持っていて,なので介護予防も途中からそういった活動,身体的な活動を上げるような活動を中心に,そうすると結局は多くの人が参加しないので参加しなければ全体としての効果がなくなるということがあるので,途中から今の居場所づくりとか,通いの場づくりに,あるいはいろんな人間関係の上で参加するということこそが介護予防だというふうになってきたので,一方で少し虚弱化してきた高齢者の方へのフレイル予防,もちろん心理的なものもあると思いますけども身体的なものに特化したものが一方で出てきたというようなことで変化してきたのではないのかというふうに思います。  いずれにしても結局,多くの人が参加をしないと市全体として要介護の人が減るとかという効果がなかなか出てこないし,今のところそこが達成するのが難しいということで,それが結局,孤立予防ということでもあるし,参加を促していく,参加ができる場を増やしていくとか,そういうことにつながってくるということなのではないかと思っております。 会長  ありがとうございました。確かに来たくない人を来させる工夫というのは非常に難しいと思いますけど,今日こういう会に積極的に来ていただける方々は決してそうではないと思いますけど,そういう掘り起こしをどういうふうにしていくかということが課題として残りますよね。計画が達成できていく中で,その数でいいのかどうかということも含めて今後の計画を見ていく必要があるのかなという気がいたしました。他,何かございますか。委員,お願いします。 委員  私も調布市に住んでまだ15年ぐらいなのですけれども,調布市に第1期からこんな先進的な計画があったり,住民参加の仕組みがあったというのを実は今日初めて知りまして,非常に興奮をしました。素晴らしいお話をありがとうございました。聞いてみたいことだらけなのですけれども,今の参加の問題でいうと,皆さん地域の場には出てこないのですけれども生活者として調布市に住んでいるとスーパーに買い物に行くとか,クリーニング屋さんに取りにいくとか,散髪しにいくとか,民間の場にはつながっているのかなと思って,もうちょっと民間と連携みたいなことはできないのかなというのと,今,住民主体とか住民のボランティアさんというのもすごく大事だと思う一方で,私もそうですが共働きは当たり前,今は定年が延長して,ちょっと前まで担い手だった前期高齢者の方々も皆さんお仕事をされていて,なかなか地域の場に出てきてくださらない,地域に帰ってくるころには既に後期高齢者みたいにだんだんなってきている中で,住民が主体的に何かボランティアとかで支え合っていく形というのはどうなっていくのかなというのは常々思っているのですが,先生方がどういうふうに未来を描いていらっしゃるのか,ぜひぜひ教えてください。 会長  どうもありがとうございます。それがどこでも解決できない大問題なのですけども,私の私見といいますか,私は実は全国食支援活動協力会というボランティアで食支援をする活動の中間支援団体の理事をもう20年以上やっておりまして,そこはもともとは高齢者の配食とか,会食の団体を支援するところだったのですが,20世紀の末ぐらいにそういう団体ができて,先ほどご紹介のあったゆうあい福祉公社が続いているというのは実は奇跡的なことであって,多くの老舗のボランティア団体がどんどんつぶれている。なぜつぶれているかというと,高齢者を支援するボランティア組織というのは,いわゆる専業主婦層の方がPTAの活動を母体にしてつくったものがそのころに起こって,そういう方々が今は結局,後期高齢者になってしまって活動が終わってしまったというところが非常に多く全国的にも出ているというような感じです。なので,なかなか高齢者向けのボランティアという人が高齢者の中からは出てこない。     どうしてそこが食支援活動協力会という名前に,もともと老人給食をやっていたところから変えたかというと,こども食堂がどんどん増えたからということでもあったりします。やることは実は同じなのですけれども,こども食堂をやるという方は山のようにいらっしゃる。なので,そこで今,何をしているかというと,こども食堂の支援もするのですけど,こども食堂をやるという方は地域のために何かやろうということを思ってくださった方なので,結局ボランティアなのでボランティアが例えば無理やり高齢者の支援もしなければ駄目よと言っても,やりたくないことはやりたくないので,何とかやりたい気持ちにして,こども食堂だけではなくて高齢者の方も集まれる地域食堂みたいなものに転換していくとか,あるいは行政も無理やり一緒にやるのではなくて,そういう仕組みの中で支援してやれるようにしていくということをこの団体でも進めていて,改めてボランティアとしてというか,地域のために何かしたいという方は地域に実は大勢いらっしゃるという事実があるので,そこを何とか協力してやっていくしかないので,顧問は総力戦だというふうにおっしゃるわけですが,だというふうに私は思います。 顧問  私自身が全国のボランティアセンター運営委員会の委員長を何年もやっておりまして,そこで見えるのはボランティアの方が減っているのです。これは事実,今みたいにおっしゃったとおりでございますが,しかしきっかけがあればやろうとする方はものすごく多くて,そのきっかけをどう提供するかが今の社協の1つのチャレンジをしているところなので,そういう意味ではボランティアが失敗したのは実は東京オリンピックの機会にパラリンピックとか,オリパラのボランティアを募集しようと東京都で準備していたのですけど,ああいう状態になってしまって,でも調べてみると結構いらっしゃって,パラリンピックに大分ボランティアが来て,その方たちが地域に広がってきている。だからきっかけ,いろんなところにボランティアがあるし,これをどう提供できるのかと。       それからもう1つ,介護保険の事業の中でいわゆる総合事業という事業があって,ボランティアをしたら点数が付く,それで何か買いたいという,ちょっとボランティアの変形したものを真似ているので多様なあり方をモニター委員の方々もこういうのは可能だよということを教えていただくと,そこで私たちが議論していくこと,そしてそれがそもそも介護予防になりますね。大事な社会参加は介護予防ですから,ということで私は皆さんからいろいろご意見をお伺いしていくと,かなりメニュー化して多様なものを見出していく,それを支援していくということが大事かなというふうに思っております。 委員  すごくそうだなというふうに思いました。きっかけというか,今Z世代なんかは割と社会的に役立つみたいなものを大事にしている世代もいらっしゃるので,そういう方々と上手に連携するとか,ボランティアをやりやすいように,またITを使うとか,いろんな方法があるのだななんていうのを今とても未来を感じました。ありがとうございました。 会長  ありがとうございます。モニター員,どうぞ。 モニター員  先生方の報告を拝見しまして,調布の活動が大変歴史があって重層的に取り組んでおられるなと。そういうことで私ども市民が恩恵を受けておりますので大変感謝しております。ありがとうございます。  私も調布に来て大変いいまちだなというのが実感でございまして,どういうところに魅力を感じるかというと,ゆうあいの皆さまが企画してくださった男の料理教室とか,そこから始まりまして,あと介護予防教室とか,ヘルパー養成講座とか,認知症サポート講座,あるいはシルバー人材センターでの活動とか,いろいろ一通り経験させていただきながら,私も80になりますので,まだ元気が多少残っていますので,ゴルフも駄目になって,テニスも足がつまずくようになりまして,もうたっぷり遊んできましたので,お手伝いができることがあればということで,こちらでのいろいろな体験を踏まえて今デイサービスセンターのほうで週に2日ほどお手伝いをさせていただいて3年目になります。大体80,90代の方が対象なのですが,私どもの同年代でございますので老老介護といっては何ですけれども,仲間内でのサポートをしていますけども,見方を変えると認知症の方はどんどん増えるのですが,増やしてしまっているといいますか,認知症にしてしまっているという側面もないではないなと思います。どういうことで感じるかと申しますと,話をする機会が減ってしまっているのですね。これは自発的なものもありますが,他動的な面もありまして,核家族化してお子様たちはみんな勤めに行ってしまっている,おじいさま,おばあさまたちが一人で留守番をしてテレビを友達に一日過ごしている。出歩くこともなくなってしまう。たまに日曜日に話をすると,おじいちゃん,また同じ話かよとか,おばあちゃん,また同じ話かよということで聞いてくれないと言うのですよね。それでどんどんどんどんこもっていってしまう。          そういう方が施設にいらして,私ども今,名古屋市がやってきて成果が出てきている地域回想法という名古屋大学のプログラムがございます。その真似事を始めてみているのですけども,そういう昔話を聞いてあげると大変喜んで,次から次に思い出話の話し合いなのですが,若い人はじれったくて耳にタコができているということで逃げてしまうのですが,我々同年代ですと,それがあまり苦痛ではないのですよね。昔話の君の名はの話とかをすると,98のおばあちゃまが君の名はを歌ってみたりとか,なるほどなということで,そういう面で私どもの若い職員の方は一生懸命やっておられるのですね。その上で人手が足りなくなって外国人の最近はインドネシアとかタイとか,ベトナムの方の手助けでようやく成り立っている。ところがどんどんどんどん認知症の対象の方は増えて介護する方は減っている。それが今の実態でございまして,どんどんこれが悪化している状態ですよね。          それで私どもが感じましたのは,我々同世代が70代を過ぎて,もうゴルフも飽きて,テニスも飽きてというのがごろごろしていますから我々がそういう点でお手伝いができるといいなと思って,まず自分で体験しようと思ってやらせていただいているのですけど,そういうことで若い方のサポートの負担を少しでも減らせるように高齢者,もしくは後期高齢者がもっと活躍しやすい,参画しやすいような仕組みがもっとできるといいなと思います。シルバー人材センターも所属して勉強させていただいていますが,ちょっとやはりまだギャップがある感じもしておりますので,そこをもう少し,先ほど先生がおっしゃっていたボランティア活動も含めて,献血制度というのがございますよね。将来,自分がけがをしたり,自分の家族がけがをしたときに献血しておいた分が回り回って役に立つ,そんな形でボランティア貯金のような形で将来の介護に対して,その介護が受けられるようなシステムができるといいなと思っていますけども,そういうことで先進的な北欧の制度とか,そういうところで事例があれば,またご紹介いただきたいと思っております。以上でございます。 会長  ありがとうございます。介護を受けている方に近い世代の方からのご意見というのはなかなか拝聴する機会がないのでよかったです。これからもぜひご意見をよろしくお願いします。  実際に介護を受けていらっしゃる方々とより密接に関わるというのは訪問看護の領域であったりとか,サービス事業者の方々なのかなという気がしますけども,今年度は少しご意見を承ろうと思いますけど,委員,訪問看護でいろいろな方々と接していて,どうしても訪問看護になると外に出ることが少なかったりとか,出られなかったりとか,そういう方々はやっぱり筋力の低下がフレイルとかに進んでいくのではないかと思いますけど,そういった方々の身体的な部分,心のケアでもいいと思いますけど何か取り組みをするとしたらどんなところが重要なような気がしますか。何かご意見あれば教えてもらえますか。 委員  ありがとうございます。介護保険サービス事業者連絡会から参加させていただいていますが,訪問看護のほうに従事しております。訪問看護には看護師もいますし,理学療法士さんとか,作業療法士さんとか,他のリハビリの療養士さんもいらっしゃるステーションもあります。実際にそういうふうに何かのきっかけで外に出られないとか,体力が徐々に落ちてくるという段階のところに先生の指示書をもらって,ケアプランにのっとって,また医療保険であれば医療保険で介入するのですけれども,状態を見ながら,先ほどおっしゃいましたその人の人となりといいますか,お話を聞きながら家族関係の中でその方の持てる力,あとその人がどういうふうにしていきたいかとか,そういうところをケアの中で関わりながら看護でできることは限られているので,いろんな職種の方とか,先ほどのインフォーマルなサービスもありますから,そういうところにつないでいくというか,看護だけでは無理なので,そういう形で看護で関わることが多いかなというふうに思っています。 会長  ありがとうございます。ACPとか,そういうのも活用して,その方の思いを十分くんでいて,より良い生き方を選択してもらうということ。 委員  持てる力をつないでいくという形で協力しながら,看護だけではちょっと難しいので,いろんな職種の方もいるし,専門の方もいらっしゃるので,そういうふうな形でつないでいけるような形で関わることが多いかなというふうに思います。 会長  ありがとうございます。今,訪問看護とか介護とかという話が出てきましたけど,そういった場面で豊富な経験が細谷副会長にあると思いますけど,こういったご高齢の方々を今までだと孤立がいけないというのは僕らもよく分かっていることですけど,それをどうやって外に出てきてもらうかということの中で多様性ですとか,きっかけが重要とかというお話がありましたけど,きっかけをつくっていくということに関しては何か重要なキーワードみたいなことはありますか。 副会長  普段は地域包括支援センターで従事させていただいています。私はときわぎ国領というところなので,多摩川沿いに沿った3つの小学校のエリアを担当しているのですが,比較的,見守りネットワークという活動が浸透していて地域の方々があそこのうちのおばあちゃんは最近見掛けないけどとか,スーパーで会ったら大分元気がなくてねという通報をいただくと,さりげなくそのお宅に伺ってチラシを投函したりとか,こういう10の筋力体操という体操を申し込みなしでやっているからどうぞ参加してくださいみたいな,そういうきっかけをつくることの活動をしているのですね。なので年間通して100件以上の通報をいただいていて,特に多摩川住宅という大きな住宅があったりしますので,あそこで孤立化が進んだりすることがないように,今までお世話をしてくださっていた自治会の方たちがかなり高齢になって世代交代をしている時期にもなってきていて,この70代のちょっとエネルギーのある方たちが団地の中全体を見渡してくれているというのがとても私たちには力強いというふうに思っています。映画鑑賞会をやったりとか,この間も靴を選ぶ方法とか,福祉用具をどういうふうに選ぼうかとか,そういうのをやると住宅の方がたくさん来てくださる。そういうチラシとかを本当にきっかけになっていただけたらいいなというふうに,もうこれでもかというぐらいに情報を提供させていただいているので,そこが実を結んでいけばいいのかなと思っています。  誰かがしてくれることではなくて,自分から積極的にそういう情報をキャッチしていかないと自分がフレイルになるよというのを,もうちょっと若い世代,40代,50代からどこかに感覚として持っていないと,やっぱり自分はいつまでも元気だよというのは全然もう幻のことで,徐々に徐々に本当に体力は落ちていきますので,まずは自分で何とかしようというところというのを市報とかでも啓発していく。あとは段階に応じて,それぞれの機関が協力しながら孤独にならないように,ご自身の意識とかを変えていけるようなことをしていくというのが大事かなというふうに思っています。         実際にエリアの中で残念ながら孤独死をされた方とか,通報をいただいても間に合わなかった方とか,そういう方がいらっしゃる中で私たちは多職種,いろんな方と協力しながら,せめて少しでも早く発見してあげられるとか,少しでも早く関わりが持てたら命を落とさずに済んだのかなというのを日々考えながら,包括支援センターというお仕事をさせていただいていますので,提供する側だけではなく,高齢になる皆さん自身もちょっと自覚をしていただいて,自分のことをまず分析してみていただいて,ちょっと引っ込み思案だけどこういうところへ行ってみようかなというのをチャレンジしていただけたらなというふうに思っています。 会長   ありがとうございます。僕も毎年,年を重ねているわけですから今までだったらつまずかなかったところでもけつまずくようになってきましたし,気を付けていきたいと思います。また,身の回りでこの人と思ったら気軽に包括に連絡して,その方がフレイルでもプレフレイルでもちょっと手を入るとまた元気を取り戻して健常な生活が送られるようになるケースも多々ありますよね。お二人のご高名な先生の前で言うのは何ですけど,例えば認知症の前段階にMCIというのがありますけど,MCIから認知症になっていく率よりも,MCIから正常になる率のほうが大きいので,ぜひ適切な介入があれば多くの人の健康がまた元に戻っていく。     今日お二人の顧問の話を聞いていて思ったのは,どうしても働き手が減っていくということは我が国では避けられないので,そうなっていくと介護が必要な人をどうしても減らす方向の取り組みをしていかないとどこかで破綻をしてしまう。介護の必要な方々にできるだけいい介護を提供するのは重要ですけども,その余力を蓄えるためには本来ならフレイルに行くはずの人をプレフレイルに,プレフレイルの人は健常にといった取り組みを強力に考えていかなと,なかなか絵に描いたモチになってしまうのではないかなというふうに今日感じました。     もっともっとたくさん他のモニター員の方々,委員の方々からご意見をいだきたいところではありますけれども時間のほうもありますが,何か気が付いたこと,言いたいこととか,思いとかあれば,委員にお願いしましょうか。 委員  今日はありがとうございました。ゆうあい公社が1985年からこのような活動をされていたということを僕は初めて聞いて素晴らしいことだなと思いました。大変なご苦労をされてきたのだなと。しかも2000年の介護保険制度がスタートして,それからもずっとやられてきた。ただ,今,民間の会社がいろいろ出てきているので,いろんなサービスをやってきているから,その辺りをこれからどう変えていくのか,それと社会福祉協議会とだぶっている部分もかなりあると思いますので,その辺りをうまく調整しながら,ぜひ引き続き頑張っていただきたいなと思います。        それと,ちょうど私も2005年ぐらいから介護の会社にそれから10年ぐらいいましたけど,そのころに多分,顧問も厚労省にいらっしゃったと思いますけど,介護保険が始まってちょうどそのときにWHOでICFという考え方が提示されて,それを日本語に訳していろいろやって,それができたのが多分2003年ぐらいではないかなと思いますけど,それから大川弥生先生なんかが非常に熱心に全国にこのICFの考え方を講演会でやられて,私もそれは非常にいいことだと思って社内にチームをつくって,ホームヘルパーまで全員にあの図が分かるように勉強会をやったのですね。それによって本当に共通の言語ができたということを私は思っています。それと同じことを介護だけではなくて,医療とか,薬剤のほうとか全ての方が共通の言語としてICFの考え方というのをぜひ調布市でもそういうことをすれば,何のために10筋体操をやっているのだと。筋肉をつけるためにやっているわけではなくて,参加するためにやっているわけですよね。最終の目標は参加すること。    私ももう75を過ぎていまして,耳も少し遠くなっていますけど,エアポッドの力を借りて聞こえるようになっているし,COPDも今,酸素をつけるものがあるので,そういうものを使いながらこういうところに参加できるというのは非常にありがたいことだと思っていますので,ICFというものの大切さをぜひ皆さんで共有していただけたらなと思います。以上です。 会長  ありがとうございます。顧問,何か付け加えることとかありますか。 顧問  どうもありがとうございます。ICFは大変重要で,まさに介護保険制度が始まってすぐに,どちらかというと障害者福祉の領域で開発されたと。リハビリテーションとかで,大川弥生先生はリハビリテーションなので,そちらで高齢者のほうにも普及すると。障害者領域ではもちろんこれは大事なのですけど,最近あまり高齢者領域では聞かなくなってしまったので,考え方はみんな一緒で,活動と参加がキーポイントなので,まさに今の議論と非常にマッチしているので考え方を共有するのもいいのではないかというふうに思います。 会長  顧問,ありがとうございました。少し時間も超過してしまいましたので,お二人の顧問,講話ありがとうございました。お陰様でいい議論ができたのかなと思います。議論といっても解決するということではなくて,皆さんと課題意識を持ってやっていくという,まさにスタートアップの会になったのかなというふうに思います。     それでは,以上をもちまして第1回高齢者福祉推進協議会を終了いたしたいと思います。長い時間どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。 6 閉会 - 1 -