令和6年度 第3回調布市高齢者福祉推進協議会 議事要旨   令和6年11月28日(木)午後6時30分から   文化会館たづくり 12階 大会議場 1 開会 2 議題 (1) 認知症施策の充実について (2) 医療と介護の連携促進について 3 事務連絡 4 閉会 1 開会 2 報告事項 (1) 認知症施策の充実について ○事務局  それでは,支援センター担当係より認知症施策の取組について御報告していきたいと思います。  まず初めに,認知症施策の国の動向についてのお話をしました後に,認知症の調布市での取組の状況について報告をしていきます。  まず,市の認知症施策を実施する上での基盤となる国の情勢を簡単に御説明します。スライド3ページ目になります。  2022年から団塊の世代が75歳に到達し始めており,2025年には,国民の5人に1人が後期高齢者,75歳以上という超高齢化社会を迎えます。  さらに,この超高齢化社会において,高齢者の5人に1人が認知症になると推計されています。誰にとっても身近な問題となった認知症に対して,国や国民全体に向き合っていくために,政府は2019年に認知症施策推進大綱という方針を策定しました。  この大綱では,認知症の人を単に支えられる側と考えるのではなく,認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるような環境整備が必要であると示しています。  今年の1月には,認知症基本法という法律もできました。認知症基本法の目的は,認知症の人が尊厳を保ち,希望を持って暮らすことができるよう,認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し,相互に人格と個性を尊重しつつ,支え合いながら共生する活力ある社会,つまりは共生社会の実現を推進することとしています。  認知症基本法は,認知症の人も,そうでない人も,お互いを尊重し,支え合うという共生社会を主軸に置いたものになっています。  この認知症基本法について,もう少し御紹介します。基本法には,7つの基本理念と基本施策がうたわれています。  基本理念では,1つ目に,認知症の人の意思を尊重すること,2つ目に,国民が認知症についての理解を深めること,3つ目に社会参加の機会を確保すること,4つ目に,保健医療,福祉のサービスの提供を行うこと,5つ目に,本人だけでなく,家族などにも支援を行い,安心して日常生活を送れるようにすること,6つ目に研究開発を推進する,最後,7つ目に,教育,地域づくり,雇用,保健医療,福祉,そのほか関連分野においての総合的な取組を行うことと規定しています。  この基本理念を基に基本的な施策が8つ挙げられ,取組の推進が求められています。  1つ目として,国民の認知症に関する正しい知識,理解を深めること,2つ目は,認知症の人が自立してほかの人々と暮らすことができるよう,バリアフリーな環境を整えること,3つ目は,認知症の人が生きがいや希望を持って暮らすことができること,そのための参加の機会を確保すること,4つ目が認知症の人の意思決定の適切な支援及び権利,利益の保護を図ること,5つ目は,認知症の人が居住する地域にかかわらず,適切な医療や福祉サービスを利用できること,6つ目が認知症の人及び家族の各種相談に総合的に対応すること,7つ目が認知症に関する調査研究を行う,最後,8つ目に,予防,早期発見,早期診断に取り組むことができるような施策,これらを実施することが挙げられています。  これらを指針としまして,各自治体が認知症施策の計画を策定します。  こちらの画面を見てください,こちらが内閣府の資料から抜粋しました65歳以上の認知症患者と有病率の将来設計が書かれています。赤い折れ線が認知症の有病率,緑が軽度認知機能障害,いわゆるMCIの方の有病率を表しています。  これを見ますと,緑のMCIの有病率なのですが,令和4年には15.5%であるのに対して,38年後には17.4という緩やかな伸びが見られています。それに対して,赤の認知症有病率は12.3%であるのに対して,38年後には5%増加する,緑との距離が縮まっていくという予測が出ています。  また,ピンク色の棒グラフは認知症患者数を表します。青がMCIの患者数。こちらも見てみますと,令和4年のグラフから,今後とも高齢者人口が増加していくことに併せて,さらなる増加をしていくことが予想されるという図になっています。  この図から,いかにMCIの方を悪化させないか,認知症を発症させないか,緑と赤の差を少しでも広げたままでいられるようにする予防の取組の重要性を読み解くことができます。  昨今,認知症の発症と糖尿病をはじめとしました生活習慣病の関係性が注目されています。青年期からの高血圧や高脂血症など,生活習慣病を予防することが高齢期の健康状態にも影響することは当然です。  また,MCIの方も適切な生活を整えることで,一程度の方が認知症発症へ移行することを予防できるという報告もあります。耳の聞こえの改善ですとか,人との交流の機会が効果的であるとも言われています。人生のどの段階でも予防的取組は大事なことだと思います。  もう一つ,この図から読み解けることは,人口の高齢化により,今以上に認知症,MCIの有病者数が増えていくことは必須であるということです。そのため,社会全体が認知症とともに暮らしていく体制を整えることがいかに重要かということを感じる,そういう将来推計だと思います。  来る将来に向けての調布市での認知症施策は,認知症版の地域包括ケアシステムの図の中では,赤い枠に認知症の取組についてを位置づけしています。  生活支援,重度化防止,それから医療とか介護の連携の推進,共生社会の実現に向けた取組の推進,これらは,認知症の本人が初期から最後まで,よりよく暮らしていくために非常に重要です。地域包括ケアシステムの構築と認知症予防の認知症施策を別々に取り組むのではなく,一体的に取り組んでいくことが重要だと思います。  続きまして,認知症の施策についての御報告です。  前提としまして,調布市の認知症施策は,調布市内の医療・介護職によって構成された認知症連携会議において検討を重ねて実践しているところですので,お含みおきください。  まず,認知症の正しい知識と普及啓発についての御説明をいたします。  認知症に関する正しい知識,理解を深めることを目的に実施している認知症サポーター養成講座の受講者の数はこのとおりです。受講者数の目標値は1万6,000人です。令和5年度時点でも1万5,415人が受講しており,年間1,000人ペースで増加していることから目標値も達成できる見込みです。  講座の開催回数や養成人数は記載のとおりになっています。また,認知症サポーター養成講座を受講した方を対象に,認知症の理解を深め,次の活動につなげることを目的としたステップアップの講座を実施しております。  今年度は,『認知症世界の歩き方』という本を題材にしたカード,動画を用いたワークや声かけ訓練を行いました。受講者は増加傾向にあります。認知症サポーターが地域で認知症の御本人や家族への支援ができるよう,実践的な学ぶ機会になっていると思います。  令和3年度より,毎年9月を認知症サポート月間と定め,普及啓発に取り組んでおります。地域包括支援センターに配置されている認知症地域支援推進員と連携し,普及啓発のイベントを実施しているものです。今年度もイベントを実施していましたので,幾つか御紹介いたします。  メインイベントとしまして,認知症シンポジウムを実施しました。117名が来場されました。認知症疾患医療センター青木病院の岩戸医師をお招きし,基調講演を実施しています。  休憩時間には,調布市訪問看護ステーション協議会や調布ケアラーの会クローバーの方たちによる専門職の相談コーナーを設けました。このほか情報コーナーと配食や地域の情報についての展示も行いました。  午後は,市内在住の当事者の方へのインタビュー動画を基に,市内の医療・介護専門職や民生委員さんのトークセッションを行っています。  2つ目のメインイベントとして,認知症サポート月間の作品展を実施しました。認知症になったからといって何もできなくなってしまうわけではない。得意なことや,その人らしさを残しているということをメッセージとして伝えたく,市内の病院や介護事業所,施設などからたくさんの作品が集まりました。  電気通信大学の学生やボランティアによるワークショップも実施し,当事者,家族,支援者など,多くの方が参加されました。  シンポジウム,作品展のほかにも,歯科医師による「認知症とお口の健康」についての講座や,調布ナースの会主催の「『かるた』で遊んで,認知症を学ぼう!」という講座も実施しました。このほかにも,市内の医療・介護専門職による講座を実施しております。  また,昨年度から,オレンジガーデニングプロジェクトもスタートしています。オレンジガーデニングプロジェクトは,2020年に新潟県長岡市から始まった認知症になっても暮らしやすいまちをみんなでつくっていこうという思いを共有し,認知症啓発のシンボルカラーであるオレンジの花を咲かせるプロジェクトです。市内の病院や,医療・介護事業所,保育園,学校,お店,個人宅などで御協力いただきました。  また,今年度からの新しい取組として,認知症ブックフェアを実施しました。市内の書店,図書館から御協力いただき,認知症に関する書籍の特集や,認知症サポート月間のイベント周知をしていただきました。  次に,早期の支援・相談についてです。  認知症相談窓口の周知について,認知度についてを令和4年度時点で測定しましたところ,23.7%でした。目標値を35%としています。認知症当事者や家族などが孤立しないよう,認知症や若年性認知症に係る相談窓口の周知,認知症ガイドブックを活用した普及啓発などについてを認知症地域支援推進員を中心として,相談,対応ができるよう推進しているところです。  調布市には,市内8圏域に地域包括支援センターがあり,そこに認知症地域支援推進員を配置しています。認知症の人や家族の相談を受けたり,関係機関とのネットワークを構築していくということを仕事としています。  また,認知症地域支援推進員と市は,月に1回定例会を設けておりまして,連携しながらいろいろな施策を推進しているところです。  また,早期支援・相談につなげるための取組として,令和4年度よりもの忘れ予防検診を開始しました。今年度は50歳から79歳の希望者を対象として実施しています。受診券は73歳,74歳の方に全戸送付しました。また,過去にも検診の受診歴があり,MCIの診断が出ている方にも受診券を送付しています。  こちらは,令和5年度の実績です。令和5年度には,74歳,76歳の方を対象に受診券を送付し,370件の受診がありました。受診率は6.81%でした。  検査の結果として,内訳としては疑いなしが84%,軽度認知症の疑いが14.1%,認知機能障害の疑いがあるという方が1.6%という結果でした。  この結果は,同じような検診を行っている他市の報告とも差があまり見られず,一般的に報告される割合と同じかと捉えています。  この検診で,MCI,または認知機能障害の疑いがあると結果が出た受診者に対して,地域包括支援センター職員が個別にお電話などでフォローアップを行い,必要に応じて介護保健サービスや社会資源の御紹介につなげています。  早期支援・相談の3つ目の取組として,認知症疾患医療センター青木病院と連携しております。青木病院と連携し,初期集中支援チームという活動を行ってもいます。医療・介護のサービスについて,つながっていない人を対象に,初期の段階のときにどう受診させたらいいか,どう支えてあげたらいいかという家族,支援者からの相談を多職種が包括的に集中してケアをしていく,考えていくという事業です。  具体的には,青木病院の医師,看護師,理学療法士,精神保健福祉士などが包括支援センター職員とチームメンバーになり,会議と訪問を繰り返しながら半年間かけて,実際にどのような支援ができるか,どういう医療につなげていくかということを検討,支援していく,そういう流れになっております。  年に1回,認知症支援初期集中チームの振り返りというのも行っていまして,より予防的なチームで介入できる方法がないかを今も模索しているところです。少し対象者の枠を広げようということで,今年度は6人と少し増えた経過となっております。  次に,認知症当事者の意見・意思に基づくまちづくりの推進についてです。  認知症当事者の意見・意思に基づくまちづくりの推進として,認知症カフェの数を目標値,KPIとして挙げています。目標は4か所であり,現在,市内には3か所のカフェがあります。ケアラーマップに当事者,家族を中心としたカフェと表記されているところをカウントしました。認知症カフェが3か所でありますが,ケアラー,当事者,条件問わず誰でも来てくださいというカフェも増えております。この図の下のほうの15か所が現在の市内のカフェの数になります。認知症当事者の居場所の1つとして,地域にだんだん根づきつつあるということが分かります。  最後に,地域で支える仕組みづくりについてお話しします。  地域で支える仕組みづくりとして,調布市版チームオレンジがあります。チームオレンジとは,認知症サポーターやボランティアがチームを組み,認知症の御本人が住み慣れた地域で暮らせるよう支援する取組です。  令和5年度,オレンジデイ仙川,しばさき彩ステーションの2団体がチームオレンジに認定されました。当事者の社会参加をかなえる取組を行っており,ゆうあい福祉公社とチームオレンジの育成,バックアップを行っているところです。  ほかに,地域で支える仕組みづくりとして,認知症徘徊高齢者探知システムの貸出しを行っています。この事業は,セコム製のGPSの端末機を無料で貸し出すものです。GPSを対象者に所持してもらい,家族がインターネットで本人の場所を探したり,セコムに位置情報を検索してもらったりすることができます。  現場急行サービスも1万円で,実費になりますけれども,セコム職員に御本人の元まで行っていただくことができるというサービスが付与されています。  認知症徘徊高齢者探知システムの利用実績です。利用者数は,新規も含め,一定数程度はおられます。実際に家族が御本人の位置を確認した結果が,インターネットとオペレーターにアクセス,確認した件数がこちらに表記されています。  家族が1日に複数回御本人の位置や情報を確認しますと,利用件数が上がるという結果になっています。反面,セコムのスタッフに御本人の元まで急行してもらう,その依頼をした件数はあまりないことが分かりました。  認知症徘徊高齢者探知システムについて,平成30年に事業利用している方たちにアンケートを実施しています。アンケートの結果としては,端末が大きいなどのコメントはありませんでしたが,GPSつきの靴であるとか,持ち物などに名札があるといいという意見をいただいています。  こちらの表は,GPSが必要な人,使える人はどのような人なのかを家族形態ごとでまとめたものになります。調布市では,GPSの貸与は65歳以上の徘徊の症状が顕著な方と,同居,または近隣に居住している介護者がいらっしゃるという方が対象になります。そのため,子どもと同居としている方や近隣に居住している人,配偶者も認知機能に問題がない方が事業を利用することができるというものです。  しかしながら,夫婦ともに認知症の症状がある方ですとか,単身世帯である方には,利用にいろいろ課題があるということが分かります。  こちら,赤いところが利用の課題になるのですけれども,介護者が定期的に端末の充電を行わないといけないですとか,システムを利用して,本人がどこにいるかの居場所を探知するということもできるかどうか,またはそれをセコムさんに依頼できるか,または警察の方に,今ここにいるのですが,困っていますという発信ができるかなど,こういう行動が必要なため,介護者が認知機能の低下があったり,そもそも探してくれる人がいないとなりますと,制度上,利用が難しいのが現状です。  GPSの性質上,本人のプライバシーにも関わることのため,ケアマネジャーや地域包括支援センターの職員など第三者が申請し,この制度を利用するということも難しい状況です。  こちらが課題をまとめたスライドになります。基本的に身寄りのある人の場合はGPSの貸与が可能です。緊急連絡先や身元保証人がいないといった身寄りのない人の場合,こちらのような認知症徘徊高齢者探知システムだけではなく,緊急通報システムや人感センサー,配食サービスなど,サービスの導入にも同様の課題が出てくることになります。  単身者や認知症の夫婦といった身寄りがなく,在宅生活に支援が必要な方の課題はなかなかすぐには解決できないかもしれませんが,GPSが使えないならば,行方不明になったときに早く見つけてもらえる仕組みが必要であり,QRコードシールですとか,キーホルダーなど,個人のプライバシーに配慮しつつ,周囲が見守ることができるような普及しやすいツールを検討していきたいと考えています。  認知症の人と家族を地域で支える仕組みづくりとして,最後に御紹介しますのが声かけ訓練です。ゆうあい福祉公社と地域包括支援センターちょうふ花園主催で声かけ訓練を実施しています。認知症の高齢者が行方不明になった際は,とにかく早期発見が重要です。早期発見のためには,なるべく早い段階でSOSをキャッチして,声をかけてくれる。そういう市民がいることが必要です。  実際に声をかけるのはハードルが高いという声から声かけ訓練を実施しているところです。認知症について知り,声をかけ,成功体験を積んでいただくことで,調布市が認知症に優しいまちになっていくことが期待されております。  以上で認知症施策の取組の御報告を終わります。 ○会長  ありがとうございました。それでは,今の議題について,これから皆さんの御意見をお聞きしていくのですけれども,顧問は東京都認知症施策推進会議の議長を務めておられますが,今の議題に関していかがでしょうか。 ○顧問  紹介いただきました東京都の認知症施策推進会議というのは,認知症基本法に基づいた東京都の今後の計画の策定をちょうどしているところでございます。  あわせて,国も各都道府県,それから市町村が参照すべき計画をちょうど案として出したところでございます。それによりますと,非常に細かいKPI,数字的目標が掲げられておりまして,それに沿って,都道府県や市町村が施策を構築して,成果を評価していくということになるのではないかと思われます。  何といっても,今回の認知症基本法では,認知症の人の声を聞こうということです。先ほど御紹介ありましたが,調布ではすでにいろいろと聞いているわけですが,一層聞いて,施策に反映しようということです。また,それは認知症の人だけではなくて,介護家族の声も聞こうということになっているわけです。  そして,先ほど御紹介がありましたように,認知症の方,認知症というイメージとしては何もかも全てできなくなってしまって,いろいろな支援が必要な方というイメージが世間では定着していますが,実際には,発症から軽度,中等度,重度と進行していく病気が多いわけです。中心はアルツハイマー型認知症という,記憶の障害を中心にした病気が一番多いわけなのですけれども,軽度の方もいるというわけです。  先ほど御紹介がありましたMCIという,少し認知機能が低下しているけれども,まだ日常生活は大きな支障がなくおくれている方々については,独り暮らしの方が今増えているわけで,家族が同居している場合には生活ができていても,独り暮らしだとなかなか難しいというようなことが起きがちだということがあります。MCIでは,日常生活に問題が生じにくいからといって,決して楽観視はできないわけです。  最初に認知症の人数の推計を御紹介いただきましたけれども,10年前に報告があったときは,認知症の人の人数のほうがMCIより多いという推計だったのですが,今回,訂正されて認知症の人よりもMCIの人が多いという推計に変わっています。来年で合わせて1,000万人ぐらいというのは変わりません。これから軽度認知症の人とMCIの方をどう支援するかという問題は,人数が非常に大きいので,どうしていくのかということは大きな課題です。特に独り暮らしの方をどのように支援するのかということのが非常に大きなテーマになってくるということなのです。  軽度の認知症の方については,今まで認知症の診断を受けたら,ケアの対象という見方がされてきたのですが,今回の法律では,軽度の方は,より社会の中での受入れをできるようにして,活躍・参加を促進していこうということが言われているところです。より社会参加や活動を高めていこうということも大きなテーマになっています。  一方で,認知症が進行して,中等度以降になると,介護や医療が必要になるということは間違いないわけです。そのときに,これから認知症の人が増えていく中で,認知症の人を支えられるような,特に地域で暮らす認知症の人を支えられるような介護や医療の基盤をどうしていくのかということも非常に大きなテーマになってくるというわけで,中等度,重度の方への介護の支援をどうするかというのもテーマになってきます。  その中で,これも御紹介がありましたが,調布市はケアラー支援に非常に力を入れているわけですけれども,御家族への支援が非常に大きな課題になってくると思います。  そして,介護も大事なのですけれども,医療との連携が非常に大事で,先ほどから御紹介があるような認知症疾患医療センターの役割が非常に大きいものになってきていて,医療とどううまく連携しながら施策を進めていくのかということも大きな課題になるのではないかと思います。  以上でございます。 ○会長  ありがとうございます。認知症に関わる課題,盛りだくさんだということがよく分かりました。認知症は軽度から重度まで,様々なステージがあって,軽度の方々は,今後は社会の中で社会参加をしてもらう。ただ,参加するための基盤づくりですとか,あとは重度になられた方々をどうやって支援するか。また,支えている家族の方をサポートするシステムが必要ということを御指摘いただきました。  それでは,皆様方の御提案,御意見をお聞きしたいと思いますけれども,何か御意見のある方,挙手をしていただけると,事務局がマイクをお持ちしますので,よろしくお願いいたします。何か御意見のある方,いらっしゃいますでしょうか。 ○モニター員  御丁寧な説明,どうもありがとうございました。  ただ,この内容を聞いていて,今認知症になる可能性のある人が5人に1人,20%ですよね。これは大変な数字だと思うのです。それで,今の話を聞いていると,いま一つ腹に入ってこないのです。もうちょっと具体的に対策というか,今認知症についてはいろいろ分かってきていると思うのです。皆さんも御承知だと思うのですけれども,ついこの間,新聞にも出ていました。イギリスの健康を扱う雑誌社がかなり大がかりな試験をやった,その結果をまとめていました。  認知症になるためには,14のリスク,要因があって,その中の全部をほとんどやると,何と45%治るというか,回復する。そういう結果が出ているのです。ですから,これでやって,即日本もそのようになるかといったらなかなかそうはいかないのですが,ただ,やはり,これからの社会を考えていって,少子高齢化ですよね,それから高齢化社会,高齢世帯が増えていく。いわゆる独り暮らしが増えるのですよね。  だから,そういう人たちが認知症にかからないためにはどうしたらいいか。例えば,このイギリスの報告では,まず教育が必要だと。現状をよく理解しないといけない。もう一つは難聴,耳が聞こえない,それから目が見えない,臭いもそうでしょう。いわゆる五感が衰えてくる。あとは社会的な孤立です。特に単身世帯はリスクがかなり大きい。  それと面白かったのは,いわゆる悪玉コレステロールが結構認知症を促進する。ですから,血液検査をやったら,善玉と悪玉のコレステロールが出てきますが,あれをやはり抑える。そういうことが14項目にわたって,だあっと書いてあります。  これはイギリスでなくても,九州大学の先生たちもかなり大がかりな試験をやっています。何せ効果を上げていかないと,やはり駄目なのです。だから,そこのところを個別の各論のところでいいと思うのですけれども,具体的なテーマを上げて,それを実現するためには,どういう社会スタイル,生活をしていったらいいですかということを納得していただくような指導を行政の方にはお願いしたいと思います。  勝手なことを言いました。申し訳ないです。 ○会長  御意見ありがとうございます。多分「ランセット」という英国の雑誌に 2020年に掲載されている論文だと思いますけれども,ほかに何かございますでしょうか。  先生のお話の中で,軽度な認知症の方の社会参加をということでしたけれども,社会参加といっても,いろいろな具体的な例があるのだと思うのですが,こういう会の中で論じられている社会参加というのは,具体的にはどんなことのイメージをされているのでしょうか。 ○顧問  東京都でも,現状よりもワンランクアップした社会参加を整備していこうという事業を行なっていきます。今でも,先ほど御紹介いただいたような認知症カフェであるとか,そういうものは大分広がってきたところでありますし,それはとても大事なことではあるのですけれども,先行して取り組んでいるのは,民間企業などが参加をして,働くということもありますし,あるいは役割を持った活動に参加するとか,そういうことまで含めてやっていこうということです。令和6年からそういったモデル事業としての関係する人が集まって,検討会をして,どんな取組があるかということをやっていく。そのようなことが行われているところです。  区市の職員の方と民間企業の方と認知症の当事者の方,あるいは有識者,そういう方が参加して,どんなことができるかを検討し始めて,大事なのは,今よりもワンランクアップした社会参加,活動というか,そんなことを考えているという感じです。 ○会長  ありがとうございます。そういう取組が調布市でも早くスタートできるといいなと思いますので,ぜひ委員の皆様方もそのような施策が打ち上がったときには,御協力のほういただければと思います。  ほかに何かございますでしょうか。 ○副会長  今回,資料を読ませていただいて,今説明を聞かせていただいて,いろいろな施策を市の方が一生懸命やっていただいて,本当に感謝を申し上げる次第でございます。  この内容を見ていると,高齢化は待ったなしの状態で,早期発見であるとか,予防とか,ある程度,今ある問題,近々の問題を解決するための施策なのかなと思っているのですが,5ページ,認知症基本法の施行に関しての基本的施策の8番,認知症の予防等なのですけれども,その下にあるMCI,軽度認知症の方から重度認知症に移行しないようにというような話がさっきあったと思うのですが,基本的に今市が考えている予防というのは,どのぐらいの範囲というか,ボリュームで考えているのかお聞きしたいのです。 ○事務局  お答えになるか分からないのですけれども,認知症に特化するではなく,まずはフレイル予防からかなと思っています。ですので,先ほど御指摘いただいたように生活習慣病ですとか,いろいろな健康全体を底上げすることがまず予防,そして,そこに認知症予防もつながってくるのかなと。お答えになっていますでしょうか。 ○副会長  ありがとうございます。今,質問させていただいた理由は,我々歯科のサイドから見せてもらうと,歯周病というのも聞いたことがあると思うのですけれども,歯を失う確率が一番高い病気が歯周病と言われていて,歯の本数がなくなってくる,摂食がままならなくなってくると,認知症は進行するというのはもう分かっていることなのです。  大体歯の多い人,少ない人での認知症の発症率というのは1.9倍というような,要するに約2倍の試算が出ています。それだけ数が違うということは,ある程度,認知症の患者さんが2分の1にはならないと思うのですけれども,これからどんどん増えてくる認知症の分母を考えると,そこを減らしていくということを考えないといけないのかなというのが私の考えている予防というようなことなのです。  では歯を失うというのは,いつから予防すればいいのかということになってくるのですが,歯周病の罹患率の視点から見てみると,大体20代から歯周病というのは発症してきます。20代,30代とどんどん比率は高くなっていくのですけれども,ある程度その辺のところまで遡って,もっと遡ると,小児期で口の中の歯の崩壊というのは始まっているわけで,そこら辺の予防に関しては,日本はすごく後進国なのです。  医科のほうでも,生活習慣病とかのその辺の人間ドックであるとか,予防に対する意識というのは日本人は非常に薄いところがあるので,ここら辺を啓発することで,最終的には認知症の予防にはつながってくると思いますし,高齢者の人数は絶対増えることは分かっているので,予防に対しての考え方は,庁内の健康推進課とかも含めて,ある程度枠を考えていただきたいと思って,意見させていただきました。  以上です。 ○会長  ありがとうございました。今の御意見に対して,市のほうで何かコメントはありますか。――よろしいですか。分かりました。  それでは,ほかに何か御意見,御質問がある方いらっしゃいますか。モニター員,どうぞ。 ○モニター員  勉強不足で基本的な質問で恐縮なのですが,先生にお伺いしたいのです。先ほど東京都の取組のお話をしていただきましたが,国のほうは法律だとか,条例とかいろいろなもので方向性を示していくと思うのですけれども,具体的には自治体が個別の施策を取っていると。都道府県との関係はどのようになっているのでしょうか。 ○顧問  実際には,多くの施策は,特に一人一人の住民の方への施策というのは市町村が担うので,都は,その市町村の施策を応援する,あるいは先ほどあったような社会参加を高めるというのは市町村単位で行っていくので,そういう先進的な取組をしていくところを予算的に支援していくという役割になると思います。  あとは広域的な話,例えば交通機関でありますとか,スーパーとか,そういった公共的な場所での認知症の人が利用しやすい,あるいは利用したときに,例えばそういう方がいたときにどう対応するかとか,そういう広い範囲は東京都が担当してやるのではないかと思います。 ○会長  よろしいでしょうか。――ありがとうございます。認知症問題というのは,我々にとっても非常に大きな問題で,先ほど猪狩モニター員からも御意見がありました予防ということと,それの対策と両輪で地域として対策を進めていかなければならないだろうと思います。  今,事務局の説明から顧問の解説,そして皆様方からの御意見等々ありましたけれども,この問題,この議題を総括するとして,顧問から一言ずつ,御意見を頂戴できますでしょうか。 ○顧問  先ほどからいっぱい発言の機会をいただいて,ありがとうございます。  一番は何といっても人数の問題が起きてくるということだと思います。例えば予防であっても,さっき早期診断の参加率がそれほど上がっていかないという問題とか,初期支援も件数がまだまだ伸びていかないというところで,実際には,対象の人は非常に大きな数になっていくということがあります。  対象者の人数が多いという問題をどうするかというのは,非常に大きな問題です。例えばいろいろなところで認知症になったと診断を受けた方に伴走的支援をする,初期からずっと絶え間ない支援をしていくというようなことも考えられているところもありますが,では,その莫大な人を一体誰が支えるのかといったような問題はなかなか解決できないところがあって,量の問題はどうにか考えていかないといけないということがあると私は思います。 ○会長  ありがとうございました。では,顧問,お願いします。 ○顧問  今日の報告で認知症の生活課題,必要な対応について非常によく分かりました。認知症のケアは多分高齢者関係で最重要課題になるだろうと私は思っています。  そして実際に認知症になって,独り暮らしでひきこもりになっている方をどう発見するのかとか,ある意味で,未解決な問題がものすごくあって,考え方は出るのですけれども,では実際,有効な打開策に関する議論は,私はまだまだ甚だ乏しいと思っています。  そういう意味では,先ほど申し上げた,介護予防とか,生活困窮者自立支援制度における伴走型支援,孤独孤立対策,重層的支援体制整備等の制度でも認知症の問題が取り上げられている。  そしてまた,例えばケア会議にしろ,いろいろな会議体,協議体が設置されています。しかも,いろいろな方が関わっていらっしゃる。生活支援コーディネーターとか,もろもろの人たちが配置されていて,そこの関係をどうするかとか,大分具体的な検討を積み上げていくことから始める必要があるのではないか。  そういう意味では,行政の報告の中でまちづくりということを前面に出してくださいましたので,それを維持しつつ,いろいろやっていることをどう活用していけるか,そして調布は調布なりにどのような強みを持っていくのか。ある意味で,6つのWと2H,例えば6つのWといったら,who,誰が,whom,誰に対して,when,いつ,それからwhere,どこで,what,何を,why,目的はというような一つ一つの積み重ねをすれば説明責任を果たすことになります。特に夏の暑い中で,認知症の方が亡くなるというケースをどう予防していくことが可能なのかを一つ一つ検討していくということになるかと思います。以上でございます。 ○会長  ありがとうございました。数の問題といろいろな組合せをどうやって地域をつくっていくかということに集約されるのかと思います。ありがとうございました。  これから今日の話,コメント等を生かしていただいて,今後につなげていただければと思います。 議題(2)医療と介護の連携促進について ○事務局  医療と介護の連携強化,在宅医療・介護連携推進事業の推進について御説明させていただきたいと思います。  まず,目次にあります4点について順に御説明させていただきたいと思います。  在宅医療・介護連携推進事業とは,医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が,住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,在宅医療と介護を一体的に提供する体制構築のために,医療機関と介護事業所などの関係者との協議,連携を推進することを目的としております。  平成26年,介護保険法改正により,地域支援事業に位置づけられております。  調布市では,平成27年より,在宅医療・介護連携推進事業を調布市医師会へ一部委託いたしまして,在宅医療・介護連携推進協議会にて協議の上,取り組んでまいりました。  続いて,第9期高齢者総合計画においても,重点施策として掲げられ,包括的,継続的に在宅医療と介護を一体的に提供できる支援体制づくりをより一層推進することが求められております。  事業展開を継続する中,令和2年度の介護保険法改正において,地域の実情に応じ,取組内容の充実を図りつつ,PDCAサイクルに沿った取組を継続的に行うことにより,目指す姿の実現がなされるように見直しが示されました。  人生において,常に健康状態は変化いたしますが,特に高齢期になると,加齢に伴う心身機能の衰えから,日常生活において医療や介護が必要になることや,容態が急変し,入院することもあります。また,退院後は,在宅医療や介護が必要となる場合や,あるいは在宅療養中に容態が急変し,看取りに至ることも想定されます。  このようなライフサイクルの中で起こり得る節目となる日常の療養支援,急変時の対応,入退院支援,看取りの4つの場面を意識した取組が必要であると示されました。  実際の取組については,この後,ちょうふ在宅医療相談室相談員より御報告いたします。 ○相談員  ここから医療と介護の連携に係る取組について御報告します。  この図は,調布市が目指す姿と取組状況を表したものです。医療と介護の切れ目のない提供体制づくりにどのように取り組んでいるかを先ほど挙げた4つの場面に分けて記しています。  こちらは,PDCAサイクルに沿った事業の進め方を図で示したものです。左側に4つの場面ごとの目指す姿を設定し,右側には,目指す姿に近づけるための具体的な取組を書いています。  あらかじめ設定した成果を測る指標を用いて,取組の内容がどうだったかを確かめ,改善点を次に生かしていく形です。  これまでの取組を幾つか御紹介します。調布市では,医療・介護職専用の情報共有ツールの利用促進を図っています。2015年からメディカルケアステーション,通称MCSというアプリの運用を始めました。MCSは,必要なときに必要な情報を必要な人とだけ共有できるSNSです。LINEと似たような仕組みとお考えいただけるとイメージがしやすいかと思います。  グラフをお示ししているとおり,最初の数年間は利用者数がなかなか増えず,活用は一部のユーザーにとどまっていました。導入しない理由として,業務時間増加の懸念や閲覧用の端末がないという声があり,MCSの体験会の開催や,閲覧専用のタブレット端末貸出しなどの普及啓発に取り組みました。新型コロナ感染症の流行がきっかけとなり,現在も利用者数は増加しています。  こちらは先ほどお話ししたMCSのイメージ図です。電話やファクスでやり取りしていたような情報共有が非公開型のSNS上で行われています。セキュリティーは,厚生労働省,経産省,総務省のガイドラインに準拠しています。  続いて,地域住民への普及啓発です。将来どのような医療や介護を受けたいかなどについて,本人,家族や関係者が繰り返し話し合うことをアドバンス・ケア・プランニング,頭文字を取って,ACPと呼んでいます。このような話し合いは,元気なうちから少しずつ始めるのが望ましいですが,自分事として考えることの難しさがあります。  取り組みやすい普及啓発の形を考えて,もしバナゲームを使ったACP普及啓発プログラムを作成し,地域包括を中心に実施しています。  もしバナゲームというのは,余命僅かという想定で,自らの価値観を考え,皆で話し合うカードゲームです。大事にしたいカードを選ぶことで,自分自身の価値観を考え,一緒にプレーする人と語り合うことで,ACPの一端に触れるような体験ができます。  カードゲームのカードの大きさはトランプと同じぐらいのサイズになっています。自分が治療困難な病気で,余命が半年から1年という想定の下,自分が大事にしたいことを手元に集めていくカードゲームです。普及啓発プログラムは,ACPの説明と,もしバナゲームを体験する約90分間の構成となっています。  2023年度は,出前講座の依頼が一番多かったです。市民の普及啓発向けに作成したプログラムだったのですけれども,職員研修で19%というように,支援者自身の研修に実施した地域包括があったのは,私たちとしても意外な活用方法でした。  もしものことを自分事として考えるという課題に対しては,実施前は考えたことがあるが54%に対して,実施した後は,自分のこととして考えた方が95%となりました。参加をきっかけに自分事として考える機会になったと評価できると考えられます。  次に,医療・介護関係者の情報共有の支援について御紹介します。病院の医療連携室や退院支援担当者からヒアリングを行い,上がってきた課題に対して,どのような取組が有効か協議を進めました。  その中で,医療・介護関係者が入退院時の連携をスムーズに進めることができるような手引を作成することとしました。  ガイドブックの内容は,在宅側の意見だけではなく,市内及び近隣自治体の病院の方々から様々な御意見をいただき,昨年度発行することができました。  最後に,医療・介護関係者の研修について御紹介します。ケアマネジャーや訪問看護,病院主導での主治医変更などでトラブルとなり,医療連携がうまくいっていない例があるとケアマネ協議会から問題提起がありました。  以前から耳にする話でしたが,それはケアマネだけではなく,医療側にも問題があるのではないかというところから,医師会,行政,ケアマネ協議会の三者が共催する多職種研修会につながりました。研修会の内容は,病院,地域の多職種によるワーキンググループで検討し,開催に至りました。  まとめです。在宅医療・介護連携推進事業には,医療と介護をつなぐ役割が求められています。医療相談や関係機関からのヒアリング,地域での活動を通じて,地域の課題を明らかにし,目指す姿に近づけるために多職種連携を進めていきます。  相談室からの御報告は以上です。 ○事務局  ここからは,在宅医療・介護連携推進事業における地域包括支援センターの取組を御紹介いたします。  日常の療養支援について,地域包括支援センター仙川の取組を御紹介いたします。介護教室にて,「自分らしさを紡ぐ在宅医療」をテーマに在宅医療について事例を通し,自分事として考えてみる体験や,もしバナゲームを用いて自らの価値観を考え,共有する取組を行いました。  参加者の感想といたしましては,往診の医師を身近に感じることができるいい機会になった,また,もしバナゲームは考えなければいけないことがたくさん出てきて,勉強になったという感想がございました。  続いて,急変時の対応について紹介いたします。地域包括支援センターちょうふ花園の取組になります。  地域ケア会議にて,「在宅で急に具合が悪くなった時どうしよう〜医療的な知識を知り今後に生かそう〜」をテーマに,いつもと違う状態に対する気づきと対応について意見交換を行いました。  参加者の感想としましては,切迫した状況で迷ったとき,誰かかかりつけや♯7119や包括などに伝える行動と勇気がその方を助けることの大切さを実感することができましたし,共有することができたという感想が寄せられました。  続いて,入退院支援について,地域包括支援センター至誠しばさき及び地域包括支援センターときわぎ国領で取り組んでまいりました。  入退院連携に関して,専門職だけでなく,市民も一緒に意見交換を行いました。入退院支援について,医療側の取組体制について,説明の後,意見交換を行っております。  参加者の感想としましては,グループワークにおいて,各グループに医療職,介護職,市民など満遍なく配置したことで,各専門職の相互理解及び意見交換ができたこと。また,地域で各専門職が活躍している場面に市民も触れることができたという感想がございました。  看取りの対応について紹介いたします。地域包括支援センターはなみずきにおいて,地域ケア会議において,先ほど御紹介いたしました,もしバナゲームを体験していただいております。もしバナゲームを体験することで,ACPについて理解を深めてもらい,感じたことを意見交換していただきました。  参加者の感想といたしましては,ゲームを通じ,自分の大切にしたいことを選択することの難しさを感じるとともに,自分自身の選択を納得や驚きとともに受け止める様子がうかがえたということです。  実施した包括からは,繰り返し行うことで,選択するカードの変化も感じてもらえるように,継続してACPの普及に取り組みたいという感想がございました。  最後に,課題といたしまして,住み慣れた地域で暮らし続ける支援として,病院と地域の診療所,訪問看護,介護事業所など,その他の福祉サービスの連携をしていく必要がありますし,継続的,持続的な連携強化が必要と思います。  研修等で相互理解を深め,顔の見える関係を築きつつありますが,連携が習慣化するまでというところにはまだまだ課題がございますし,さらに継続して努力していく必要があると感じております。  私からの報告は以上になります。 ○会長  ありがとうございました。それでは,今の議題について,御意見のある方は,挙手をお願いします。  この協議会,医療と介護の連携強化の問題に関しましては,当会の副会長はまさにその連携の真っただ中で御尽力いただいていると思いますが,このテーマに関して何か補足,御意見などございますか。 ○副会長  先ほど資料のほうにもありました,ときわぎ国領では,今年の3月15日に,こころの支援センターの会場をお借りいたしまして,令和5年度第3回地域ケア会議を開催しました。これは,お独り暮らしとか身寄りがない方の入退院支援をどのように病院がやっているか。そのことを地域でどのように共有していくかというところで「入退院支援について知ろう 地域で支え合うために」という表題で,そのときに全体で67名の御参加がありまして,調布東山病院さんと慈恵第三病院さんのソーシャルワーカーさんをお迎えして,病院の御紹介とか,あと独居の方の後見人,どうやってつけていくかとか,そのようなお話をさせていただきました。  やはり私たちも顔の見える関係性を常日頃から医療の方とさせていただくということが地域包括としても大事なことですし,あと地域の皆さんが,まずは自らがどのようにして健康を維持していくかということ,誰かが何かをしてくれるわけではなくて,まずは自分が自助というところで,自分のことは自分でやりながら,先ほどのACPの話ではありませんけれども,独り暮らしなのだから入院するときは,○○のおいに頼もうとか,何かあったときには誰かがいるよねというように,ふだんから住民の方も自分のコミュニティをしっかりとつくっていくということが大事かと思いました。  病院さんのほうでも,幾ら探しても御家族が見つからないケースがある。そういうときには市と連携していくのだよというお話をしてくださったりしましたので,そこは実際,私たちも身寄りのない方がお亡くなりになれば,市のほうと協力して,その後の手続を行政がするということは,何度も経験させていただいておりますので,そこは今後もさらにお独りの方が増えていきますし,いろいろな対策を練っていかなければいけないということを慈恵さんと調布東山病院さんのワーカーさんたちとお話をさせていただくことで実感しました。  特に慈恵さんのほうは,今建て替えをしていて,かなり古い病棟になってしまったので,裏にすごくいい,すてきな建物を建てているのですが,そのビデオを見せていただいて,今よりも全然想像のつかないようなすてきな病院ができるのです。その中に,地域とのセッションをするという,地域連携センターみたいなものを慈恵さんが設けるという構想がありますので,より慈恵さんのほうが地域に密着していくのではないか,予防啓発をしていくのではないかと思っております。  以上です。 ○会長  ありがとうございました。慈恵第三病院,建て替えになった後は,より病院機能をパワーアップするというように医院長以下,言っていますので,ぜひ我々としても期待したいところですけれども,ぜひそのとおりになっていただきたいと思います。余談でしたけれども,ありがとうございました。  それでは,ただいまの議題,医療と介護の連携強化,1から4まで御説明いただいたのですけれども,何か御意見とかございますでしょうか。――では,少しお考えいただいている間に,ちょっと私から教えてほしいのですけれども,もしバナゲームという言葉が随分たくさん出てきたと思うのですが,もしバナゲームに関して,もう少し何か補足して,どんなもので,どんな内容のことを聞かれるのかとか。これを見ていると実施前と実施後で随分違いますよね。ここら辺をもう少し説明いただけますか。 ○相談員  カードの写真,今1枚しか載せていないのですけれども,私たちももしバナゲームをやるときのファシリテーターとして,一緒に入ることがあります。80代の参加者もいらしたりしますが,なかなか考えにくかったりすることはあるのかなと思います。  このカードゲームは,亀田総合病院の医師が中心となり作ったもので,大本はアメリカのカードゲームです。アメリカとの契約で,カードの内容の文言を変えられず,日本だとあまり宗教的な部分はないのですけれども,例えば祈るとかチャプレンに話をするとかの,カードもあったりします。このカードゲームのやり方も,1人でやるバージョン,2人でやるバージョン,4人でやるバージョンという3つが例示されています。普及啓発でやるときは4人で一緒にやるゲームをして,先ほどお伝えしたように,治療困難な病気であと半年から1年の間のときにあなたはどのカードを選びますかということで,ファシリが中心になって,カードを皆さんに選んでいただく形になっています。  トランプのように持ち札が自分のところに5枚あって,場に5枚あって,交換していくのですけれども,最初の1周目は,変えたいものがなくても必ず変えなければいけないというルールがあって,それはやはり生きている中で不条理なこととか,思い通りにならないようなこともあったりするので,そこを考えてもらうという意味で,1周目は必ず変えなければいけない。  2周目以降は,自分の持っているカードと場に出ているカードを比べて変えたくなければ変えなくてもよくて,4人がみんな変えないとなれば,そのカードは流して,また場にカードを出してというのを3回繰り返します。最終的に残った手持ちの5枚のカードの中から,より大事にしたいものを3枚選び,一緒にゲームをした方に,自分がなぜその3枚を選んだかというのを説明していただく流れです。  話していくときに,家族の経験だったり,自分自身が今考えていることをお話しになる方も多いです。そこで出た話はみんなで聞く,個人情報は口外しないというグランドルールがあります。複数のグループでやっていれば,その講座の中でどんな話が出たかを共有しています。 ○会長  ありがとうございました。結局,自分が一番大切に考えたものが最後,手持ちの札として残っていくということですね。それに気づくのがもしバナゲームということなのでしょうかね。 ○相談員  自分事として考えてもらうために,あと1年ぐらいの命で治らないという設定で,では何を大事にしているのだろうと。繰り返し参加している方もいて,やっている方の年齢層,メンバー構成,手元にきたカード,前回と必ずしも同じものを手元に残すとは限らない。そういう自分の気持ちが変わっていったり,人の話を聞いて自分が変わっていくというところも含めて,ACPというか,揺れるけれども,それは変わってもいいものだし,それを積み重ねていくのがACPなのだということを理解していただく一端としてのもしバナゲームです。もしバナゲームイコールACPではなくて,ACPを具体的にイメージするためのもしバナゲームとお伝えするようにしています。 ○会長  ありがとうございます。ACPという言葉が出ましたけれども,ACPというのは,結局自分がどのような最後を迎えたいかということを意思表示する,簡単に言えばそうだと思うのですが,それはいつ変わってもいいし,何回変わってもいいし,そのときそのときでACPは変わっていくのだと。そういったものを考えていく1つのツールとして,もしバナゲームがあるということですね。  日本人は死というものを学校で考えることもなかなかないですし,よみの国と現世が国譲りか何かで分けられているという,死後の世界がちょっと分断されて,キリスト教などでは復活というのがあるわけで,そういった宗教上のこともあって,日本人は死をなかなか見詰めにくい国民だと思うのですが,そういった意味では,こういったゲームで少しずつ身近になっていくことは,自分の一生を考えるのにすごく有用なのではないかと思いました。ありがとうございます。  ほか何かございますか。 ○モニター員  今のもしバナゲームのことに興味があるので伺いたいのですが,あくまでもゲームなので,聞いていますと,カードゲームなので,同じ内容のものは,例えば人数分はあるのですか。それともそれが1枚ずつなのですか。 ○相談員  このカードは全部違う内容のものが36枚,1枚何もないカードがあるのですけれども,それは1枚抜いて,実際は35枚で今はやるのですが,35枚は,全部同じものが1枚もないので,例えば場に出て回っているときに,自分が欲しかったカードが先に誰かに取られてしまうとか,そういうこともあったりします。 ○モニター員  分かりました。ありがとうございました。そこを聞きたかったのです。なので,話を聞いていると,必ず自分のところに大事なものが3枚残るようなことなのですが,カードゲームなので,その3枚がほかの3人に行ってしまう可能性があるということですね。ということは,ある程度仮想の中で,自分の手元に戻ったものについて語ろうという自分に対する訓練をするゲームだという捉え方もあるわけですよね。  そういう機会を得て,そのことについて……多分どのカードも考えたくなる内容なのかなと。中身は分からないですけれども,自分も1度やってみたいと思いました。ありがとうございます。 ○会長  ありがとうございます。通販でも売っていました。2,800円だそうです。ほかに何か御意見とかございますでしょうか。では,顧問,お願いします。 ○顧問  自分の生き方をできるだけ明らかにしていこうという取り組みが広がっています。 ACPすなわち,アドバンス・ケア・プランニング,これはちょうど杏林大学で,その研修会があって,そこに2度ほど行きました。そのときにやはり私はショックだったのは,緊急で入院してきて,救急車で運ばれて,もう手術するしかないのか,それが問われているときに,迷っているのは医療関係者だけなのです。そこにいるのは医療関係者で,本人は脳梗塞で語れないのです。語れないまま判断を相手に委ねる。  これは救急医療の現場でよく起こっていること。私たちは問われています。そのときに全部医療に委ねてしまうのかと。家族も迷うし,自分の大事な命をどう全うするかというときに,突然いろいろな状況が生じてくるから,私はACPって何ですか,どういうプロセスですかということをもう少し明確にして,説明を分かるようにしてくださって,それぞれの方に理解していただくことは,やはり大事なことじゃないと思っています。  それから医療の現場では,命の問題が絡んできます。自分も含めて,家族も含めて,いろいろ混迷しますよね。例えばうちの父が倒れたときに,どうしますかと言われて,このままいったら3日間で亡くなります。脳が腫れてきますからといったときも,求められるのです。父は一切,自分が亡くなったらとか,老いとか,墓はとか言わない。そうすると,家族に委ねられると家族もすごく大変な思いをするのです。うちはしました。だから,そういう意味では,皆,共通しているので,調布はどうしますか,どうやってできる範囲で意思を明確にしますか等々は,この会議でも取り上げたらいいのではないかと思うのが1点です。  あと,医療との関係とか,認知症の関係は,今日のテーマでしたけれども,これは本当に皆さん方から意見をいただいて,社協と,民生委員の方に言っていただいて,それらの意見を集めて今後調布どうするのという議論になるといいなと思っておりまして,できましたら,このテーマに関しては,うちはこう思うとか,提案があるとか,こういう課題だとか,そういう議論がそれぞれの所属の団体から出てくるということを私はあえて期待したい。その積み重ねが実践,調布らしさの実績になると私は思っていますので,その点もどうぞ皆様,御留意いただければと思うところであります。  以上です。 ○会長  ありがとうございました。今の御意見に関して何かコメントはありますか。 ○モニター員  今,先生のお話を聞いて,私,エンディングノートというのを書いていて,私は延命治療は要らないからと子どもたちには言っているのだけれども,息子がお母さんが言っていたということではなくて,それを残しておいてくれないと,うちは3人子どもがいるのですが,もしかしたら娘が,そんなこと言っても助けたいと言うかもしれない。でも,あのときお母さんはこう言っていた,そしてこうやって残していただろうというものがあったほうが,残されたほうとしてはありがたいのだと。だから,きちんとしなくてもいいから,自分のこのようにしてもらいとか,痛いのは嫌だとか,何でもいいけれども,何か形になるものを残しておくのが,これからあの世に行く人の権利というか義務だみたいなことを言われて,なるほどなと思って,私は書いたのです。  誰もそういうことを考えたくないけれども,いずれ絶対に来るのだということを,仕事をしている方がそれをクライアントに言うのは,とても変なことで言いにくいかもしれない。でもやはりそれを伝えられるのは,その人と向き合っている人だと思うから,ぜひともそういう場をつくっていただけたらいいなと今,先生のお話を聞いて思いました。 ○会長  ありがとうございます。私たちも在宅とかで往診に行くときは,御家族の方や御本人の方から,これからどのような生き方をしたいですかなどということをお話ししていきます。だんだんそういったことが社会に広がっていけば,ふだんの会話の中で,お父さんも大分年を取ってきてしまったね,これからどのように生きていきたいのみたいな話ができたら,もっともっと皆さんが気楽にお話ができるようになるのかなと思いますけれども,そういう時代にだんだんなってきているような気がします。  患者さんの御家族が来ても,しっかりと自分の意見をおっしゃる方もいるし,まだ急に悪くなると,どうしたらいいでしょうというようにお聞きになられる方もいるので,まだまだ千差万別ですけれども,私が医者になった頃と比べると,御自分たちで考えて,しっかりと言う方が本当に増えたような気がします。だんだん日本の社会もある意味では進化しているのだというようなことを感じます。でも,エンディングノートを書かれたのはとてもすばらしいですね。 ○モニター員  でも,書いたこと,毎年変わるのです。それがだんだん自分が認知になってきたときに,どこの時点のところが本当だったのかが分からないけれども,それはしようがない,残っていたので判断してくださいと思っているしかないのですが。 ○会長  さっきACPのところでも何度変わってもいいというお話をしましたけれども,変わるのがやはり人間ですよね。それが正しいと思います。ありがとうございました。  ほかに何か御意見とかございますか。 ○事務局  顧問のお話の中で,特に認知症に関してのところなのですが,恐らく認知症という大きなもので捉えてしまうと,すごくぼやっとしていて分かりにくいと思います。なので,皆様が関わっている中で,きっとMCIの方であったり,認知症の方であったり,必ずいらっしゃるはずなのです。なので,目の前のその人が今どういう状態で,どういうことに困っているのか,どういうものがあるともっと暮らしやすくなるというようなものを一つ一つ積み重ねていかないと,多分大きな問題に立ち向かっていくことはできないと思いますので,積み重ねをさせていただくために,ぜひ御意見をいただければと思いますので,よろしくお願いします。 ○会長  ありがとうございました。具体的にはどのような方法で意見を集約しましょう。 ○事務局  この場で御意見をいただくのが一番いいのですが,なかなか難しいと思いますので,メールでもいいですし,お電話でもいいですし,どんな方法でも御意見があればいただければと思います。 ○会長  では,高齢者支援室が困るぐらいどしどしと御意見をいただきますように,皆様方にお願いいたしたいと思います。  議論しなければいけないことはたくさんあると思います。ただ,今日は認知症のことであったり,医療と介護の連携のことであったり,なかなかふだん考えていない,実際に経験していないことが多いと思いますので,御自宅にお戻りになられてから,もう一度,今日のお話,議論を反すうしていただいて,何か思いついたこと,気がついたことがありましたら,ぜひ気軽に高齢者支援室のほうに御意見をいただければ幸いだと思います。  それでは,もう一度,顧問からこの2番目の課題,医療と介護の連携強化について,コメントをいただけますでしょうか。 ○顧問  では,コメントさせていただきます。実は,この在宅医療に関する会議,月曜日にやりまして,私はそれに参加させていただいているのですが,非常に活発にいろいろな委員からいろいろな議論が出ていて,非常によく取り組まれている状態だと思います。それでもいろいろ課題があるので,課題を見つけて,それを解決していくという会になっていますので,さらにいい取組になっているのだと思います。  私はどちらかというと,医療よりも介護のほうに関係していますので,そこで出てくるのは,医療のほうは,例えば情報の連携とか,それが介護の連携までなかなかつながっていかないというのが介護の非常に大きな課題です。それは医療の問題ではなく介護の問題なのかもしれませんけれども,医療と介護が連携するというのが非常に大きなテーマでありますので,どうやったら介護の連携まで整えていくのか,いろいろな課題があって,医療の側からもケアマネジャーや包括への課題というのを出したり,逆にケアマネジャーの方や包括からの医療への課題もいろいろ出されているので,そういう問題を少しずつ解決していくということが大事なのでないかと思っております。 ○会長  ありがとうございます。顧問,よろしくお願いします。 ○顧問  ありがとうございます。今のお話をお聞きして,設置されている委員会で共通しているテーマが話されている。本委員会でも,それらの議事録の一部をご提示いただきたいと申し上げておきたいと思います。資料だけでもいいです。そこで出した成果はここで共有してください。工夫してみて下さい。  そして,それとともに,皆さん方が,それぞれのいわゆる職場で関わっていること,もしくは医師会,歯科医師会,薬剤師会で直面していること,及び対応策も考えていらっしゃるようだったら,行政からの報告だけではなくてここで御報告いただきたい。  最近,医師会は福祉にも配慮して,どこの医師会も地域ということに意識してきていますから,その実績もおっしゃっていただくと,ある意味で勇気づけられると思っているところです。ここがその場であるというようになるといいなと思っております。  以上です。 ○会長  ありがとうございました。課題,宿題,エール,たくさん受け止めさせていただきました。  最後に,委員の皆様,モニター員の皆様,言い残していることとかございましたらお受けしたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。  それでは,以上をもちまして第3回高齢者福祉推進協議会を終了したいと思います。長時間にわたり,御協力ありがとうございました。お疲れさまでした。                                  ――了―― - 1 -