議員提出議案第17号 鉄道駅におけるホームドアの整備加速を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和6年9月18日 提出者 調布市議会議員 丸田 絵美 賛成者 調布市議会議員 大野 祐司 同    平野 充 同    田村 ゆう子 同    川畑 英樹 同    榊原 登志子 同    伊藤 学 同    木下 安子 同    鈴木 ほの香 同    磯邉 隆 同    宮本 和実 同    山根 洋平                    鉄道駅におけるホームドアの整備加速を求める意見書  国土交通省がまとめた「鉄軌道輸送の安全に関わる情報」によると,令和4年度に全国で発生した鉄道における運転事故の件数は 584件であり,そのうち約58%の 341件が線路内やホーム上での列車との接触などの人身事故である。この人身事故での死傷者数は 350人,そのうち死亡者数は 183人であったが,この統計では,自殺によるものは事故として扱われないため,実際に発生した人身事故の件数及び死傷者数はこれよりも多くなると考えられる。  このように,毎年かけがえのない多くの命が鉄道事故で失われているが,これを防ぐ有効な手段の一つにホームドアの整備が挙げられる。鉄道駅のホームドアは,駅利用者の線路への転落を防止するのみならず,自殺を未然に防ぐ抑止効果も期待される。 一たび鉄道における人身事故が発生すると,当該路線の運転が見合わされることによる交通支障が生じるだけではなく,踏切が長時間にわたって閉鎖されることとなり,沿線住民の交通往来にも支障が生じることから,地域住民への影響は大きい。本市においても鉄道を日常的に利用する市民は多く,また線路と地上で交差する踏切も存在することから,鉄道の安定的な運行を実現するためにも,ホームドアが果たす役割は重要であると言える。 このような状況の下,東京都は,令和元年に「鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方」を公表し,10万人未満の駅も補助対象とするなど支援策を拡充するとともに,事業者と技術的な課題解決に向けた検討を行ってきている。こうした中,都は,本年7月に鉄道駅におけるホームドアの整備加速にかかる緊急要望を国土交通大臣宛てに提出した。また都は,鉄道事業者や関係行政機関から成る官民一体の協議会を設置し,ホームドア整備の一層の加速に向けた取組を進めることとしている。 国は,令和3年に「鉄道駅バリアフリー料金制度」を創設し,この制度を活用して整備するホームドア等のバリアフリー設備は,国庫補助の対象としないこととした。令和6年3月末時点での都内鉄道駅のホームドアの整備率(番線数)は,都営地下鉄では 100%,東京メトロでは95%に達する一方,JRでは31%,私鉄では38%にとどまっており,約6割以上の未設置の駅へのホームドア整備は喫緊の課題である。 このように,ホームドアを早期に整備する重要性が高まってきているものの,ホームドアの整備には多額の経費を要することから,引き続き鉄道事業者に対する補助による整備を加速することが求められている。  よって,国におかれては,鉄道駅におけるホームドアの整備加速を図るため,転落の危険性の高いホーム形状の駅や重要な路線の駅などについて, 「鉄道駅バリアフリー料金制度」に加え,必要な財源を確保するとともに,ホームドアが整備されるまでの間,IT・センシング技術の活用などホームからの転落防止対策を検討し,鉄道事業者の取組を促進することを強く要望する。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年9月 日                  調布市議会議長 井上 耕志 提出先 内閣総理大臣  国土交通大臣  衆議院議長  参議院議長