議員提出議案第18号 公益通報者保護の徹底を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和6年9月18日 提出者 調布市議会議員 阿 部 草 太 賛成者 調布市議会議員 大 野 祐 司 同    平野 充 同    川畑 英樹 同    榊原 登志子 同    伊藤 学 同    木下 安子 同    鈴木 ほの香 同    磯邉 隆 同    山根 洋平 公益通報者保護の徹底を求める意見書  公益通報者保護法は,公益通報を行ったことを理由とする解雇の無効や不利益な取扱いの禁止,そして事業者や行政機関が取るべき措置を定めることで,公益通報者を保護することを目的としている。 また,公益通報は,労働者等が不正行為を通報する場合,不正の利益を得る目的,他人に損害を与える目的やその他不正の目的ではなく,その通報が被害の発生や拡大を防ぐために必要であると認められる場合に限り許される。 こうした公益通報者保護制度を適切に運用することで,国民の生命,身体,財産その他の利益の保護に関わる法令の遵守を図り,国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に寄与することができると言える。 しかしながら,公益通報受付窓口が組織内部にのみ設定されている場合,こうした法の趣旨に必ずしも沿わない運用となる事例が散見される。最近,公務職場における本制度の運用をめぐり,公益通報の保護対象とせず懲戒処分を行った事案が発生し,議会において地方自治法第 100条に基づく特別委員会が設置され,一連の対応について検証を行う事例が発生した。公益通報をめぐっては,通報者の匿名性を担保し,適切な調査や是正措置を行うことが重要であるが,これを保障するためには,組織の長や当該組織の幹部からの独立性が確保された事業者の外部に公益通報受付窓口を設置することが有効であると考えられる。 このような措置については,公益通報者保護法に関する指針の解説において,「組織の長その他幹部が主導・関与する法令違反行為も発生しているところ、これらの者が影響力を行使することで公益通報対応業務が適切に行われない事態を防ぐ必要があること、これらの者に関する内部公益通報は心理的ハードルが特に高いことを踏まえれば、組織の長その他幹部から独立した内部公益通報対応体制を構築する必要がある」と明記されている。 さきの事例に鑑みると,こうした公益通報者保護制度の理解について,事業者のみならず行政機関においても一層の浸透を図ることが求められていると言える。  よって,国におかれては,公益通報者保護の徹底を図るため,本制度の運用についての事業者や行政機関における理解を確実なものとするとともに,外部の専門機関に公益通報窓口を設置することを促すための所要の措置を講ずるよう強く要望する。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年9月 日                  調布市議会議長 井上 耕志 提出先 内閣総理大臣  総務大臣  厚生労働大臣  衆議院議長   参議院議長