議員提出議案第20号 沖縄米空軍兵による少女誘拐・暴行事件に対する意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和6年9月18日 提出者 調布市議会議員 木下 安子 賛成者 調布市議会議員 榊原 登志子 同    岸本 直子 同    鈴木 ほの香 同    磯邉 隆                 沖縄米空軍兵による少女誘拐・暴行事件に対する意見書  沖縄県嘉手納基地所属の米空軍兵が,昨年12月24日,16歳未満の少女を誘拐し性的暴行を加えたとして,今年3月27日,那覇地検により,わいせつ目的及び不同意性交等罪で起訴された。ところが,政府はこの事件について掌握しながら,沖縄県に対して通知をしておらず,司法取材に当たっていた記者の気づきによる6月25日の新聞報道を通じて初めて,沖縄県は本事件を知ることとなった。 沖縄県では米兵・軍属らによる犯罪が繰り返されてきており,1995年には, 12歳の少女への暴行事件をきっかけに県を揺るがす怒りの県民大会となった。1997年,「事件・事故が地域社会に及ぼす影響を最小限とするため,在日米軍に係る事件・事故の発生の情報を,日本側及び地域社会に対して正確かつ直ちに提供することが重要であると認識する」とした文書が,日米合同委員会において合意され,「在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続」が定められた。これは日米が守るべき,新たな通報ルールであった。 しかし,冒頭に記した事件においては,このルールが守られず,通報経路が途中で絶たれたことにより,合意文書の重要な目的である地域社会への事件発生の伝達が果たされず,東京都,神奈川県,青森県,山口県,福岡県,長崎県においても米軍関係者が,不同意性交等罪や不同意わいせつ罪の疑い等で書類送検及び逮捕された事件が,地元自治体に知らされていなかったことが,今回の問題を通して明らかになった。 折しも本年10月17日にはジュネーブで女性差別撤廃委員会による日本報告審査が行われる。紛争下における女性の人権を保障する国連安保理決議1325号を採択し第3次行動計画を策定している日本で,在日米軍人・軍属による性犯罪がなくならないことに怒りを持って厳重に抗議する。 よって調布市議会は,米軍当局並びに関係機関に対して厳重に抗議するとともに,政府に対し以下の実現を強く求める。 1 1997年の日米政府の合意文書の趣旨と合意に至った経緯を再認識し,在日米軍人・軍属に係る事件・事故の発生の情報を,通報手続に従って地元自治体に速やかに提供する体制を再構築すること。 2 外務省は,日米政府が被害者に謝罪と十分な補償を遅滞なく行うように,責任を持って当たること。 3 米軍人等を特権的に扱う日米地位協定の抜本的改定に向けて力を尽くすこと。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年9月  日                  調布市議会議長 井上 耕志 提出先 内閣総理大臣  外務大臣  防衛大臣  衆議院議長  参議院議長