陳情文書表(令和7年4月7日受理) 受理番号 陳情第27号 件名 国に対し適格請求書等保存方式(インボイス制度)の廃止を求める意見書の提出についての陳情 提出者の住所・氏名 ※非公開情報 付託委員会 総務委員会 ※原文のまま記載 (陳情趣旨) 令和5年10月、適格請求書等保存方式(以下、インボイス制度)が施行され、1年が経過した。しかし、この制度には多くの問題が存在し、事業者から深刻な懸念が寄せられている。埼玉県議会では令和6年12月、自民党県議団が提出した「インボイス制度の廃止等を求める意見書」が賛成多数で可決された。同意見書では、制度に起因する減収や税負担増による経営状況の悪化、経理事務の過大な負担を訴える事業者の声を具体的に紹介している。また、エネルギー価格や原材料費等の高騰により経営環境が厳しさを増す中、「制度そのものを廃止することが最良の策と言わざるを得ない」と結論づけている。 一方、自民党国会議員の約2割強が加入する「責任ある積極財政を推進する議員連盟」は、令和5年10月に「インボイスが原因で小規模事業者が減収や廃業に追い込まれないよう、抜本的な支援策を実施すべき」と提言。自民党国会議員の間でも以前から制度を問題視する声が上がっていた。さらに、自民党地方議員が共同代表を務める「積極財政を推進する地方議員連盟」は「共通政策提言」で制度廃止を掲げ、令和6年6月時点で全国 3 6 7自治体(自治体数の2割超)が制度の中止・延期・見直しを求める意見書の請願・陳情を採択している。 インボイス制度では、消費税の課税事業者が仕入税額控除を受けるには、取引先から適格請求書(インボイス)を受け取る必要がある。インボイスがない場合、税負担が増加する。一方、年間売上 1,000万円以下の免税事業者がインボイスを発行するには課税事業者への転換が必要で、収入が少ない事業者には重い負担だ。発行しない場合、不当な値下げや取引排除のリスクが生じる。 小規模事業者向けの補助金はあるが、申請が煩雑で、日々の仕事と生活で手一杯のフリーランスや個人事業主には利用しづらい。支援制度としての効果は不十分と言わざるを得ない。 「インボイス制度におけるフリーランス等 7,000人実態調査」(調査主体:インボイス制度を考えるフリーランスの会、令和6年3月22日~4月5日)によると、未登録事業者の45%が制度開始後に値引きや取引排除を経験。登録事業者の6割が「事業が成り立たなくなる懸念がある」「負担軽減措置終了後の目処が立たない」と回答し、6割超が費用を「売上や貯蓄で捻出」、7.4%が「借入で補填」と答えた。 この制度は、帳簿方式とインボイス方式を併用する世界でも稀な複雑な税制であり、新たな業務負担は人件費換算で月約 3,400億円と試算される。人材不足の中、生産性のない作業を強いる問題が顕在化している。 日本商工会議所は慎重姿勢を崩さず、全国青年税理士連盟、青年法律家協会、全国青年司法書士協議会も反対声明を発表している。 経済低迷下で始まったインボイス制度は、事業者の存続を危うくし、地域経済や社会に悪影響を及ぼす恐れがあると警鐘が鳴らされてきたが、それが現実化しつつある。 インボイス登録事業者に対する負担軽減・経過措置、いわゆる「2割特例」や「8割控除」は令和8年9月で終了する。さらに、令和11年10月にはすべての経過措置が終了となり、不況と物価高の中、インボイス制度による消費税の増税が中小事業者の死活問題となっている。 以上の状況から、小規模事業者の経営持続と地域経済の活性化のため、インボイス制度の廃止が最善と考えられる。よって、貴議会に対し、政府及び国会への廃止を求める意見書の採択・送付を陳情する。 (陳情項目)  政府及び国会に対し、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の廃止を求めること。 提出先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、総務大臣